尋問
「でっ。君達は……何故、ここに居るの?」
「戦争が怖くて……逃げ出したのです。」
僕の質問にイノカワが、震えながら答えてくれる。
時刻は11時30分。
消耗が激しい彼達に、カップのお粥を与え、
食べながら質問に答えて貰う事にした。
『嘘をついておられない事は重々承知しておりまするが……
拙者の調べた限りでは……カリーナ帝国に召還された方々は、基本……
カリーナ帝国の警備隊の隊員として、カリーナ帝国の全土に振り分けられたかと思われまする。
そんな中、何故、貴方達は、カリーナ帝国の聖戦に参加される事になったのでございまするか?』
レイヒト君の質問が携帯から聞こえてくる。
「僕は……思い上がってたんだ。
君達と違い、出来損ないの異能を選んでしまったとはいえ……僕もアサグの一員だ。
だから……戦争に出て、俺は……俺TUEEE LIFEや、俺sugeee LIFEを満喫しようと思い、
レヤや……その他、数人の仲間達と共に、カリーナ帝国軍を除隊して、高ランクの冒険者として聖戦に参加したんだ。
だけど……現実は……そんな生易しものじゃなかった。
聖戦の前哨戦となったサンアン辺境伯の討伐戦で僕は……血と汗と臓物の臭いに……何時、殺されるかもストレスで……頭が真っ白になり、何も出来なかったんだ。
そして……彼女も……似たような理由で、戦場に嫌気を差していた。
だから……アサグと妖人以外は、魔法や魔術。呪術や魔道具が使えなくなり、
妖人や僕の異能を除き、ジョブ補正が切れた状態になる。という謎の状況が発生した時に……即座に離脱したんだ。」
イノカワがレイヒト君の質問に淡々とした口調で答える。
『成る程ね……
せやけど……戦争が怖いからと言って逃げはったんは不味いんやないか?
しかも、自分達(イノカワ & レヤ)……カリーナ帝国軍の兵士として聖戦に参加しはったんなら、まだしも……
ギルドに登録してはる冒険者として聖戦に参加したんやろ?
世界規模の組織。ギルドの依頼を勝手に放棄しはったん事んや。
ギルドの登録者から除名されはってもおかしないんちゃうか?
てか、自分達(イノカワ & レヤ)……この先、どうやって食っていきはる、つもりやったや?
そこんと……もう少し、詳しゅう聞かせてくれへんか?」
プグナコちゃんの質問をする声が、携帯から聞こえてくる。
◇◇◇
「アタシが、妖人になったのは、その……
この聖戦への行軍途中で、イノカワ君と、その……
そう言う関係になった事で、その……
イノカワ君の番として認定されたからなのです。
でっ。その事を……誰も知らない筈です。
ですから、その……アタシは……ギルドに新規の登録者として、登録する事が可能です。
そんでもって、家族経営の商人や職人。行商人や運び屋等は、ギルドの更新料を安く抑える為に、代表者以外は、敢えて、ギルドに登録しないらしいですので……
たとえ、イノカワ君がギルドの登録者では無い事にしたとしても……何ら不自然では無いのです。
ですから、その……2人で辺境の町か村に落ち着いて……細々と暮らしていくつもりでした。」
レヤが淡々とした口調で、プグナコちゃんの質問に答えてくれる。
「へ~。それ……
わたし達に言っちゃっても大丈夫なの?
わたし達が、ギルドにタレコミでもしたら……大変な事になっちゃうぞ。
って……ゴメン。冗談よ。」
嫁の話を聞いて、青い顔になったイノカワとレヤを見た嫁は……
苦笑いしながら、今のところ、ギルドにタレコむつもりが無い事を2人に伝える。
◇◇◇
「イノカワ。君は……
『レヤや……その他、数人の仲間達と共に、カリーナ帝国軍を除隊して、高ランクの冒険者として聖戦に参加したんだ。』
って、言ったよね?
