【サイドストーリー】談合(チクラク視点/プリミコ視点)
「【貨幣の騎士】から提案が来た。
シェグの大陸(南半球の氷に閉ざされた大陸)を共同で管理下に置き、
クブサイ島国と神聖法王国。それと……これから切り取る予定のサッヤード マーイズ島国のアウウア連邦を除く、ウグの大陸(北半球の大陸)の支配を我々に任せるとの事だ。
また、クンの大陸(南半球の大陸)については……
現時点で支配下に置いている地域以外は、自由に切り取ってくれて構わないとの事だ。
僕は……この提案に文句は無い。
ムルオ。ユゲミズ。君達の意見を聞きたい。」
「【貨幣の騎士】に良いように使われている気もするが……
まぁ……認めてやっても良い案だな。」
リクルルさんの質問に、ムルオさんが苦笑いしながら答える。
「確かに、アレに関わっていない【貨幣の騎士】は……
俺達と違って、最上級の反逆者には認定されないだろう。
だけど……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)が開けば、管理者から、それなりのペナルティを受ける筈だ。
そして、奴達はバカじゃない。だから……この事に気づいているだろうから、俺達を裏切る恐れはない。
自分達の人材で統治する事が出来る最大限の領土を吹っ掛けてきてるような気がするところは癪に触るが、ここは……
奴達と内輪揉めをする事で、ディンエや、その駄狗。そして……【オピオタウロスの荷車】達に付け入る隙を与えるよりかは、まっしだと割りきって、奴達の提案を素直に受け入れてやるべきだと思う。」
ユゲミズさんも、不服そうな顔をしながらも……
リクルルさんやムルオさんと、同じ答えにたどり着いてくれたようだ。
◇◇◇
「話も纏まった事だし、俺の報告を聞いてくれ。
【オピオタウロスの荷車】の支配下のギルドの支部や営業所などに潜入させている眷属達から、
【オピオタウロスの荷車】が、ディンエを最後の最後で裏切った……彼女の元狗どもと和解し、我々や【貨幣の騎士】に対抗すべく、再び、組もうとしている。って言う噂が流れている。っ報告が、次々と上がって来てるんだよ。」
「それが本当ならば……面倒臭い事になりかねないね。
ムルオ。
カリーナ帝国の北部以南をカリーナ共和国に置き換える作戦を早めてくれ。
それと……ユゲミズ。
ナヤクラース皇帝の名前を使って、ベシアセ連邦や……
カリーナ帝国のサイアン辺境伯を中心としたカリーナ帝国の北部の貴族達を討伐する為の兵団を派遣する為の準備を始めさせてくれ。」
ムルオさんの報告を聞いた、リクルルさんが、てきぱきと指示を出される。
「了解。」×2
ムルオさんとユゲミズさんが、リクルルさんの指示に頷く。
「ライコ。ブンガマ。ギョクソウは、何時でも、動けるように手を空けておいてくれ。
それと……念のため、アレを10発程、追加で作っておきたいな。
ドクマド。チクラク。至急、作業に取りかかってくれ。」
「了解。」×5
俺達は、リクルルさんの指示に頷く。
「そうそう。ムルオ。
この情報は【貨幣の騎士】とも共有しながら対策を練っていきたい。
追加の情報があれば……直ぐに共有してくれ。」
「了解。」
リクルルさんの指示にムルオさんが頷く。
「さてと。
これで、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の2/3を支配下に置く為の最後の仕上げまで来た。
ここまで来たら、イージーなゲームだとは思うが……
だからこそ、集中を切らさずに、ミスに気をつけ、
スピーディーかつ丁寧な仕事を心掛けて貰いたい。」
「了解。」×7
俺達は、リクルルさんに返答を返すと、会議室から出る準備を始めた。
これから暫く、全員で顔を突き合わせての会議は出来ないだろうな。
そう考えると……不思議な事に一抹の寂しさを覚えた。
■■■
「ギルドのナヤクラース連邦支部に、必要な素材を集めて貰う為の依頼。
ナヤクラース連邦の職人大臣に必要な職人の手配。
折角、暇になって来たと思ったのに……
飼い主を見捨てた狗達め……一度はディンエを裏切って大人しくしてたんだからさぁ……最後まで大人しくしとけよ。」
ドクマドさんが、そう言いながら、ため息をついている。
「ですよね……
てか……アレを使うのは……不味かったんじゃないですか?
これ以上、罪を重ねるのは……流石にヤバい気がするんですが……」
「今更、何、ビビってんの?
