苦肉の策①
『やはり、4基の塔は、核ミサイルだったようでございまするぞ。』
時刻は16時。
レイヒト軍事の慌てた声が携帯から聞こえてくる。
「何処に、何発、発射されたの?」
『聖戦に赴いた、カリーナ帝国軍・神聖法王国軍の上空と……
イランツ カバー帝国の東都と南都の上空でございまする。
拙者が分かる範囲では……
半径 1200キロメートルの範囲では、
モンスターを含めた、全ての魔法や魔術や呪術。通信機器や乗り物を含めた、全ての魔道具が使えなくなり、ジョブ補正の接続も切れているようでございますぞ。
それと……1基だけは、まだ、発射されずに残っているのでございまするぞ。』
レイヒト君が、僕の質問に答えてくれる。
『そうそう。
ギルド本部の通信機器や情報機器を引っこ抜いて分かった事なのでございまするが……
ギルドの上層部が登録者達に【虹を見たい者達】に占拠された、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の、あちこちにある、龍脈に異常を起させている施設の奪還作戦は失敗したようでございまするな。
その理由は……龍脈に異常を起させている施設の周辺で、
雑食道造り飛蝗の群れの出現や、
危険度で言うと、拙者達の世界(ムシュ イム アン キ)の軍隊蟻の上位互換のような昆虫の焦土蟻の襲来。
モンスター氾濫が起きたのでございまするが……
その天災に巻き込まれた事で、ほぼ、全滅したからでございまする。』
レイヒト君が、更なる追加情報をくれる。
「この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の今後の世界規模での貿易の動きや……食糧事情等をギルド本部が、どのように考えているか、情報を引っこ抜けそうなら、抜いて。
後……パワーバランスの変化についての情報も、引っこ抜けそうなら、抜いて。」
『了解したでございまする。』
レイヒト君が短い返答を返してくれる。
多分……作業に取りかかってくれたのだろうな。
◇◇◇
『でっ。残ってはる核ミサイルは、どないしはるつもりなんや?』
プグナコちゃんの真剣な声が携帯から聞こえてくる。
「残り一発は……破壊しに来る奴を捕まえる為に敢えて残してる可能性もある。
待ち構えている奴が、ケンタウルスみたいな形をした物体だけならば、何とかなるだろうけど……そうじゃない可能性もある。
それに……核ミサイルを作った奴達を始末しないと、別の場所で、核ミサイルを作られる可能性もある。
だから、ある程度、相手の状況が見えてくるまでは……一旦、放置しておいた方が良い気がする。」
「成る程ね。
レイヒト君。悪いんだけど……至急、パパの考えをディンエさんに伝えてくれない?」
『了解しましたでございまする。
拙者も……この件は、ディンエ殿達と共通の認識を持って当たるべきかと思っていた次第でございまする。』
レイヒト君の真剣な声が携帯から聞こえてくる。
「てか……よくよく考えたら、核ミサイルを作れる。って事は……
どの時代の物までかは分からないけど……
【虹を見たい者達】は、僕達の世界(ムシュ イム アン キ)の殆んどの兵器を作れる科学技術と生産力を持っている。って事になるね。
しかも……【空の目】に撃ち落とされないための特別な術式を利用する知識もある。
下手をすれば……
この剣と魔法・魔術がメインのこの世界(アン ナブ キ シェア ラ)に……核ミサイル以外のミサイル兵器だけでなく……戦闘機やヘリコプター等の航空兵器。
戦艦までで止ってくれれば良いけれど……最悪の場合……イージス艦。
それと……自走式対空砲を備えた戦車や装甲車。スティンガー携帯式対空ミサイルとか……自動追尾機能が付いている物までは持っていない事を祈りたいね。
てか、自動追尾機能が付いている。と言えば……航空兵器から落とす誘導爆弾とかも持っていたら……ヤバイな。
後は……ドローン。これが投入されたら……かなり厄介だな。」
『この世界(アン ナブ キ シェア ラ)で、トラックや車。バイク等の特許を持たれている、ホウサン殿の著者に、
『我々の世界(ムシュ イム アン キ)の高い水準の科学技術まで導入する事には100年はかかるだろう。
だから、敢えて、電子制御が無い、旧車の情報を参考にトラックや車。バイクの設計図を書いた。
ただ、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)には、科学技術ではなく、魔術を利用した魔道具がある。
