なりたい自分と適材適所
【ゴォォォォォー】・【ゴォォォォォー】
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トレーラーの上部の左右、6ヶ所に設置された、小さな灯り取り窓の外から風の音が聞こえてくる。
時刻は9時半。
トレーラーの中は、物油脂が入った樽を敷き詰め、
その上に、結界魔法でコーティングした木の板を張り、トライクが封印された小瓶を纏めた木の箱が置かれている。
その木の箱を小瓶に封印し、新しい木の箱に詰め直す事で、木の箱の数を減らし、僕とイノカワの居住スペースを作った。
また、トレーラーが揺れた際、木の箱が、僕とイノカワに、ぶつかって来ないように、
木の箱と僕達の間に、結界魔法がコーティングされた木の板を、僕達と木の箱を隔てる壁として配置した。
5日分程度の、食糧と今日の分の食糧が封印された小瓶や、武器やトライクを封印した小瓶等を、
ホットコーヒーや、おやつ。非常食なんかが入っているマジックボックスの中に入れて、僕とイノカワの間に置いた。
これは……トレーラーが揺れても、ぶつからない為の仕切りのような物だ。
結界魔法がコーティングされた木の板の上に敷いた電気毛布と、ブランケット代わりに使う電気毛布に電源を入る。
2枚の電気毛布と着込んだ防寒具があれば、
エアコンが無いトレーラーの中でも凍える事は無い筈だ。
それと、マジック ボックス化した小さな木の箱も設置した。
これは簡易トイレとして使用する予定だ。
これで、トレーラーに閉じ込められる事になったとしても……
僕の異能も駆使すれば、なんやかんやで、問題無く過ごせる筈だ。
◇◇◇
『ほな。出すで。』
「了解。」×2 ・『了解。』・『了解。』×2・『了解。』×4
僕・イノカワ・ゼロヒト君・嫁・メアちゃん達が、プグナコちゃんの言葉に頷く。
そして……トレーラーが、再び、ゆっくりと動き出す。
◇◇◇
『レイヒト君。
ここから、トスン連邦のヒラ山脈自治区にある蟻の巣鉱山にあるキュシの町に行くまでに、何れぐらいの日数がかかりそう?』
『ノー トラブルの場合でも……10日ぐらいは、かかると思うのでございまする。』
嫁の質問にレイヒト君が淡々とした口調で答える。
『了解。
ディンエさんに確認して貰う時間や……場合によっては改良する時間も必要。って考えたら……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)版のエアコンやビニールハウス的な物の設計図を、3日以内に作りたいわね。
レヤ。大変だと思うけど……気合い入れて終わらせるわよ。』
『はい。』
レヤが嫁の言葉に頷く。
『この世界(アン ナブ キ シェア ラ)版の魔法燃料液を燃料にしたエアコンや、ビニールハウス的な物を広める事が出来れば、異常気象の悪影響を最小限に抑えられる筈でございまする。
ディンエ殿にも協力を得ながら……何とか形に持っていって欲しいのでございまする。
頼むのでございまするぞ。』
『任せて。』
レイヒト君の言葉に嫁が力強く頷いた。
■■■
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「ただいま戻りました。」
時刻は15時。
イノカワが震えながらトレーラーに戻って来た。
イノカワは、キャンピングカーに、
明日の分の食糧が入った小瓶を取りに行ってくれていたのだ。
「ご苦労様。有り難う。」
「いえいえ。このぐらいしかやれる事が無いですからね。
レヤは、まだしも……僕は……
ただの無能な真似かねざる者ですから。」
イノカワが、自嘲気味に笑う。
「無能ねぇ……
レヤとサクモちゃんが、魔道具を作りあげたとして……
ギルドに特許を申請しなければ、世の中に広まらない。
生産ラインを整えて、販路を確保しなければ、売り上げに繋がらない。
そして……折角、魔道具を作っても……それを使いこなさなければ、ただの飾り(オブジェ)。
君が異能を使って……手伝える事は色々ある。
勿論、いくら君が……全てのジョブ補正を受けられるとはいえ……
たとえ、1つのジョブ補正を活用して、仕事をしているスペシャリスト達よりもショボいと思う。
何故なら、ジョブ補正では埋められ無い程の圧倒的な実務経験の差があるからだ。
だけど、多分……皆、自分の守備範囲以外は、そこまで理解していないと思う。
それに対して、君は……全ての業務を、ある程度でも把握する事が可能な筈だ。
だからこそ、君は……レヤとサクモちゃんが作る魔道具が消費者に届く為に、複数の人間の業務のスケジュールを管理した、調整したりする仕事が出来ると思う。
もしかしたら……目立ちたがり屋。ぽい君には……不本意な仕事かもしれない。
だけど……この魔道具の販売に関わらず、様々な業務で、こういった縁の下の力持ちは必ず必要なんだ。
だから……自分の得た異能をフル活用するノウハウを得る為にも……
トスン連邦のヒラ山脈自治区にある蟻の巣鉱山にあるキュシの町に着いたら、調整役の仕事に関わらせて貰えるように、キュシの町の人達に、お願いをしてみるのも有りだと思うよ。」
「つまり、この異能は……
自分を光輝かせる為に使う物よりも、他者を光輝かせる為に使うべき異能力。
サルクルさんは、そう仰りたいのですか?」
イノカワが、真剣な顔で質問をしてくる。
「うん。その通りだよ。
まぁ……若い君には、色々と不服かもしれないけれど……
年なんてものは、あっという間に取るもんだ。
その内、役割に年齢が追い付く筈だ。
そうなれば、生意気とか、そんな陰口も叩かれなくなる筈だ。
まぁ……仕事と言う面では……暫くはら我慢の時が続くかもしれない。
だけど……身にならない苦労にはならないと思うよ。」
「フフ。
サルクルさんは……変わった人ですね。
僕と言うよりかは……人に対して興味がなさそうに見えて、実は……よく見てたんですね。
拙者野郎が、出来る男になっていた理由が分かったような気がしました。 」
イノカワが、そう言いながら、嬉しそうな顔をしていた。
■■■
『サルクル殿。報告が遅れました事、お詫び申し上げるのでございまする。
ベシアセ連邦と、カリーナ帝国の北方の、いくつかの町で、軍人や傭兵らしき人達が……活発に行き来しておられるでございまする。
通信障害のせいで、通信機器をジャックしても情報を掴め無い為、何が起きてるのか分かりかねまするが……
何やら、不穏な空気を感じるのでございまする。』
レイヒト君が、そう言いながら、【空の目】に移る映像を共有してくれる。
「カリーナ帝国のサンアン辺境伯の粛正が決定するまでは、彼女と懇意にしていたと、カリーナ帝国の宰相のカブズルが言っていた、北方の貴族達の旗が混じってるね。
それと……ベシアセ連邦側の旗は……
ベシアセ連邦で一番、大きなカンガ族の旗だね。
でっ。カンガ族も……サンアン辺境伯と懇意にしていたと、カブズルが言ってた。
それと……結局、僕達は、サンアン辺境伯を捕らえる事が出来なかったんだ。
だから、もしかしたら……
サンアン辺境伯が、失った領地を取り戻せるように、
カンガ族や北方の貴族達が動いているのかもしれないね。」
イノカワが、そう言いながら、共有された映像をジッと見つめている。
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