苦肉の策②
「ディンエ殿から連絡が来たでございまする。
取り敢えず、予定していたディンエ殿との打ち合わせは不要でございまする。
ですから……プグナコ殿はリア キャビンのダイネット スペースをベッド モードにして休んでくれていたら良いでございまする。」
「自分……何時の間に、ディンエさんに連絡しはったん?
てか……メッサ、返信、早いな。」
レイヒト君の話を聞いたプグナコちゃんが驚いた顔をしている。
「拙者は……まだ、ディンエ殿に連絡をしておらぬでございまする。
ですが、その……ディンエ殿やサスケイ殿も……サルクル殿と同じような懸念を抱かれておったらしいのでございまする。
そこで……
ディンエ殿達は【空の目】に撃ち落とされないための特別な術式の変更をされたらしいのでございまするが……
その影響で、拙者達の居る、大森林地帯の北東部以外の地域では……大規模な通信障害が起きているらしいのでございまする。」
「どんな被害が出てるのかとか……
いつ頃、復旧しそうなのかとか……
その辺の情報も貰えてる?」
「拙者達の世界(ムシュ イム アン キ)で通信障害が起こった時に、ネットに接続が出来ない時と……同じような被害でございまする。」
レイヒト君が僕の質問に淡々とした口調で答えてくれる。
「つまり……通信機器を使った、メールや通話等の通信が……全く、出来なくなった。って事?」
「その通りでございまする。
それと……【空の目】へのアクセスも遮断されておりまするな。
拙者達の居る、大森林地帯の北東部以外の地域で、大規模な通信障害の影響を受けていないのは……
拙者と同じ【星の記憶へのアクセス】を持つ、超越点のアサグぐらいかと思われまするな。」
レイヒト君が僕の質問に淡々とした口調で答えてくれる。
「成る程。
でっ。いつ頃、復旧しそうなのかについても聞いてるの?」
「ディンエ殿は、出来る限り早く復旧させたいようでございまするが……
復旧するまでには、最低でも、10日以上は、かかりそう。だとの事でございまする。」
レイヒト君が僕の質問に淡々とした口調で答えてくれる。
◇◇◇
「こっちの方向へ向かって来てはる雑食道造り飛蝗の群れ以外にも、
カリーナ帝国の方向や、イランツ カバー帝国の方向へ向けて移動してはる雑食道作り飛蝗の群れが居はるんやろ?
この状況で、通信障害が起こって、通信機器が使われへんようになったり……【空の目】からの映像が見られへんようになるんは、
かなり不味いんとちゃうんか。」
「その通りでございまする。
因みに、クンの大陸(南半球の大陸)でも、
メアマ帝国・フカプ王国・プフミオワ連邦で、雑食道造り飛蝗の群れが発生しているようでございまする。
また、チャア帝国・カボワダア王国では、
危険度で言えば、拙者達の世界(ムシュ イム アン キ)の上位置換とでも言うべき存在の焦土蟻が、
異常気象の影響からか、普通では考えられないような大規模な群れを作って練り歩きながら、甚大な被害を撒き散らしておる真っ最中のようでございまする。
このタイミングで、通信機器や【空の目】からの映像が見えなくなった事で……甚大な被害が出る事は、ディンエ殿も分かっておられるでございまする。
ただ……ディンエ殿が仰るには、
それでも、今、【空の目】に撃ち落とされないための特別な術式の変更しなければならかった。
何故なら、ディンエ殿が居らっしゃる場所(他世界との次元の境界線上にある、次元転移装置を管理する施設)にある情報機器が【虹を見たい者達】によってハッキングされ、
【空の目】に撃ち落とされないための特別な術式を変更された場合……
ほぼ、100%の確率で、サルクル殿が懸念されておった事が現実に起こり得るからなのでございまする。
そんでもって、もし、そうなれば……
ディンエ殿が再度、【空の目】に撃ち落とされないための特別な術式を変更しなおす事が出来なくなる可能性が非常に高いようなのでございまする。
沢山の人々の生き死にがかかっておられる状況で、大事の前の小事。と言う言葉で片付けるのが不適切だと言う事は重々、承知しておりまするが……
個人的には……ディンエ殿のご判断が誤っている。とも言えない気がするでございまする。」
プグナコちゃんの話を聞いたレイヒト君が淡々とした口調で話す。
「ディンエさんの今回の判断については……どの立場に立つかで評価が変わるだろうね。」
「個人的には【空の目】に撃ち落とされないための特別な術式を変更しなおすタイミングを、もう少し、後にズラして欲しかった気もするけど……
それが正しいのかについては……結局のところ分からないものね。」
僕の話を聞いた嫁が苦笑いしながら話す。
「せやな。
正しかったんか・間違えてはったんか。ってのは……結局のところ結果論で語られるもんやもんな。
って……ヤスズミ族の人達が、家畜をトレーラーに乗せ始めはったわ。
ウチ達も、一旦、話を止めて……移動の準備を始めた方が良えんちゃう。」
「だね。」
プグナコちゃんの言葉に嫁が頷いた。
■■■
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
雷の音が鳴り響く。
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
大雨が、僕達の車を打ちつけている。
『こちらニナル。
念の為、川から離れるわ!
予定のルートから外れるけど……アタシ達の後ろをしっかりと付いてきてちょうだいね!』
『了解。』×312 ・『了解。』
時刻は20時。
ヤスズミ族の人達と嫁が、ニナルさんの指示に短い返答を返す。
『こちらヤスズミ。
チヤ族から、ギルド本部や隊商班の一部のお客様との通信が出来なくなった。との連絡が来た。
ギルド本部への連絡は……儂達も取れぬ。
なので、誤報ではない。と思われる。
ニナル。
忙しいところ悪いのだが……お客様達と連絡が取れるか否かの確認をしてくれ。
それと……この件は、チヤ族の者達も動いてくれておる。
チヤ族からの報告結果についても、皆に報告する。』
『了解。』
ニナルさんがヤスズミさんの指示に短い返答を返す。
◇◇◇
「ひゃあ。
雨は良いけど……雷は嫌だなぁ……」
「だよな……寝るか。」
「え~。嫌。
トレーラーに乗ってる動物さん達を、もう少し観察しときたい。」
「好きだなぁ。
てか……あいつ達……大人しいな。
雷が怖くないのかなぁ……」
「トレーラーの中は安心だ。って思ってるんじゃない?
その証拠に雷が鳴ってからは、誰もお顔を外に出してない。」
「へ~。良く見てるな。」
「まぁね。
てか……このまま、雨が続いたら……明日は、お外で遊べないね。」
「だよな。」
バンクベッドから、メアちゃんとルオ君の話し声が聞こえてくる。
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