【サイドストーリー】決戦前夜(チリゾウ視点)
「我が軍(カリーナ帝国軍)と神聖法王国軍の戦闘が、3日後ぐらいに始まりそうとの事。
この戦は……絶対に負けられない。
ムシェンサン。
大丈夫なのだろうな。」
「聖戦の為に集められた兵団の総司令官のオモサダホカは、私に勝るとも劣らない有能な将軍です。
彼が命令を果たせなかったとしたら……誰も命令を果たせないかと思いますわ。」
カリーナ帝国の第1皇女で、カリーナ帝国軍の総大将 でもあらせられる、ムシェンサン様が、
苦笑いしながら陛下(カリーナ皇帝)の、ご質問にお答えされる。
「そんな事は聞いてはおらぬ。
勝てるのだろうな?と聞いておるのだ。」
「戦は、水物です。
やってみなくては分かりませんわ。
ですが……多少の失態があったとはいえ……我が国(カリーナ帝国)のギルドの支部長のウルチヨ殿からも、最大限の協力をして頂けてます。
ですから、余程の事が事が起こらない限り……
聖戦の為に集められた兵団が、再起不能になるまで、叩きのめされるような事態には陥らない筈ですわ。」
ムシェンサン様が、苦笑いしながら陛下(カリーナ皇帝)の、ご質問にお答えされる。
「話しにならん。
カブズル。お前の意見を聞かせてくれ。」
「不本意ながら……
ムシェンサン様と基本的には同じ意見になります。
ですが……聖戦の為に集められた兵団が、再起不能にでもされない限り……
こたびの戦の勝敗が、国の行く末を左右するような事にはならない事だけは断言する事が出来ます。」
「はぁ……どいつも、こいつも……
何故ゆえ、こたびの戦で、神聖法王国軍を撃破します。と、答えてくれぬのだ。」
カリーナ帝国の宰相のカブズル様のご返答を、お聞きになられた陛下(カリーナ皇帝)が……タメ息をつかれている。
「直言のご無礼、ご容赦ください。
お二方とて、神聖法王国軍との聖戦に負けるつもりなど無いかと思います。
ですが……戦は水物でございます。
その為、こたびの戦で、不測の事態が起ころうとも、
聖戦の為に集められた兵団が、再起不能になるまで、叩きのめされるような事態には陥らない限り、我が国(カリーナ帝国)の繁栄は揺がない。
その事を……陛下(カリーナ皇帝)に、お伝えされているだけかと思います。」
カリーナ帝国の諜報部隊の隊長のイギンゲシュトゥグの副官に収まっている【虹を見たい者達】の同士。
カキリが……ドヤ顔で、陛下(カリーナ皇帝)に物申している。
頼むから……イラン事を言わないで欲しい。
お前が、回りくどい念押しをしなくても、
ここに居る者達ぐらいのレベルになれば……
時が来れば、この国(カリーナ帝国)が、崩壊の危機に瀕した事を、ちゃんと理解してくれる筈だ。
てか……この国(カリーナ帝国)の者達を追い込むにしても……今じゃないだろ。
追い込むべきタイミングは……主様達の作戦が成功した後だろうが。
◇◇◇
「ククク。
カキリ。お前は……相変わらず、命知らずな女だ。
だが……お前のお陰で、カブズルやムシェンサンが、余に伝えたかった真意を理解する事が出来た。
出過ぎた真似故、褒美まではやれぬが……礼だけは言ってやろう。」
「有り難き幸せにございます。」
カキリが、そう言いながら、肩を震わしながら、恭しく頭を下げる。
端から見れば……
陛下から、やんわりと、イラン事を言うな。と釘を刺された事に怯えているように見えなくもないのだろうが……
カキリが、肩を震わせている理由は、ただ、単に……笑いを堪えているだけだ。
まぁ……気持ちは分からんでもない。
何故なら、主様達の作戦が成功した場合……
聖戦の為に集められたカリーナ帝国の兵団は、壊滅的な被害をもたらすからだ。
そして、カリーナ帝国に取っての唯一の救いが、
カリーナ帝国の兵団だけでなく……神聖法王国の兵団や、イランツカバー帝国にも壊滅的な被害が出ると言う事だけだ。
それを知っているカキリは……
