ビニールハウス的な物②
【ガサガサガサ】・【ガサガサガサ】
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トレーラーの上部の左右、6ヶ所に設置された、小さな灯り取り窓から木々が擦れる音が聞こえてくる。
時刻は12時。
雪は収まってくれたようだ。
『この先に広い場所がある。
そこで、昼飯にすんで。』
プグナコちゃんの声が携帯から聞こえてきた。
■■■
「ディンエ殿から返信が来たでございまする。」
レイヒト君が、そう言うと皆を見回す。
嫁とレヤちゃんのビニールハウス的な物の設計図を作成する仕事が終わり、久しぶりに久しぶり、キャンピングカーのダイネットに集まって食事を取る事になった。
「でっ。どんな返答だった?」
嫁が前のめりになりながら質問をする。
「まず、サクモ殿とレヤが設計されたビニールハウス的な物を、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に広めても問題無いようでございまするな。
それと、ビニールハウス的な物の特許を取れそうに無い場合……
【オピオタウロスの荷車】が、サクモ殿とレヤ殿の名義で特許を申請し、クンの大陸(南半球の大陸)で広めたいと、考えられておられるようでございまする。
ですから、特許申請に困った時は、速やかに連絡して欲しいとの事でございまする。」
「やったね。」
「はい。」
レイヒト君の報告を聞いた、嫁とレヤちゃんがハイタッチしながら喜んでいる。
「ただし、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の魔石等の資源等の量から考えて……
可能な限り、今回、サクモさんが考えた魔術の術式を応用して、冷凍冷蔵庫や個人宅用のエアコン等に転用した物を発表して欲しくは無い。との事でございまする。」
「了解。」×2
嫁とレヤちゃんが、深く頷く。
◇◇◇
「それと【オピオタウロスの荷車】が、
サルクル殿が、ご提案なされた、彼達が提唱する軍事同盟を【貨幣の騎士】が提唱している、軍事・経済同盟のような同盟に格上げさせる事を了承されたようでございまする。
また、ウグの大陸(北半球の大陸)との軍事・経済同盟については……
ディンエ殿を他世界との次元の境界線上にある、次元転移装置を管理する施設に幽閉する事を最後まで反対した事でギルド本部の反感を買い、最貧国に転落したトスン連邦と、
ルメキタ商会を通じて、トスン連邦を支援されておられる、マワタカ国・ベシアセ連邦・パールス帝国・カバパ連邦・クパドゥ王国と軍事同盟を結ぶ方向で動きたいと考えておられるようでございまする。
とはいえ……今の状況が分からないでございまする。
その為、ディンエ殿は、
今日中に、トスン連邦のヒラ山脈自治区にある蟻の巣鉱山の通信障害を解消し、
それ以外の該当エリアについては、遅くとも……1週間以内には通信障害を解消させられるように動かれるようでございまする。」
「ごめん。
ギルドってのは……世界を股にかける中立な組織なんやろ?」
プグナコちゃんが不思議そうな顔をしながら、レイヒト君に質問をする。
「ディンエ殿を他世界との次元の境界線上にある、次元転移装置を管理する施設に幽閉する事を最後まで反対したトスン連邦以外には……中立な組織らしのでございまする。
因みに、ギルド本部はトスン連邦が、犯罪者の温床になったり、特許侵害を防ぐ為等の観点から、ギルドの登録装置の閲覧のみを可能にされておられるらしいのでございまする。
また、ギルド本部は、トスン連邦に支部・支店・営業所・出張所を置かず、
閲覧のみが可能なギルドの登録装置をトスン連邦のルメキタ商会に貸し出される事で、本来、ギルドが負うべき役割を担わせておられるようでございまする。」
「なんやそれ。酷い話やね。」
