王道と奇襲①
【ガサガサガサ】・【ガサガサガサ】
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時刻は20時。
ダイネットの窓を木々が擦る音が聞こえてくる。
嫁達は、夕食後も休みなく乗り物を動かしながら、
トスン連邦のヒラ山脈自治区にある蟻の巣鉱山の中にあるキュシの町を目指してくれている。
本当に頭が下がる思いだ。
『サルクル殿。ディンエ殿から質問されていた、この騒動の事後処理についての報告が来たでございまする。』
レイヒト君の声が携帯から聞こえてくる。
『この先の広場で休憩やな。
皆の今後に関わる事やさかい……じっくり返答を聞きたい。』
『確かに。』
プグナコちゃんの言葉に嫁が頷いた。
■■■
「では。報告するでございまする。」
レイヒト君が、そう言うと、皆が、一斉にレイヒト君を見る。
僕達は乗り物を止め、キャンピングカーのダイネットに集合している。
「まずは、犯罪者として認定されるラインでございまするが……
基本、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)で犯罪者として認定された者に対しては、調査が入るらしいのでございまする。
それと……核兵器を使った【虹を見たい者達】の主要メンバーは……最上級の犯罪者としてカウントされるらしいでございまする。
それ以外の構成員については……調査が入るらしいでございまする。
後、【貨幣の騎士】は微妙な立場のようでございまするな。
理由は、直接、核兵器を使う作業には関わっていないものの……【虹を見たい者達】が核兵器を所有するだけでなく、使用した事を知った上で、彼達と組んだからでございまする。
少し話が逸れまするが……
イノカワ殿とレヤ殿は、拙者達の仲間として認定されておられるようでございまする。
お二人が、お考えを変えられた際は……拙者達と元の世界(ムシュ イム アン キ)で、基本、永遠のニート ライフが約束されるようでございまする。
基本と言いましたのは……今回のようなパラレル ワールドを含めた、世界の根幹を揺るがすような事件が起きた場合……管理者と呼ばれる、ディンエ殿達の上司が率いる、特殊部隊の一員として駆り出されるそうでございまする。
この措置は……拙者達も含まれておるようでございまする。」
レイヒト君が、最後の方は……困った顔をしながら報告をしてくれる。
「つまり……今後、パラレル ワールドを含めた世界の根幹を揺るがすような事件が起こらない限り、永遠のニート ライフが約束された。って事だよね……」
「詐欺やな。ニート ライフ詐欺やな。」
嫁の話を聞いたプグナコちゃんが、イラッとした顔をしている。
「取り敢えず、パラレル ワールドを含めた世界の根幹を揺るがすような事件がどの程度の頻度で起こるのかについて質問をしないとね。
でっ。殆んど、そんな事が起こらないのならば……ニート ライフ自体が、ご破算にされないように妥協した方が良い気がする。」
「了解したでございまする。
ですが……先に他の質問に対する、ディンエ殿のご返答を共有させて貰いまする。」
レイヒト君が、そう言いながら、タブレットPCに目を落とした。
◇◇◇
「次に、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)が開いた後、 召還された者達が、元の世界(ムシュ イム アン キ)に戻れる事は、原則としては、出来ないらしいのでございまする。
ただ、イノカワ殿やレヤ殿を含めた、拙者達のチームだけは、特例で戻る事を許されたらしいのでございまする。
また、【オピオタウロスの荷車】等、拙者達以外のディンエ殿達の協力者については、
元の世界(ムシュ イム アン キ)に、一時的に帰省する事は認められるようでございまする。
因みに、拙者達が、もし、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に残る場合……彼達と同じ扱いになるようでございまする。
それと……家族や恋人を、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に呼ぶ事に関しては、
拙者達や【オピオタウロスの荷車】等、ディンエ殿達の協力者についてのみオッケーとの事でございまする。」
「へ~。
ウチ達、滅茶苦茶、厚待遇やん。」
「レヤはともなく……拙者君達に便乗させて貰っているだけのような、僕までが厚待遇を受けるのは……なんだか、申し訳ない気がするね。」
レイヒト君の報告を聞いて、満面の笑みを浮かべるプグナコちゃんとは対照的に、イノカワは自虐的な笑みを浮かべている。
「でっ。ルオ君とメアちゃんは……どうなるの?」
嫁が真剣な顔をしながらレイヒト君に質問をする。
◇◇◇
「ディンエ殿が神仏の代理人候補として引き取りたいらしいでございまする。
また、それに伴って、幻獣であるコルとドマを2人の従魔にしたいようでございまする。
これは……メア殿とルオ殿がアサグに成れなかったとしても……妖人として悠久の時を生きられるようになれるかららしいでございまする。」
「うげ。お勉強……嫌い。」
「我が儘を言うな。
神仏の代理人候補に成れるなんて……名誉な事なんだぞ。」
しかめっ面になったメアちゃんをルオ君が諭す。
「はぁ~い。」
メアちゃんが、渋々。って感じで頷く。
「でっ。サルクル殿。
これらの質問の意図はなんなのでございまするか?」
「パラレル ワールドを含めた世界の根幹を揺るがすような事件がどの程度の頻度で起こるのかについて質問の返答を見てから話すよ。」
僕は、興味津々な顔で質問をしてくるレイヒト君に曖昧な答えを返した。
まだ、足らない情報が多いとはいえ……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を開く為の草案はある。
ただ、もし、僕の考えている事を実現する事が出来た場合……
僕達が、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を開いた後に、世界大戦が勃発する可能性も0では無い。
だからこそ……その後の事についても、お互いが納得する形で話を纏めておかないといけない。
となると……
「レイヒト君。
観察者と呼ばれている方が、ユゲミズを含めた【虹を見たい者達】の主要メンバーを処刑する為の部隊を、最短でいつ頃までに送り込めるのかについて……
ディンエさんに聞いておいてくれない?」
「了解したでございまする。」
レイヒト君が、そう言うと、タブレットPCを動かし始めた。
◇◇◇
「ディンエ殿から報告が来たでございまする。
管理者へ、具体的に、いつ頃までに、ユゲミズを含めた【虹を見たい者達】の主要メンバーを処刑する為の部隊を送り込めそうか。と言う質問をした場合……
十中八九、こちら側のスケジュールを聞かれるようでございまする。
ですから……策があるのであれば……先に聞いておきたい。との事でございまする。」
「返信……早。
レイヒトがメールしはってから……1分ぐらいしか経ってへんのちゃう。」
プグナコちゃんが、驚いた顔をしている。
「パパの事だから……どうせ、人を食ったようなロクでもない事を企んでるんでしょうけど……
わたしも、先に聞いておきたい。」
「人聞きが悪い。と言いたいところだけど……その通りだよ。」
僕は、ジト目で見てくる嫁に、苦笑いしながら返答を返した。
「ディンエさんも手が空いてそうだし……
通話機能を使って、パパの考えを伝えた方が早そうな気がするわね。」
「確かに。
一度、コールしてみるでございまする。」
レイヒト君は、そう言うとタブレットPCと携帯を動かし始めた。
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