カブズル様や、ムシェンサン様の陛下(カリーナ皇帝)へのご返答が……可笑しくて仕方がないのだろうな。
■■■
「カキリさん……肝を冷やしましたよ。」
ウルチヨ様が、カキリに苦言を呈す。
俺達は、陛下(カリーナ皇帝)達との謁見を終え、
ギルドのカリーナ帝国支部のウルチヨさんの執務室に戻った。
今回は、ウルチヨ様や……カキリの上司になるイギンゲシュトゥグ殿が居らっしゃる為、カキリと話せる内容に制限がある。
「すみません。
あまりにも不毛な、やり取りでしたので思わず……言っちゃいました。」
「カキリ、お前……
あの場で、陛下(カリーナ皇帝)に処刑を言い渡されていても、おかしくなかったんだぞ。
反省じゃ足らない。猛省しろ。」
「畏まりました。」
「お前……絶対、反省してないだろ。」
「でしょうね。」
イギンゲシュトゥグ殿とカキリのやり取りを聞いていたウルチヨ様が、苦笑いされている。
◇◇◇
「ところで……
この前、異世界(ムシュ イム アン キ)から召還した時に居た、幻獣種の猫魈と、その飼い主達の行方は掴めたの?」
カキリが、強引に話題を変える。
「クパドゥ王国のギルドに勤めている、知り合いの職員達にも、片っ端から聞いて回っているのだけど……
皆、それらしい人物を見かけた記憶は無い。って言ってるわ。」
「そう。
チリゾウさんも……同じ見解?」
ウルチヨ様の返答を聞いたカキリが……俺に話を振ってくる。
「えぇ。
常にウルチヨ様への報連相は欠かしていません。
ですから……ウルチヨ様と同じ認識です。」
俺は、敢えて、カキリに素っ気ない対応を取る。
カキリは、俺が……幻獣種の猫魈と、その飼い主達の行方は掴めて無い事は、重々、承知している筈だ。
それでも、敢えて、俺にまで、この話題を振ってきたのは、俺とカキリの間に何も無い事を、ウルチヨ様やイギンゲシュトゥグ殿に印象付けたいからだろう。
ただ、俺は……
それでも、今のカキリからの俺への質問は不要だったと思う。
何故ならば、
ウルチヨ様に、俺が……必要な報告をしない、スタンド プレーが大好きな人間だと認識され、彼女に警戒心を持たれるような事になってしまったら……
今後、主様達が欲する情報を、
ギルドの情報機器や通信機器から、こっそりと抜き出し難くなるからだ。
「そうですか。」
カキリは、俺が怒っている事に気がついたのだろう。
イラン事を言わずに、短い返答を返してきた。
◇◇◇
「神聖法王国に与した、ギルドの登録者の情報は掴めたのか?」
「高ランクの冒険者に関しては、こちらと同じく、
【虹を見たい者達】と言う謎の組織が占拠された、
ギルド本部が管理している施設の奪回作戦に加わっている者と、
調整の効かせれないような、高難易度の依頼に着手中の者以外は、
全て参加している。と考えて良いだろうね。
取り敢えず、高ランクの冒険者のリストだよ。」
イギンゲシュトゥグ殿の質問に、ウルチヨ様が答えと、ギルドの神聖法王国支部の高ランク冒険者のリストを出してきた。
流石は、ウルチヨ様。
仕事が早く、相手の動向を推測する能力も高いな。
まぁ……俺とカキリは、ギルドの神聖法王国支部に潜り込んでいる同士経由で主様から、既に、この情報は得ている為、不要といえば不要なのだが……
ここは……素直に、彼女の稀有な能力に称賛を送らせて貰うとしよう。
「有り難う。
貴女が有能な人物だと言う事を再確認したわ。
これから先、色々、あるかとは思うけど……
イギンゲシュトゥグ様と同様、貴女にも……素敵な未来が訪れるように、アタシなりに頑張ってみてあげる。」
「何を企んでるかは知らんが……
考えもなく、イラン事を言わない努力をしてくれれば、それで良い。」
「同感ね。」
苦笑いしながら話す、イギンゲシュトゥグ殿の言葉に、ウルチヨ様は深く頷かれていた。
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