【サイドストーリー】 召還者達の密談(イギンゲシュトゥグ視点)
「幻獣種の猫魈が、我が軍(カリーナ帝国軍)に入隊してくれなかった事は残念な事だったが……
前回の召還の時と違い、異世界(ムシュ イム アン キ)人を、我が軍(カリーナ帝国軍)へ取り込む策は、概ね成功した。と言えるな。」
執務室に戻ると同時に、陛下(カリーナ皇帝)が、ホッとした顔をされた。
「ここだけの話。
今回、ムシェンサン様に、ご出席して頂か無かった事も、話がスムーズにいった要因でしょうな。」
陛下(カリーナ皇帝)の言葉を聞いた、宰相のカブズル様が、ニヤニヤしながら、ご返答される。
前回の召還時、この国(カリーナ帝国)の第1皇女であり、カリーナ帝国軍の総大将でもあらせられる、ムシェンサン様が、尊大な態度を取った事で、我々が召還した4人のアサグをブチギレさせてしまった。
しかも、そのせいで、我々が召還した異世界(ムシュ イム アン キ)人達が、全員、4人のアサグ達に着いて行ってしまう。と言う大失態を犯す事になってしまった。
異世界(ムシュ イム アン キ)人の召還には、莫大な量の魔法石が必要だ。
しかし、前回の召還では、その投資が、ムシェンサン様のせいで、ドブに捨てたも同然の結果となってしまった。
そのせいで、我々と世界の覇権を争っている、イランツ カバー帝国や、神聖法王国との兵力に差をつけられてしまった。
本来ならば、死罪に値する失態だが、
ムシェンサン様は、次の皇帝になられるお方と言う事もあって、謹慎という軽い処罰で許された。
でっ。カブズル様は、陛下(カリーナ皇帝)に対して、その事を暗に揶揄されたのだろうな。
「そちの言いたい事は分かる。
前回、召還した異世界(ムシュ イム アン キ)人達は、
世界征服に興味を持つ国が無い、クンの大陸に拠点を移し、軍事・経済同盟なる考えを広めよった。
そのせいで、我が国(カリーナ帝国)を含む、このウグの大陸でも、世界征服に興味の無い亜人どもの部族が真似を始めた事で、我が国の世界征服の計画にも少なからず悪影響をもたらしているのも事実だ。
更に……統一国家に否定的な、世界的な組織。ギルドも……軍事・経済同盟なるものを推奨している。
しかも、ギルドの言う通り、ウグの大陸の軍事・経済同盟なるものが、氷に閉ざされたシェグの大陸に追いやった神仏の代理人達からの反撃への抑止力になっている事も事実だろう。
ムシェンサンの失態は、この国(カリーナ帝国)に、多大なる悪影響をもたらしたのは、余も理解しておるつもりだ。
だが……ムシェンサン以外の後継者が、ムシェンサン以上のポンコツなのも、また事実なのだ。
だから……我が国(カリーナ帝国)の未来の為に、どうか、堪えて欲しい。」
陛下(カリーナ皇帝)が、そう仰られながら、カブズル様に頭を下げられた。
陛下(カリーナ皇帝)の執務室の中は、陛下(カリーナ皇帝)と、カブズル様以外には、諜報部隊の隊長の俺を含めて、数名しか居ない。
陛下(カリーナ皇帝)のカブズル様への対応は、完全なオフレコの場だからこそのものだ。
◇◇◇
「イギンゲシュトゥグ。
今回、召還した異世界(ムシュ イム アン キ)人をどう見る?」
陛下(カリーナ皇帝)が、興味津々な顔をしながら、俺に問いかけてこられた。
「そうですね……
前回と違い、イノカワと言う、変異点のアサグまで、我が軍(カリーナ帝国軍)に取り込めた事は、素直に喜ぶべきでしょうな。
ただ……イノカワについては、気になる点があります。
我が国(カリーナ帝国)以外の国々に召還された多くの変異点のアサグを含めて【ジョブ マスター】と言う異能を選ばれる方が、一定数、居られますが……
【ジョブ マスター】と言う異能を選ばれる方は、皆、一般人の金持ちとして生きて行く為に選択された。と聞いています。
何故ならば、【ジョブ マスター】と言う異能は……
使い勝手が良い反面、魔法や魔術の効果が、異能としてカウントされない為、
他のアサグの異能の効果よりも、魔法や魔術の優先順位が低い。と言う、明確な弱点がある異能だからです。
ですから、一般人に混じって商売をしたりした場合、無双する事も可能でしょうが、
アサグも参戦する戦場で、武功を上げるのは難しい異能です。
