【サイドストーリー】反撃の狼煙②(フメグル視点)
『その依頼は受けられないよ。』
シュカさんの声が通信機器から聞こえてくる。
正直ら話の内容を全て理解した訳ではないが……
今まで使用不可能になっていた通信機器が使えるのは、
今日まで、引きこもりのような事をされていた、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の神様的な存在が……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を救う為に、再び、立ち上がられ、その手伝いをシュカさんにして欲しいかららしい。
そして……俺達は……
シュカさんが、その神様的な存在からの依頼を達成する手伝いをする事で、
直ぐにとは行かないようだが……元の世界(ムシュ イム アン キ)に戻れる権利を得られるらしい。
ただ……肝心の中心人物?いや……中心狐様のシュカさんが……
その神様的な存在からの依頼を……アッサリと断ってしまった。
『貴女の気持ちは分かります。ですが……その……』
神様的な存在は……尚も食い下がりながら、シュカさんを説得しようとしている。
『最悪……私達だけでも……神様的な存在の依頼を受けられるように交渉しないとね。』
ニチワミの念話が、頭の中に鳴り響く。
◇◇◇
『違う。違う。
妾は……今でも主の協力者を辞めたつもりはないぞ。
妾は今……クパドゥ王国からの依頼で、水や食糧。魔法燃料液や魔法石などの支援物資を持って、カリーナ帝国の南都に赴き、その後……
カリーナ帝国で行商人をしながら、カリーナ帝国や、ギルドのカリーナ帝国支部の情報をクパドゥ王国に流す、密偵の仕事を請け負っておる。
まぁ……その仕事が、主のせいで、上手く行ってはおらぬが……
そこは、主が、再び、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を救う為に立ち上がってくれた事に免じて許すつもりじゃ。
因みに、主の依頼を断る判断を下したのはシクンじゃ。
故に、主が依頼を頼むのは……妾ではなく、シクンの方じゃ。』
シュカさんは、弾んだ声で話す言葉が通信機器から聞こえてくる。
『ちっ。頑張れ……シクンさん。』
イツマンヨの心の声が……頭の中に鳴り響く。
◇◇◇
『ディンエ様。お久しぶりです。
我々が、カリーナ帝国の南都に行く為に通った、カリーナ帝国の西都が管轄しておる全ての町で、
これ以上、カリーナ皇帝達の失策で国が傾き、自分達の生活が脅かされる前に、
南都や東都の連中が起こそうとしておるカリーナ皇帝達へのクーデターに先んじて、クーデターを起こし、
自分達こそが、この国を真に愛する者達だ!と言う事を、国中に知らしめよう!と呼び掛けている者達を多数、見かけました。
しかも、その集会を……町の警備隊は止めないだけでなく……そいつ達の言葉に拍手まで送っているのです。
更に、領主や町長達も、その集会に飛び入りで参加をし、
彼達は、いずれ英雄と呼ばれるであろう、我が町の誇りだ!と褒め称え……彼達と共に立ち上がる者達には褒美を与える!とまで言っておられるのです。
あまりにも奇妙な光景でしたので、シュカに、クーデターを呼び掛けている者達を鑑定して貰ったのですが……そいつ達はムルオの眷属でした。
でっ。ここからは俺の勘なのですが……
ムルオ達は、既に、カリーナ帝国の西都・南都・東都を傘下に治めておると思います。
そんでもって、多分、帝都にも……
かなりの影響力を持っていると思われます。
となると、当然、ギルドのカリーナ帝国支部もムルオ達の傘下に治めまっていると考えられます。
ただ、ディンエ様の、お話を聞くまでは……
何故、カリーナ皇帝達に一番、反発しておった、サイアン辺境伯を慕う者が多い、カリーナ帝国の北部の話が出て来ないのか?って事だけが分かりませんでした。
ですが、ディンエ様のお話を聞いて納得した。
ムルオ達は、まず、カリーナ帝国の北部以外を傘下に治め、
その後、既に奴達が手中に収めておるナヤクラース連邦と連携しながら、カリーナ帝国の北部。及び、ベシアセ連邦を潰し、その領土を奪うつもりだと思われます。
そして……ディンエ様も、ご存知かと思いますが……ムルオは狡猾な奴です。
それに……向こうには……
リクルルと言う、貴女様と同じ 【星の記憶へのアクセス】と言う異能を持った超越点のアサグがおります。
ですから、通信機器の傍受だけで、奴達の情報を掴むのは難しいかと思われます。
ですから……我々は……敢えて、クパドゥ王国からの依頼を続行します。
