事前準備
【ガサガサガサ】・【ガサガサガサ】
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時刻は9時。
ダイネットの窓を木々が擦る音が聞こえてくる。
「サルクルさん。
ディンエ様から指示を受けて、僕達と同じタイミングで、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に召還された……オオカイ。っていう人が仕切ってる、サトテン商会を仲間に引き込めました。
それと……スティオが所属したと言うギルド本部の特殊部隊は……ディンエ様側の勢力らしいです。
これから……スティオとコンタクトを取る事になりました。」
僕が起きたのを確認したイノカワ君が、嬉しそうな顔で報告してくれる。
「拙者君も、通信障害を起こしているエリアに通信を繋いでくれて有り難な。」
『どういたしましてでございまする。』
レイヒトのイノカワへの返答が通信機器から聞こえてくる。
◇◇◇
『久しぶりだな。』
『あぁ。』
イノカワの言葉にスティオが、素っ気ない返答を返す。
『なぁ……拙者野郎じゃなかった……拙者君は居るのか?』
『居るよ。 』
『そっか。
拙者君。虐めていてごめん。
謝っても許される事じゃねぇのは分かってる。水に流せと言うつもりもない。
だけど……お前達が、元の世界(ムシュ イム アン キ)に戻れるように……最善を尽くす。
それぐらいしか……今の俺には出来ねぇからな。』
スティオの震えるような声が通信機器から聞こえてくる。
『まだ、気にしなくても良いでございまするとは……心の底から言えぬ部分もあるでございまするが……
そこまでの怒りを感じなくなっておるでございまする。
ですから、その……無茶はしないで欲しいでございまするな。
スティオ殿が死んでしまわれたら……あの頃の事を笑って話せる日が来ないでございまする。』
『分かった。意地でも生き残る。』
レイヒト君の話を聞いたスティオが、真剣な声で返答を返す。
『でっ。イノカワ。
シオコ達の事を……勿論、仲間に引き入れられたんだよな?』
『当然。
僕を誰だと思ってるんだい?』
スティオの質問にイノカワ君が、得意気な顔で答えていた。
◇◇◇
『サルクル殿。
トスン連邦のヒラ山脈自治区にある蟻の巣鉱山の中にあるキュシの町のルメキタ商会の営業所でルオ殿。メア殿。イノカワ殿。レヤ殿の受け入れの準備が整ったとの事でございまする。
それと……ギルドのパールス連邦支店に支援物資を運ぶ仕事は……どうされるのか聞いて来ているでございまする。』
「ギルドのパールス連邦支店に支援物資を運ぶ仕事は受ける。
ただ、最終目的地を龍脈に異常を起させている施設に近い場所にして欲しい。
とは言え……支援物資が不用な場所を最終目的地にするような忖度はいらない。
あくまでも……自然な形で龍脈に異常を起させている施設に近づきたい。
因みに、そこからは……出来れば、森の中をバイクやトライク等、目立たない乗り物で移動しながら、こっそりと、龍脈に異常を起させている施設に潜入したいかな。」
『つまり……ステルスミッションでございまするな。
直ぐに調整に入るでございまする。』
レイヒト君の真剣な声が携帯から聞こえてくる。
『バイクやトライクかぁ……虫が居ない季節で良かったよ。』
『せやな。
寒いんは……着込めばなんとかなるからな。』
嫁とプグナコちゃんのやり取りが携帯から聞こえてくる。
■■■
『ギルドのパールス連邦支店との調整がついたでございまする。
明日の朝、トスン連邦のヒラ山脈自治区にある蟻の巣鉱山の中にあるキュシの町にある出入口で、メア殿。ルオ殿。イノカワ殿。レヤ殿を下ろし、
パールス連邦の北部を目指す事になったでございまする。
最終目的地は……ナヤクラース連邦との国境の町になる
ウラオラの町でございまする。
因みに……パールス連邦とナヤクラース連邦の国境の間には、半径500キロ程度の森が緩衝地帯として広がっておるでございまする。
でっ。龍脈に異常を起させている施設は……その緩衝地帯の森の中にあるでございまする。
ですから、ナヤクラース連邦に知られずに龍脈に異常を起させている施設に行く事は、理論上、可能でございまする。』
時刻は14時。
レイヒト君の弾んだ声が携帯から聞こえてくる。
◇◇◇
「了解。
管理者から連絡は来た?