ですが、彼は……
選択された【ジョブ マスター】を使いこなし、
我が軍(カリーナ帝国軍)へ入隊した暁には、多大なる功績を上げるつもりだ。的な事を言っておられました。
もし、これが、我々への社交辞令でなかったとしたら……
様々なルールへの理解力が低い間抜け。
しかも、承認欲求とプライドだけは高く、更に、自分の落ち度を頑なに認めない方のような気もしました。
とは言え……
我が国(カリーナ帝国)は、今、アサグを飼い殺しにする余裕はありません。
ですから、彼の真意を探る為に行動を起こすべきだと考えます。
そして、彼が間抜けなプチ チートだと言う推測がなされた場合、可哀想とは思いますが、
彼の取り巻きを見習って、彼を上手く煽て、速やかに使い潰してしまうのが最善策だと思われます。」
「成る程。
つまり、イギンゲシュトゥグは、
イノカワが、ムシェンサン様と同じタイプだと言いたいのだな。」
「カブズル様のご見解には、ノーコメントとさせて頂きます。
ただ、私が思うに、今回、唯一、我が軍(カリーナ帝国軍)への参加を拒んだ者達は、イノカワの異能の欠点に気がついているような気がしました。
唇を読めなかったので確証はないのですが……
幼女が、イノカワに何かを言った後から、彼の自分自身の異能に対して、自画自賛しなくなったのが、そう思う理由です。」
俺は、ニヤニヤ笑うカブズル様の嫌がらせをヒラリと交わしながら、今回の最大の懸念に踏み込んでみた。
「あの幼女は……人ではない。
先程、余が、我が軍(カリーナ帝国軍)に取り込めなかった。と嘆いていた、幻獣種の猫魈だ。
まれに、異世界(ムシュ イム アン キ)から来た使役動物は、
異世界(ムシュ イム アン キ)での生活の延長線上で、格下の主人に使える(ティムされる)事は珍しい話では無い為、絶対とは言えないが……
我が軍(カリーナ帝国軍)への入隊を拒んだ者達が、アサグだと言う可能性もある。
なので、カブズル。
我が軍(カリーナ帝国軍)への入隊を拒んだ者達が、何者かの確認が取れるまでは、絶対に敵対行為を控えろ。と言う通達を、余の名を使って、出しておいてくれ。」
「畏まりました。
ムシェンサン様へは、陛下(カリーナ皇帝)からも、念押しをしておいて下さいませ。」
カブズル様が、陛下(カリーナ皇帝)のご指示に、恭しい態度で、ご返答しつつも、皮肉を忘れない。
「分かっておる。
此度もやらかしたら……そちの望み通り、ムシェンサンは死罪に致す。
その旨を、余から、ムシェンサンだけでなく、皆に伝えておこう。」
「ご英断、感謝致します。
前々回、召還されたアサグ様達を、ムシェンサン様が独断で追放された件は、まだ、庇いだてが出来るとして……
ムシェンサン様が、前回の召還者達を激怒させて離反さてしまった件を、快く思っていない貴族達から庇いだてする事は、私の力では不可能でした。
ですが……陛下(カリーナ皇帝)の、ご英断のお陰で、そういった者達を、何とか静かにさせる事が出来そうです。」
カブズル様は、そう仰りながら、安堵の表情を浮かべられていた。
■■■
「はぁ……疲れたぁ……」
一応、俺の副官。と言う立場であるカキリが、そう言いながら、もたれ掛かってきた。
「だよな。」
俺は、そう言いながら、カキリの頭を撫でる。
何時もは、書類の山に囲まれる、俺専用の執務室から、一秒でも早く、出たいと願うところなのだが……
今日は、この部屋に引きこもりたい気分だ。
「今日は、誰も訪ねて来る予定もない。
だから、今日は……この部屋で……いけない事にチャレンジしてみない?」
カキリは、そう言いながら、俺の股間を、まさぐりながら、シャツを脱がし始めた。
「ウゥ。」
「何時も、思うんだけど、さぁ……
チ◯コよりも、乳◯や、ケ◯ マ◯コの方が敏感な、貴方って……ド変態な男の娘よね……」
「ハウ。」
カキリに淫乱な言葉で罵声を浴びせられただけで……俺の身体に快感が走る。
「もう。どんだけド変態なのよ……
直ぐに逝くとか……絶対に許さないんだからね。」
カキリは、妖艶な笑みを浮かべながら、そう言うと……俺の身体を、本格的に弄び始めた。
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