レイヒト君の話を聞いたプグナコちゃんが、イラっとした顔をしている。
「ヤスズミさん達には、この情報を共有しても良いの?」
「この件は、【オピオタウロスの荷車】が動くので……今は黙っていて欲しいとの事でございまする。」
レイヒト君が、そう言いながら苦笑いしている。
「それは、サクモちゃんとレヤちゃんが設計したビニールハウス的な物も含めて。って事?」
「そこは聞いてないでございまする。」
レイヒト君が、申し訳なさそうな顔で僕の質問に答えてくれる。
「そう。
じゃあ……ディンエさんに聞いてくれる。
もし、ビニールハウス的な物については共有が可能ならば……ギルドへの特許申請については、ヤスズミさん達に相談した方が【オピオタウロスの荷車】の手間を減らせると思う。
それに……サクモちゃんは、こう見えて、かなりの人見知り。
だから、実務についても……
知らない人に教わるよりも、ヴェルさんやバンオさんが間に入ってくれた方が良い気がする。」
「ブフ。
確かにサクモさんは、隠れ人見知りやもんな。」
「だね。」
僕の話を聞いた、プグナコちゃんとレヤちゃんが吹き出しながら頷く。
「ごめん。失礼すぎよ。」
そんな2人と僕を、嫁がジト目で見る。
「昼食が済み次第、ディンエ殿に連絡するでございまする。」
レイヒト君が、そんなやり取りに苦笑いしながら、話題を変えようと頑張ってくれていた。
■■■
『ほな。出るで。』
プグナコちゃんの声が携帯から聞こえてくる。
ここから先は、鬱蒼とした山や森の中を通る為、
【空の目】の映像だけでは確認が難しい事もあり、
プグナコちゃんとレヤちゃんが、
フロントに【マジックウインド シールド】が取り付けられた前輪が2輪のバイクで先導してくれる事になった。
また、2人が乗る、前輪が2輪のバイクの左右の部分(体が剥き出しになる部分)には、
嫁が網戸を物凄く頑丈にしたような感じの結界を張った。
これは、崖等を通る時に、車体が軽い前輪が二輪のバイクが風で煽られないように、風の通り道を作る為の措置だ。
因みに、網戸のような結界の目は細かく、蚊や蜂。アブ等の虫や、ヒルやサソリ等が入って来れないようになっている。
ヒラ山脈の裾野の森は極寒の地らしく、
蚊や蜂。アブ等の虫や……ヒルやサソリ等といった、魔法が使えない小さな危険生物は活動を止めているらしいのだが……
一部、温泉が涌き出ている場所の周辺は、初秋の気温を維持しているらしく、そういった場所では、今も……魔法が使えない小さな危険生物は活動を止めていないらしいので、この対策を取る事にしたのだ。
また、それに伴って、ルオ君とメアちゃんの護衛や、お世話のフォローの為に、僕とイノカワは、トレーラーには戻らずに、キャンピングカーのダイネットに残る事になった。
それと、キャンピングカーの運転は嫁に専属で行って貰い、
レイヒト君には引き続き、助手席で通信や情報収集を担当して貰う事になった。
「なんやかんやで、レヤは……貴方達のチームの戦力になってますね。」
イノカワが、そう言いながら自嘲気味に笑う。
『イノカワ君も立派な戦力よ。
いくら、コルとドマが専属で護衛してくれてるとはいえ……2匹のフォローを、お寝坊さんのパパだけに任せたら……不安だらけで、自分の仕事に集中する事が出来ないわ。』
嫁の笑いながら話す声が携帯から聞こえてくる。
『それに……サルクル殿は、このチームの知恵袋的な役割も担って貰っておるでございまする。
ですから、その……イノカワ殿が居てくれる事で、拙者は……安心してサルクル殿に知恵を借りられるでございまする。』
「そうか。
なら、僕は……皆が自分の役割に専念する事が出来るように、僕の役割をしっかりと果たさせて貰うよ。」
イノカワが、そう言いながら満面の笑みを浮かべていた。
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