もう……戻れないラインなんて……とっくに踏み越えちゃってるの。
現時点で、ユゲミズだけが、最上級の反逆者に認定されているのは……ユゲミズだけが、管理者に認識されているから。って、だけ。
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)が開き、管理者が率いる軍勢がやって来たら、きっと……
アタシも、あんたも、ユゲミズと同じように、最上級の反逆者に認定される筈よ。
だから……面倒臭い。って愚痴りはするけど……
アタシは、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を開いた世界にしない為に、何だってするつもりよ。」
ドクマドさんが、そう言うと……通信機器をカタカタと動かし始めた。
ーーーーー
「【虹を見たい者達】のリクルルから、僕達の提案を受けいる。って言う返答が来たよ。」
アタシ達のリーダーで、超越点(【星の記憶へのアクセス】)のアサグのリンゴトマドさんが、ニヤニヤしながら、報告をくれる。
「でっ。これから……どうするの?
ユゲミズ以外の主要メンバーも……管理者から、最上級の反逆者に認定されるのは時間の問題じゃない?」
特異点(【人外の契約者】)のアサグのグアマ姉さんが、リンゴトマドさんに質問をする。
「だろうね。
そんでもって、僕達が、悪い意味で事態を動かした事で、
僕の目論見通り、ディンエ様と、かつて彼女を裏切った駄狗達が……
なりふり構わず【虹を見たい者】達の暴走を止める為に、再び、手を組む流れを作り出せた。
だからこそ、そろそろ……
我々の真の狙いをディンエ様やサスサイさんに共有するべき時だろうね。」
リンゴトマドさんが、アタシ達の顔色を伺いながら、これからの予定を話す。
◇◇◇
「そうだな。
核兵器で、水蒸気層を落とす為には……
6つの超大国と、カドルナ王国とフカプ王国。それと……シェグの大陸(南半球の氷に閉ざされた大陸)の上空に、強力な電磁パルスを引き起こす量の核物質を積んだ核兵器を同時に撃ち込まなくてはならない。
だが、我々が……【虹を見たい者達】と良好な関係を維持している間は、超高高度の上空を含め、我々の支配下の地域に核兵器を使用しない筈だ。
つまり、我々が、【虹を見たい者達】と良好な関係を維持しつつ、
カドルナ王国・フカプ王国・神聖法王国を、きっちりと支配下に置いておけば、
【虹を見たい者達】が、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)から、マナを奪い去るリスクを最小限に減らせる。
これこそが、我々の狙いだと言う事を、早急に、ディンエ様やサスサイさんに知って貰わなければ……
我々は、管理者から【虹を見たい者達】の仲間と見なされ、最上級の反逆者に認定されかねないからな。」
特殊点(【術式眼】)のアサグのイデイが、前のめりになりながら語る。
どうやら、ビビりの彼は……
一刻も早く、管理者から【虹を見たい者達】の仲間と見なされ、最上級の反逆者に認定されるリスクを取り除きたいようだ。
「アタシも、リンゴトマドや、イデイの意見に賛成だ。
柄にもなく、目先の儲けを度外視して、世界(アン ナブ キ シェア ラ)を救おうとしたばっかりに……
投資した金を回収して散財する前に、管理者から冤罪で粛正されて死ぬ。なんて……マヌケな結末を迎えるのは、マジで勘弁だもんね。
プリミコ。
あんたも……勿論、同じ意見だよね?」
グアマ姉さんが、そう言いながら、アタシに意見を求めてくる。
「うん。
世界(アン ナブ キ シェア ラ)を救う為の人柱になるつもりなんて、サラサラない。
アタシに取って大事なのは……贅沢な暮らし。
そんでもって、その暮らしの基盤である、この組織(【貨幣の騎士】)と……この組織(【貨幣の騎士】)の主要メンバーだけだもん。」
アタシは、グアマ姉さんの質問に苦笑いしながら答えた。
◇◇◇
「皆が同じ意見で安心したよ。
では、ディンエ様に、コンタクトが取ってみるか。
そんでもって、ディンエ様とコンタクトが取れたら……
僕達の、これまでの行為も、これからやる行為も、ディンエ様からの依頼。
そんでもって報酬は……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)が開いた暁には、ギルド本部を我々、【貨幣の騎士】の管理下に置かせて貰う。
こんな内容で交渉に入らせて貰うよ。」
「へ~。リンゴトマド。あんた……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)が開いた世界になる事を望んでいるのかい?」
グアマ姉さんが、驚いた声をしながら、リンゴトマドさんに質問をする。
「まさか。あり得ない。
とはいえ……思い通りに行かないのが世の常だ。
だからこそ、俺達の予想に反して、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)が、開いて世界になった場合に備えた保険もかけておきたいんだよ。
客観的に考えてみな。
こんな壮大な夢や希望を持っている奴が……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)が開いた世界になる事を、心の底では嫌がっている。なんて……想像もつかないだろ?
だからこそ、【虹を見たい者達】だけでなく、ディンエ様とも談合を進めたい。
そして、我々が2つの勢力との談合に成功すれば……
誰の目も気にしなくても良い自由な立場で、
しかも、今まで以上に安心安全な立ち位置で、
そんでもって、今までよりも、遥かに大きな額の金を動かすような商売をする事が出きるようになる筈だ。」
リンゴトマドさんが、ニヤニヤと笑いながら、彼の心の内を明かしてくれた。
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