【サイドストーリー】再開と再起(フメグル視点)
「もし、ムルル自治区のクワキンの町に行く途中で、シクンさんとシュカに出会ってい なかったら……アタシ達、確実に詰んでいたわよね……」
ニチワミが、そう言いながらテントの外を見ている。
時刻は8時。
雪は止みそうにない。
【虹を見たい者達】と言う謎の組織に占拠されたギルド本部が管理していたという施設の奪還に失敗した俺達は……ギルドから莫大な違約金を請求される筈だ。って、怯えていた俺達に、
ムルル自治区のクワキンの町に行く途中の林道で出会った、ギャクコン達の知り合いのシクンさんとシェカが、今回の依頼については、失敗しても違約金が取られない。って事を教えてくれた。
行き先の違う、彼達とは、一晩、夜営を共にして別れるつもりだったが……
その日の晩から、何れぐらいの規模は分からないが……
少なくとも、俺達が居る場所で通信障害が起こったらしく……通信機器が使えなくなった。
ギャクコンとシュカは……
この寒波のお陰で、雑食道造り飛蝗は死滅しただろうと予想しているが……
それと同時に、雑食道造り飛蝗は死滅したにしろ……奴達が猛威をふるっていた場所は、ボロボロになり、
それが原因で、町や村の治安は最悪になっていて、
モンスターや動物の生態系を狂った人外地は、いつも以上に危険な状況になっているだろうとも予想している。
それで【物情を繋ぐ者】のジョブ補正を受けている妖人のシクンさんから行商の護衛を頼まれて、今に至る。
因みに、人間の姿にもなれる九尾の狐(幻獣)のシュカは、シクンさんの従魔 兼 恋人。って感じの存在だ。
その事を知った時は驚いたが……
彼達のやり取りを見ていると、不思議と違和感がなくなる。
◇◇◇
「確かに。
シクンさんが、大量の魔法燃料液を持ってなければ……
凍てつくような寒さの中、最悪、途中から徒歩でクワキンの町を目指さないといけなかったからな。
もし、そんな事になれば……真夜中に凍死してただろうな。」
「その時は……人肌で暖めてあげる。」
大人2人が入れるサイズの大きな寝袋に一緒に寝ている、ニチワミが……そう言いながら、身体を寄せてくる。
「って……アラアラ。元気ですな。」
「はう。」
ニチワミが、大きくなった俺の息子を手で擦りながら、妖艶な笑みを浮かべる。
「仕方ない。寝袋から出て。
寒いから……今日も着たままするよ。」
俺は、ニチワミに促されて、寝袋の外に出る。
「仰向けに寝て。」
俺が、ニチワミの指示に従うと、
ニチワミは、手慣れた手つきで、俺のズボンと下着を脱し、
自分のスカートの下に穿いタイツと下着を脱ぎ、俺に股がって来た。
「アラアラ。興奮しすぎでしょ。
けど……嬉しい。」
ニチワミは、そう言うと腰を振り始めた。
快楽が押し寄せてくる。
今晩こそは……彼女が先に逝くまで我慢しないとな。
だって、ニチワミは……スイッチが入ると、俺が逝った後も、自分が満足するまで腰を振り続けるもんな。
■■■
「偉いぞ。
ちゃんと起きてたのね。」
時刻は14時。
ニチワミは、そう言うとキスをしてくる。
この森の危険な生き物の大半が夜行性で、幽霊の活動も活発だ。
だから俺達は日が昇っている間に睡眠を取り、日が暮れる頃~明け方まで移動する事になっている。
因みに、夜番てか……昼番は半球睡眠が出来る妖人のシクンさんが一手に引き受けてくれている。
その、お陰で、有り難い事に、睡眠時間がたっぷりと取れている。
「取り敢えず、動き出すまで、後……1時間はあるわね。
ねぇ……しよ。」
ニチワミは、そう言いながら、俺の息子をまさぐる。
「はう。」
「勝手に逝っちゃダメよ。
出すのは……アタシの中だからね。」
ニチワミは、妖艶な笑みを浮かべながら、俺の耳元で囁いた。
■■■
「前が動き始めた。俺達も出るぞ。」
「了解。」
俺はニチワミの返答を待って、ゆっくりとトライクを前に動かし始める。
時刻は17時。
出発前に食べた、暖かい、ご飯入りの鍋のお陰で、今のところ、身体はポカポカしている。
俺達の乗るトライクには、
風や雨や日差し。虫や……頭上から降ってくる蛇等を防ぐ為の結界を張ってくれる【マジックウインド シールド】が取り付けられている。
もし、【マジックウインド シールド】が取り付けられておらず、風や雨。雪をダイレクトに受けなければいけなかったとしたら……疲労度は格段に上がっただろうな。
だから、【マジックウインド シールド】が取り付けられているタイプを購入してくれたギャクコンには感謝している。
◇◇◇
俺達が目指すのは、カリーナ帝国の南都だ。