君とレヤ以外のメンバーは……戦場に適応する事が出来たの?」
「はい。
何故か……元の世界の名前を言え無い為……
誰が聖戦に参加したのかについては……拙者君にも、お伝えする事が出来ませんが……その……
他のメンバーは……サンアン辺境伯の討伐戦で、かなりの活躍をされました。
サンアン辺境伯の討伐戦の後、アタシとイノカワ君は、後方支援の部隊。
他の方々は、別の部隊に編入された為、その後の事は分かりかねますが……
皆さんは、アタシ達と違って……嬉々として聖戦に参加されていたと思います。」
レヤが、僕の質問に淡々とした口調で答えてくれる。
◇◇◇
「そう。
レヤ。君は……イノカワと番になった事で妖人になった。と言ったよね?
イノカワの言う、数人の仲間達の中に……
君以外に、何らかの理由で妖人になった人。もしくは……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に召還された時点で妖人だった人は居る?」
「居なかった……筈です。」
「少なくとも、僕の認識では……妖人ではなかったです。」
レヤとイノカワが、僕への質問に返答を返してくれる。
『嘘は、ついてないでございまする。
となると……イノカワの舎弟のスティオは……
イノカワとレヤと別れた後、妖人になったのでございまするな。
でっ。スティオが、その事をイノカワに報告しておらぬ事を鑑みますと……
スティオが妖人になったのは……世界的な通信障害が起こった後だと思われますな。』
レイヒト君の淡々と話す声が通信機器から聞こえてくる。
「スティオが妖人!どういう事だ?……ですか?」
『無理に……敬語で話そうとしなくても良いでございまする。
妖人となったスティオは……
数人の妖人達と、数匹の特別な獣達と共に、
氷の大地を移動しながら、この礫砂漠の北西を目指しているようなのでございまする。って……
イノカワ。レヤ。
サパヨと言う字を得た、副担任も……数人の仲間達の、お1人でございまするか?』
レイヒト君の焦った声が携帯から聞こえてくる。
◇◇◇
「どういう事だ!ですか?
聖戦の兵団には、僕以外にアサグも妖人も居ないと聞いていたぞ!です!
まぁ……レヤの件がある。りますから……なんとも言えんが……ですが……
詳しく教えろ!下さいです。」
イノカワが、命令口調のタメ口のような……敬語のような……よく分からない言葉でレイヒト君に質問をする。
『サパヨは、数人の仲間達の、お1人でございまするか?
先に拙者の質問に答えるでございまする。』
レイヒト君のドスの効いた声が携帯から聞こえてくる。
「サパヨ先生も……数人の仲間の1人でございます。」
イノカワが怯えた顔をしながら、レイヒト君の質問に答える。
『自分が、そんなにキレそうになりはってるんも珍しいな。
そのサパヨ。ちゅう奴に……どんな恨みがあるんや?
てか……荒事は苦手やろ?
せやから、ウチが……そいつをシバくんを手伝ったるで。』
プグナコちゃんのドスの効いた声が携帯から聞こえてくる。
落ち着きを取り戻しつつあった、イノカワとレヤの顔面が蒼白になっていく。
「レイヒトさん。
今後は、僕の知りたい事を聞くよりも……君への質問の回答を優先します。
本当に……申し訳ございませんでした。」
イノカワが震えた声でレイヒト君に謝罪をする。
『イノカワ。
申し訳ないのでございまするが……少し、黙っていて欲しいのでございまする。
サルクル殿。サクモ殿。プグナコ殿。
数10羽のケンタウルスみたいな形をした物体に取り憑いている幽霊達みたいな感じの奴の鳥バージョンのような奴達の中に……サパヨの魂を見つけたのでございまする。
それと……
数10羽のケンタウルスみたいな形をした物体に取り憑いている幽霊達みたいな感じの奴の鳥バージョンが……スティオ達の距離が……5キロぐらいまで縮んだのでございまする。』
レイヒト君の真剣な声が携帯から聞こえてくる。
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