我々の今後の目標は、電子制御の代わりが出来る魔道具の開発や、開発した魔道具を組み込んだ車やバイク。トラックの開発する事だ。』
と言う記述があるのでございまする。
それぐらい、拙者達の世界(ムシュ イム アン キ)の高い水準の科学技術を、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に導入する事は難しい事らしいのでございまする。
ですが……サルクル殿が考える、最悪の状況とは【虹を見たい者達】が、その壁を突破した。と言う状況になりまするな。
この話も、ディンエ殿と共有しておくでございまする。』
レイヒト君の真剣な声が携帯から聞こえてくる。
「大気圏の内外を弾道を描いて飛ぶ対地ミサイル。弾道ミサイルは第二次世界大戦中にドイツで開発されている。
開発中に第二次世界大戦が終結したので実戦では投入されていないらしけど……
ドイツでは、世界初の実用化された長距離弾道ミサイルである、V2ロケットを発展させ、ヨーロッパよりアメリカ合衆国本土を直接攻撃できる弾道ミサイルとしてA10の開発が行われていたと言われている。
第二次世界大戦中には、多くの国で、多数の戦車や戦闘機。それに……ヘリコプターや戦艦等が実戦配備されていた。
そして、日本がアメリカに降伏する事を決めたのは、アメリカが落とした2発の核爆弾。
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)には、既に、車やトラック。バイクや蒸気機関車や蒸気船がある。
魔道具と言う、僕達の知らない技術を抜きにしても……
第二次世界大戦レベルの科学技術までは到達可能だと思うんだ。
そこに【空の目】に撃ち落とされないための特別な術式を利用する知識とともに、
【空の目】のせいで、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)には無かった航空機や航空兵器の概念を持ち込めば……
この世界(ムシュ イム アン キ)のパワーバランスが、一気に変わってしまってもおかしく無いと思う。
この事も、ディンエさんに報告してくれたら有り難いね。」
『了解したでございまする。
直ぐにディンエ殿と連絡を取るでございまする。』
レイヒト君の真剣な声が携帯から聞こえてきた。
「ちょっと待って。
そろそろ、夕御飯の時間よ。
お腹が空いていたら……頭も回らない。
だから……ディンエさん達への連絡は夕御飯の後にしましょう。」
『せやな。
それと……夕御飯の後の助手席での仕事はウチがやる。
せやから、サルクルさんや、レイヒトは……ディンエさん達との話し合いに専念してくれはったら良えで。』
『サクモ殿。プグナコ殿。
ご配慮、感謝するでございまする。』
レイヒト君の弾んだ声が携帯から聞こえてくる。
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「やっぱ、カツ丼と豚汁のコンビは最強だな。」
「そう?
アタシは……親子丼とおうどんの方が素敵だと思うけど。」
「拙者は断然、牛丼と味噌汁派でございまするな。」
「わたしはパスタとサラダのコンビが最強だと思うけどね。」
「サクモさん。ジャンルが変わってはるやん。
ノージャンルなんやったら……
ウチはハンバーガーとポテトが最強のコンビやと思うわ。」
嫁達が会話を楽しみながら、晩御飯を食べている。
「最強なのは……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の草と……イチゴのコンビよね。」
「いやいや。
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の草が最高なのは認めるが……セットにするのは茹でたササミだろ。」
ドマとコルも嫁達と似たような会話をしながら食事中だ。
時刻は17時。
リア キャビンのダイネット スペースを座椅子モードにして、皆で食事を取っている。
窓の外を見ると、タープテントの下で、ヤスズミ族の人達が、楽しそうに話をしながら食事をしているのが見える。
先行きは不透明だが……まだ、最悪の状況じゃない。
先行きが不透明な状況とはいえ……それが唯一の救いだな。
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