ここで、実際に雑食道造り飛蝗の被害に合った町や村の情報を収集し、シクンさんとシュカが、クパドゥ王国で購入した、水や食糧。魔法燃料液や魔法石なんかを持って行く予定だ。
因みに、卸した商品については、全て、ギルドのカリーナ帝国支部が買い取る事で話がついているらしい。
◇◇◇
先頭を走るのは、
ギャクコン & イツマンヨのペアと、ジョウオさん & ダラミ姉さんのペアだ。
【踏破者】のジョブ補正を受けているギャクコンと、【魔術師】のジョブ補正を受けているジョウオさんが、トライクを運転しながら索敵を行う。
そして、【聖なる解除師】のジョブ補正を受けているイツマンヨが、幽霊を追い払い、
【錬金術師】のジョブ補正を受けているダラミ姉さんが、走り難くなっている場所を錬金術を使って舗装する事になっている。
◇◇◇
その後を、シクンさんとシュカが乗るトレーラーを牽いた、トラックが続く。
シクンさん曰く、殆んどのモンスターや動物は、シュカさんを恐れて近寄って来ないらしい。
ただ、人間は……相手の強さを肌で感じ取る能力が低いらしく……
盗賊が襲ってきたり、下級貴族がタカる為に因縁をつけて来たりする事が多々、有るらしい。
普段は、そう言った連中と、後腐れが無いように、
ちょっかいを出された全滅させているらしいのだが、今回は……
そう言た連中が、いちいち相手をするのも面倒臭いぐらい増えそうだ。と言う事で、
そもそも、そう言った連中が寄って来ない為に、悪名高いギャクコン団に同行を頼んだらしい。
因みに、ギャクコン曰く、
シュカを倒すには、自分達と同ランクのパーティーが、少なくとも10パーティーは集まらないといけないらしく……
そんなメンバーを自前で集められる人間が、小遣い稼ぎに、行商人に因縁をつけるような事はしない。
だから、安全な旅路が保障されたようなもんだ。
と言って喜んでいた。
◇◇◇
最後尾は、コビヨ姉さんのペアと、俺とニチワミのペアが続く。
【治癒師】のジョブ補正を受けているコビヨ姉さんと、
【闇裏師(器用万能者)】のジョブ補正を受けている俺がトライクを運転する。
そして、【武聖】のジョブ補正を受けているヤカンサと、【賢者】のジョブ補正を受けているニチワミが、後ろ向きに座り、後方の確認をしてくれている。
◇◇◇
『ねぇ……
聖戦に参加していた兵団の人達が……
魔法や魔術。呪術や魔道具。通信機器や乗り物が使えなくなったって噂……あんたは信じてる?』
ニチワミが念話で話しかけてくる。
『俺達も……理由は分からんが、通信機器が使えなくなってるんだ。
だから、多分……聖戦の兵団の人達の通信機器も使えなくなっていたとしても不思議ではないだろうな。
でっ。魔法や魔術。呪術や魔道具や乗り物に関しては分からない。
分からないが……イノカワとスティオの我が儘にお付き合いする形で、聖戦の兵団に加わったサパヨ先生達の事を考えると……デマであって欲しい。って思ってるよ。』
『そうよね……
それと……あの時、別れたクラスメートの子達の中に死人が出てないと良いわよね……
通信障害が直ったら、一度、シスヨに連絡してみるわ。』
『どうだろうなぁ……
シスヨまで死んでるとは思えないけど……
お互いの意思で別行動を選んだんだ。
バッタリ会った時に聞くの良いと思うけど……
わざわざ、通信機器を使ってまで連絡する必要はないんじゃね?
てか……トラウマ級の思い出話を……
躁や鬱っぽいテンションで話されようもんなら、こっちまで、おかしくなるぞ。
知らぬが仏。触らぬ神に祟り無し。って奴じゃね?』
『他人の不幸は蜜の味とは言うけれど……
不幸すぎるかもしれない奴に不用意に接触すべきじゃないわね。
って……話しは変わるけどさぁ……
南都には……アタシ達のクラスメートの中の誰が警備兵として派遣されていると思う?』
『さぁ……行ってみてのお楽しみ。って事で良いんじゃね?』
『淡泊ねぇ……
てか……ニジコ達は、元気してるのかな……』
『元気にしてて欲しいけど……あまり会いたくはないな。』
『確かに。
あの時は、自分が受けられたジョブ補正が凄いもんだ。って勘違いしいたもんね……
しかも、そのせいで、カリーナ帝国軍を去る決断をした、あの子達に酷い事を言っちゃったしね。』
『だよな……
本当、今、思えば厨二病、真っ盛りの黒歴史だよ。
あの時、冷静だったのは……結局、あいつ達だけだったよな。』
『言えてる。』
苦笑いするニチワミの声が頭の中に鳴り響く。
念話は、マナを消費する為、あまり使わない方が良いのは分かっているのだが……
ニチワミとの取り留めの無い念話を打ち切れない自分が居る。
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