【サイドストーリー】変化(レヤ視点)
「有り難うございます。
これで……足がつきそうな物を、全て捨てられます。」
アタシは、そう言いながら、拙者君達に頭を下げた。
イノカワ君も、一緒に頭を下げている。
時刻は19時。
拙者君達は、アタシとイノカワ君に、屋根とドアが付いたトライクを1台と、電気毛布を二枚プレゼントしてくれた。
「足が付いたら……わたし達も巻き込まれ事故に遭いかねないからね。
だから……そんなに恐縮しなくても良いわ。」
サクモさんが苦笑いしながら、アタシとイノカワ君に返答を返す。
素っ気ない言い方ではあるが……アタシとイノカワ君が、気を使わないようにしてくれる配慮が嬉しい。
「そのトライクには、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の通信機器が積み込まれておりまするが、移動中の拙者達とのやり取りは、この携帯で行いまする。
電池の事は気にしなく良いでございまするので……常に電源を入れていて欲しいのでございまする。」
「了解。
何から何まで有り難う。」
イノカワ君が、拙者君に頭を下げながら携帯を受け取っている。
「てか……寒。
ほれ。ホットコーヒーや、おやつ。非常食なんかを入れたマジックボックスや。
明日の朝に補充はするけど……カロ◯ーメ◯トとかの非常食は、ウチ達とはぐれた時や、そん中から出られへんような時に食うもんやさかい……極力、食わんといてや。 」
アタシは、プグナコさんに頭を下げながら、
サルクルさんが異能で増やしてくれた、マジック ボックス化したサクモさんのエコバッグを渡す。
「はい。有り難うございます。」
アタシは、プグナコさんに頭を下げながら、マジック ボックス化したエコバッグを受けとる。
「じゃあ……そろそろ行こうか。」
「了解。」×7
サクモさんに短い返答を返すと……皆で、各々の乗り物に乗り込んだ。
◇◇◇
『雪雲が近づいて来ておるでございまする。
吹雪で前が見えなく成る程では無いように見えまするが……雪雲が間近まで迫ったら、ご報告するでございまするので、その時は……スピードを落として欲しいでございまする。』
「了解。」・『了解。』
アタシとサクモさんは、拙者君の指示に、同時に頷く。
「イノカワ君。
座ったままにはなるけれど……取り敢えず、寝れる時に寝ておいてね。」
「了解。
食べさせて貰ったキムチ鍋と……
風を受けないトライクと、電気毛布を頂いた、お陰で……体がポカポカしてる。
正直……先刻から眠くて仕方なかったんだ。
だから、お言葉に甘えて、少しだけ……眠らせて貰うよ。 」
イノカワ君は、そう言った途端、イビキをかきはじた。
■■■
【ゴォォォォォー】・【ゴォォォォォー】
【ゴォォォォォー】・【ゴォォォォォー】
【ゴォォォォォー】・【ゴォォォォォー】
風が強くなってきた。
時刻は、23時。
拙者君の言った通り……ホワイト アウトになる程、吹雪いてはいないけど……
10分前に拙者君が出した、スピードを落とせ。っていう指示は的確だった。
「何があったんだい?」
イノカワ君が、起きて来た。
「吹雪よ。
まぁ……行軍に影響が出る程でも無いから……ゆっくり寝てて。」
「そうか。良かった……
お言葉に甘えて、もう少し、寝かせて貰うよ。」
「そうして。おやすみ。」
「おやすみ。」
イノカワ君は、そう言うと……また、イビキをかきながら、眠りに落ちた。
やはり……半球睡眠が出来ないイノカワ君の体力は……限界を越えていたのだろうな。
■■■
『氷に閉ざされた大陸(シェグの大陸)に引きこもっていた元管理人や、神仏の代理人達の進攻を受けた、クンの大陸(南半球の大陸)の最南端にある、カドルナ王国の最南端の地域が……
元管理人や、神仏の代理人達の手に落ちたでございまする。
ディンエ殿にメールをしたところ……彼女も気がつかれていたようでございまする。
それと……ディンエ殿は、
クンの大陸(南半球の大陸)を仕切ってられる【オピオタウロスの荷車】のフォローに入られるらしく……
拙者達からの報告へのレスポンス等が遅れると思う。と、仰られておられるでございまする。』
拙者君の慌てた声が携帯から聞こえてくる。
【オピオタウロスの荷車】。ってのはよく分からないけど……確か……
クンの大陸。ってのは、南半球にある、アタシ達が居る、ウグの大陸(北半球の大陸)とは別の大陸だったわよね?
でっ。ディンエ。って方は……
カリーナ帝国で習ったのは……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)をグチャグチにした神様のような存在の……最後の代表者だと習ったが……
拙者君達が言うには、
アタシ達が元の世界(ムシュ イム アン キ)に戻れるように尽力してくれている方だったわよね?
気にはなるけど……
今、質問するのは、皆の邪魔になるな。
かといって……イノカワ君をわざわざ起こすのも……ちと違うか……
まぁ……明日の朝、イノカワ君が起きたら……今、聞いた話や……アタシが思っている事を話してみるか。
◇◇◇
「拙者野郎……この世界(アン ナブ キ シェア
ラ)に来てから、物凄く頑張ったんだろうね。
拙者野郎がサクモさん達の一向に加わっていて、僕と君が戦力外通告をされた時は、何かの間違いだと思ったけど……
たった半日、拙者野郎の仕事ぶりを見させて貰っただけで……
その判断に間違いは無い。と認めざる得なくなったよ。」
イノカワ君の寂しそうな声が後ろから聞こえてくる。
「そうね。
てか……寝なくて大丈夫なの?」
「8時間近くも寝かせて貰ったからね。
君ばかりに負担をかけるのも忍びないし……起きるよ。」
「嘘。もう……3時。
集中し過ぎてたのか……全然、気がつかなかったわ。」
「僕もだよ。
ほんの少し前まで……泥のように眠ってたらしい。
気がつけば……この時間だったよ。」
「そう。それは良かった。」
「君のお陰で復活したよ。有り難う。」
「どういたしまして。」
イノカワ君との他愛もない話が止まらない。
元の世界(ムシュ イム アン キ)に居た頃の自分に、この事を話しても……きっと信じないだろう。
だって……その頃のイノカワ君は、今とは別人だからだ。
不遜で尊大で自己中で……
その癖、自意識過剰で口だけの意識高い系の極み。
しかも、優しさや労りの気持ちの欠片すら無い暴君の最低最悪の糞野郎。
アタシは……心の中で、貴方の事を、ずっと……そう思ってた。
もしかしたら、仲間内では別の顔があったのかもしれないけど……
もし、そうじゃなければ……短期間で変わったのは、拙者君だけじゃない。
貴方も……随分、変わったよ。
今は、自信を失くし、劣等感と罪悪感に苛まれ……
自分の事を最低の人間だ。と思い込んでるかもしれないけど……
それでも……アタシ達との未来の為に……
今を投げ出さず、前を向き、やれる事を精一杯、やってくれている。
そんな貴方だからこそ、アタシは……貴方と一緒に生きたい。
そう思えるようになったのよ。
まぁ……今は……恥ずかしいから面と向かって言えないけど……何時かは……ちゃんと伝えたいな 。
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