そんでもって、クパドゥ王国へ報告する内容を、貴女様にも、共有させて頂くだけでなく、
貴女様が、再び、立ち上がられた事を、クパドゥ王国へ報告し、再び、貴女様の下に集うよう話をさせて頂きます。
そうする事の方が、貴女様の依頼を受けるよりも、遥かに、貴女様の目標を達成へ貢献する事が出来る。と判断させて頂いた次第でございます。』
シクンさんが、神様的な存在に饒舌に話しながら、自分の考えを曲げるつもりは無い事をハッキリと宣言された。
『貴方の考えは分かりました。
私の依頼内容を撤回します。
貴方の献策を採用させて頂きますので、どうか……私へのご協力を、お願いします。』
『畏まりました。
命を賭して、頂いた依頼を遂行させて頂きます。』
神様的な存在の言葉に、シクンさんが、先刻までとは打って変わって、恭しい言葉で、神様的な存在の依頼を引き受けた。
◇◇◇
『あの~。その~。
貴女様の依頼を達成したとしても……必ず、元の世界(ムシュ イム アン キ)に戻らなくてはいけない訳ではないのですよね?』
イツマンヨが、恐る恐る、話す声が通信機器から聞こえてくる。
『えぇ。ですが……貴女は……
元の世界(ムシュ イム アン キ)に戻りたくはないのですか?』
『実父は、アタシにパパ活をさせて……金を稼いでる屑。
そして、義父は……母の目を盗んで、アタシを犯す糞野郎。
そして、母は……毎日、義父に色目を使う、泥棒猫と罵ってくる。
今までは、何とか耐えてたけど……もう……限界。
あそこには……戻りたくないの。』
神様的な存在の質問に、イツマンヨが、震えるような声で話す。
『もし、お前の世界(ムシュ イム アン キ)に戻りたくなったら……着いて行ってやるさ。
まぁ……俺達の世界(アン ナブ キ シェア ラ)とは、かなり違う世界みたいだから……
俺の分を含めて生活費を稼ぐのは……お前さんの仕事になるけどな。
お前、専属の……用心棒 兼 主夫?って奴をしてやるよ。』
ギャクコンが、笑いながら、神様的な存在とイツマンヨの会話に割って入る
『バカ。
主夫の仕事を舐めるな。』
『舐めてねぇよ。
ただ……お前以外の奴にまで、ペコペコしながら、教えを乞うのは、俺のプライドが許さねぇんだよ。』
ギャクコンの苦笑いしながら話す声が通信機器から聞こえてくる。
『分かった。
その時は……滅茶苦茶、シゴいてあげる。』
イツマンヨの嬉しそうな声が通信機器から聞こえてくる。
『てな訳で……俺達は……ディンエ様の依頼を受ける。
ニチワミ。フメグル。
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に残りたいのならば、俺と一緒にベシアセ連邦に行くぞ!
そんでもって、シュカ。シクン。
この2人が、元の世界(ムシュ イム アン キ)に戻りたいと言った時は……
こいつ達が望みを達成する事が出来るように、面倒を見てやってくれ。』
『任された。』
ギャクコンの依頼をシュカが受けてくれた。
ギャクコンは……
俺とニチワミが望む未来を手に入れられるように、2つの選択肢を与えてくれた。
この人と離れるのは……本当に……辛い。
だけど……元の世界(ムシュ イム アン キ)にも戻りたい気持ちは抑えられない。
『もし、元の世界(ムシュ イム アン キ)に戻っても……イツマンヨやギャクコン達と……通信機器を使った連絡ぐらいは取れますか?』
どうやら、ニチワミも……同じ事を考えているようだ。
『貴女達が、結果を出してくれたら……
管理人の名誉にかけて、少なくとも、1年に1回ぐらいしか、連絡が取れるよう便宜を図らせて貰います。』
神様的な存在の優しい声が通信機器から聞こえてくる。
『ギャクコン団の皆さん。
今まで、アタシとフメグルが、お世話になりました。
シュカさん。シクンさん。不束者ですが……アタシとフメグルを宜しくお願いします。』
ニチワミが、何故か、俺の未来を含めて、勝手に話を進めていく。
『おいおい。
フメグルの意見は無視かい。』
イツマンヨのツッコミが通信機器から聞こえてくる。
『フメグルは……アタシと一緒に人生を歩む運命なの。』
ニチワミが……
恐ろしいような……嬉しいような……微妙な気分になる事をサラッと言う。
『貴女は他人に興味が無い女だと思ってた。
まさか……地雷女だったとはね。』
『自分でも、そう思う。思うのだけど……
彼は……アタシだけの物。これだけは……譲れない。』
苦笑いするイツマンヨに、ニチワミが……俺への歪んだ愛を、恥ずかしげもなく語った。
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