次の目的地
4話(新生活の始まり)に、サスケイからサルクル達が貰った武器の詳細を加筆しました。
もし、良かったら読み直して頂ければ嬉しいです。
引き続き、宜しくお願いします。
『成り行きで、イノカワとレヤを乗せたまま走ってるけど……こいつ達を仲間に加えはるつもりなんか?』
プグナコちゃんの淡々と話す声が携帯から聞こえてくる。
『この方達とは、元の世界(ムシュ イム アン キ)では、色々とありましたが……
相手の感情を読み取り、嘘等を見抜く能力もある、拙者の異能【星の記憶へのアクセス】を使って、お2人の様子を観察させて頂いていたのでございまするが……
お2人とも……良い意味で、拙者が思ってた人では無かったでございまする。
きっと……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に来られてから……良い意味で変わられたのでございましょうな。
でっ。それは……拙者にも言える事でございまする。
今、思えば……拙者にも……
仲間外れにされるような問題行動を取ってた部分も多々、あったと思いまする。
ですから拙者は、その……
お2人との過去のわだかまりを水に流し、
お2人を、仲間として受け入れる事も出来るのでございまするぞ。』
レイヒト君の真剣に話す声が携帯から聞こえてくる。
◇◇◇
「ギルドの依頼を途中で投げ出して、カリーナ帝国の聖戦の兵団から脱走した2人を受け入れるのはリスクが高過ぎると思う。
だから、2人には悪いけど……
水や食糧。燃料を補給させて貰う。
だから……2人には、途中下車して貰いたいね。」
「レイヒト君が、過去のわだかまりを捨てて、
個人的な友情を育む為に、通信機器を使って、やり取りをしたいのならば、止めはしない。
だけど……わたし達の仲間に加える事は反対ね。
理由は、今、パパが言ったように……2人を仲間に加えるのはリスクが高過ぎるからよ。」
嫁が、レイヒト君の気持ちを汲みつつも、僕の意見に賛成だという事を伝える。
多分、嫁は……
皆の感情を無視して、機械的な判断を下した僕のフォローをしてくれたようだ。
僕達の裏の仕事は、
自分自身を含めて、感情に流されず、合理的な判断を下し続けられたとしても、成功させられる保障が無いような難易度の高い仕事だ。
だからこそ、大事な決断は機械的な判断を下さないといけない。
だけど……人は感情の生き物だ。
小さなスレ違いや綻びから……仲違いに発生する事は多々ある事だ。
だから、こそ、嫁の……
こういった配慮は、非常に助かる。
『個人的には、水や食糧。燃料を補給したる義理はあらへん。
このまま、放り出したったらえぇ。て思ってる。
せやけど……そのせいで2人が、町や村にたどり着けずに、行き倒れでもしはったら……
お人好しのレイヒトが、自分がイラン事を言ったせいや。っちゅうて、自分の事を責めはりそうや。
せやから……ウチ個人としては、不本意やけど……
レイヒトに免じて、サルクルさんの意見に賛成したるわ。』
プグナコちゃんの不機嫌そうに話す声が携帯から聞こえてくる。
◇◇◇
『1つ提案があるのでございまするが……
イノカワ。レヤを伴って、トスン連邦のヒラ山脈自治区にある蟻の巣鉱山の中にあるキュシの町を目指し、
そこで……イノカワとレヤと別れるのはどうでございましょうか?』
レイヒト君の真剣に話す声が携帯から聞こえてくる。
『蟻の巣鉱山?