後……この情報は……
ディンエさんに共有する際、他のメンバーへの共有は不可。って事と……
ディンエさん達の仕事は……
僕達のスケジュールを無視して、マイペースで行うように念押ししててね。」
『了解でございまする。
【虹を見たい者達】や……【貨幣の騎士】に拙者達の仕事を知られたら、ステルス ミッションの意味が無いでございまするからな。
ディンエ殿とサスサイ殿には……
張り切り過ぎる事で作戦を破綻させないように念押ししておくでございまする。』
「話が早くて助かるよ。
宜しく頼むね。」
レイヒト君の返答を聞いて、ホッとした。
ディンエさん達は……良くも悪くも真面目だからなぁ……
頑張り過ぎて、逆に……僕の考えた作戦を破綻させかねない。
だからこそ、しつこく、何度も同じ事を言い続けなければならない。
■■■
『ディンエ殿にメールをしたでございまする。
CCで付けた管理者殿からも……
張り切り過ぎて、サルクル殿の意向に沿わないような言動だけは……決してするな。と、ディンエ殿とサスサイ殿に念押しをして頂けたでございまする。
そうそう。
管理者殿から【虹を見たい者達】を処刑する為の部隊は、
6日後以降、拙者達のタイミングで送れり込めるように手配をしたとの事でございまする。
それと……龍脈に異常を起させている施設に入る前等の管理者殿へ報告する時間を削減する為に、拙者達の位置情報を共有させて貰ったとの事でございまする。
それと……拙者達の通話やメール等のやり取りは見ないようにするので安心して欲しい。との事でございまする。』
時刻は15時。
レイヒト君の弾んだ声が携帯から聞こえてくる。
「これで……僕達の準備は終わりだね。
後は……決めた事を淡々と遂行するだけだね。」
『パパが思いつくような事を……【虹を見たい者達】や【貨幣の騎士】が、絶対に気がつかないとは言いきれない。
第2案も考えていた方が……良くない?』
嫁の心配そうな声が携帯から聞こえてくる。
「僕達の作戦に限って言えば……
向こうに勘づかれた場合、臨機応変。出たとこ勝負の方が良いと思う。
てか……その為に、イノカワ君に、
オオカイさん。って人達やスティオ君達にコンタクトを取って貰ったんだ。
それに……ディンエさんの古い友人達(シュカ & シクン)も、強力な戦力なんでしょ?
もし、僕達が……作戦を遂行するのが難しい場合……
西の方向にある龍脈に異常を起させている施設を目指す動きを取る。
でっ。その間に……オオカイさん達やイノカワ君・レヤちゃん。スティオ君達にディンエさんの古い友人達(シュカ & シクン)が、ムルル自治区の領内にある、西の方向にある龍脈に異常を起させている施設に入り、僕達の代わりに……この世界(ムシュ イム アン キ)を開いて貰う。
本命が囮に変われば……向こうも対応する事が出来ない筈だ。」
『了解。
パパがチートなのはアサグだからじゃないわね。
卑怯な事や、人を小馬鹿にしような狡い事を考える能力こそが……パパのチートを支えてるんだね。』
嫁が、苦笑いしながら皮肉を言う。
『せやけど……サルクルさんが考えはった以上に良え作戦もあらへん。
せやから……やるしか、ないやろ。』
『確かに。』
プグナコちゃんと嫁が、苦笑いしながら話している。
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