けったいな名前の場所やね。
どんな場所なんや?』
『ヒラ山脈は、60座以上の以上の山々が連なる山脈で……
その長さは、500キロメートル以上あるのでございまする。
でっ。その山々の多くは鉄鉱石や金や銀。魔石や石炭など、様々な鉱物が採れる鉱山なのでございまする。
ただ、森林限界以下の木々が生い茂る場所には、危険なモンスターや動物が多数、蔓延っておられる危険な場所でございまする。
また、森林限界以上の場所は、寒暖差が激しく、人が住むのには過酷過ぎる環境でございまする。
だから、ヒラ山脈では、
鉱物の取れない山の中の洞窟を拡張して町を作られるようになったのでございまする。
洞窟の入り口を狭く作れば、モンスターや動物の襲撃から身を守りやすいのでございまするし……
洞窟というか……地中は……地上よりも遥かに寒暖差が少ないでございまするからな。
更に、地上を通らずに、近くの鉱山や、
他の洞窟を拡張した町とを行き来する事が出来るようなトンネルも掘らておられるらしいのでございまする。
でっ。それが、山の中に作られた巨大な蟻の巣のように見える。という事から、何時しか……蟻の巣鉱山と呼ばれるようになったらしいのでございまする。』
「成る程ね。
でっ。その洞窟の町には……外から入れる場所も……ちゃんと、あるんだよね?」
レイヒト君の話を聞いた嫁が、真剣な顔で質問をする。
『勿論でございまする。
洞窟の町の中では……作物を育てる事が出来ないのでございまするからな。
1つの洞窟の町には、外との出入口が、大体、5~6箇所程、あるらしいのでございまするが……
その出入口のある場所には、巨大な農園や、
隊商や行商人や運び屋と取り引きをする為の倉庫街があるのでございまする。
勿論、外から、その出入口を訪れる為の道もあるのでございまする。』
嫁の質問にレイヒト君が、穏やかな口調で答える。
◇◇◇
「でっ。洞窟の町を繋ぐトンネルは……僕達のような外から来た人間も通れるの?」
『移民を含めた住民の推薦があれば可能らしいのでございまする。
それと……お得意先の商会や部族や、その推薦を受けた者もケース バイ ケースで通れる場合があるようなのでございまする。
因みに、洞窟の町の多くが、ドワーフや獣人。エルフ等の亜人の方らしいのでございまするが……
亜人の方々で【農夫】や【畜産家】等の農業系のジョブ補正や、【商人】や【行商人】・【運び屋】等の商売系のジョブ補正を受けられる方が少ないらしいのでございまする。
また、人族・亜人に関わらず、
【錬金術師】や【戦闘工兵】等、人外地での戦闘が可能な職人系のジョブ補正を受けられる方は、非常に少ないらしいのでございまする。
その為、蟻の巣鉱山の多くの洞窟の町では……
特に、そういったジョブ補正を受けられるている方々の移民を求めておられるらしいのでございまするが……
中々、そういった人材が、集まらないらしいのでございまする。
ですから……イノカワやレヤが身を隠すには……打ってつけの場所だと思うのでございまする。
そんでもって、イノカワやレヤが移民として認められれば……
拙者達は、複数の洞窟の町をトンネルを使って移動する事が出来るようになる為、拙者達の行動を【空の目】では追えなくなるのでございまする。』
レイヒト君は、僕の質問に答えてくれるだけでなく、有益な情報についても語ってくれた。
◇◇◇
「成る程ね。
だけど、移民となれば、身元を調べられるだろうね。
ギルドの登録後に、妖人となったレヤは……まぁ……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)での身元が不明。って事になるだろうから、新規登録者としてギルドに登録すれば、問題無いだろうけど、イノカワは……
ギルドに登録された記録が残っているだろうから……難しいんじゃない?」
「もし、イノカワが、【ジョブ マスター】という異能以外の異能を得られていたら……
サルクル殿の仰られるように、
トスン連邦のヒラ山脈自治区にある蟻の巣鉱山の町への移住は難しかったと思われまする。
ですが……【ジョブ マスター】は……
失礼を承知で言えば、アサグの異能ではなく……
【闇裏師(器用万能者)】の上位置換のジョブ補正を受けた妖人。っていう感じの異能でございまする。
ですから、その……ギルドの登録装置に記録される情報は、アサグとしてではなく……登録時に繋いでたジョブ補正を受けた妖人として記録されるのでございまする。
つまり、その……ギルドの登録時に繋いでいなかったジョブ補正を繋げば……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)での身元が不明。って事になり、新規登録者としてギルドに登録する事が可能になるのでございまする。』
レイヒト君が、淡々とした口調で話す声が携帯から聞こえてくる。
「この異能を選んだ事を……初めて良かったと、心の底から思えたよ。」
レイヒト君の話を聞いたイノカワが、そう言いながら……ホッとした顔をしている。
「じゃあ……
次の目的地は、トスン連邦のヒラ山脈自治区にある蟻の巣鉱山にあるキュシの町に決定ね。」
嫁が、次の目的地を決めた。
『了解。
レイヒト。ナビは頼むで。』
『任されたでございまする。』
レイヒト君が、プグナコちゃんに、嬉しそうな声で返答を返していた。
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