4基の塔のような謎の物体②
『ねぇ……ディンエさん。
ディンエさんは、その……4基の塔のような物体が、核ミサイルである可能性は、どれぐらい高いと思ってるのですか?』
嫁の真剣に話す声が、レイヒト君のタブレットPCから聞こえてくる。
「サクモ殿。
起きていたのでございまするか?」
『ウチも起きてるで。
自分……通信グループに、ウチとサクモさんを消してはらへんかったやろ。
せやから……インカムから、ディンエさん達との会話が、聞こえてきたんで。』
「それは……失礼したでございまする。」
レイヒト君は、そう言いながら、頭を掻いている。
『気にしなくても良いよ。
この情報は、わたしやプグナコちゃんにも、早めに共有したかった物でしょ。
だけど、後で、この情報を共有する。ってなると…… アルコさん達に聞かれないようにするのに苦労したと思う。
ある意味、ファインプレーだったわ。』
「お心遣い、有り難うございまする。
って……ディンエ殿にも、サクモ殿との会話の腰を折ってしまいました事を、お詫びさせて頂くでございまする。」
レイヒト君は、そう言いながら、申し訳なさそうな顔をしている。
『レイヒトさん。
気にしないで下さいませ。
でっ。サクモさんへの返答ですが……分からない。と言うのが正直な答えです。
本音を言えば、先刻も申しましたが、
そんな物騒な物を、わざわざ作成する方など居ないと信じたいのです。
ですが、その……その可能性が0%では無いとも思っています。
ですから、その……
皆様が、核ミサイルを使った電磁パルス攻撃の影響下に居合わせる。と言う最悪の状況に備えて、
不要かもしれない情報だと願いつつも……敢えて、共有させて頂いたのです。』
『そうですか。
ディンエさんの願いが叶っている事を証明する事が出来ると信じて、
アルコさん達と別れたら、また、ケンタウルスぽい物体が居る所に行かないといけですね。』
ディンエさんの話を聞いた嫁が、タメ息をつきながら話す声がタブレットPCから聞こえてくる。
『せやな。
正直、あの場所へは2度と行きたくあらへんかったけど……仕方あらへんな。』
嫁の言葉にプグナコちゃんが苦笑いしながら頷く。
『私の願いを聞き入れて頂いた事、御礼申し上げます。
とは言え……皆様の安全を最優先に考えた場合……
速やかに、私の依頼に応える為に動けない事も理解しております。
ですから、今日のところは、ひとまず、通信を切りましょう。
そして、皆様が、私の依頼に取り掛かれる準備が整いましたら……
その時は、通話モードで連絡を取りながら、綿密な打ち合わせをしましょう。』
「了解です。」・『了解です。』
僕達は、短い返答をディンエさんに返す。
『有り難うございます。
では、また。』
ディンエさんは、そう言うと、僕達との通話を切った。
◇◇◇
『取り敢えず、この話は、今日・明日の話になりそうにあらへんし……悪いけど、2度寝させて貰うで。』
『ごめん。
わたしも……夜に備えて、もう少しだけ、寝かせて貰うわ。』
プグナコちゃんと嫁の申し訳なさそうに話す声が、タブレットPCから聞こえてくる。
「了解。
未来の話に夢中になって、今晩、死んだりしたら……元も子もないもんね。」
『そう言う事。おやすみ。』
『おやすみ。』
嫁とプグナコちゃんの眠そうな声が、タブレットPCから聞こえてくる。
「おやすみ。」・「おやすみなさいでございまする。」
僕とレイヒト君は、嫁とプグナコちゃんに返答を返すと、レイヒト君は、嫁達との通話をオフにしてくれた。
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
車外から雷の音が聞こえてくる。
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
雨は、一向に、止む気配がない。
■■■
「セルクル殿。
カリーナ帝国軍と神聖法王国軍が、3日以内には戦闘を始めるかもしれないでございまするぞ。」
「そう。
この前、バンオさんが言っていたように……この戦争の結末次第で、北半球の大陸(ウグの大陸)のパワーバランスが大きく変わるんだろうね。」
「拙者も、そう思うでございまする。
引き続き、戦況を注力しながら、逐次、報告していくでございまする。」
レイヒト君が、そう言いながら、タブレットPCに映る映像をジッと見ている。
「助かるよ。
だけど……4基の塔のような物体の監視の方を優先して貰えると有り難い。
根拠の無い、ただの勘なんだけど……
カリーナ帝国軍と神聖法王国軍との戦況よりも、こっちの方が気になるんだよ。」
「了解でございまする。
ですが……論理的な思考を優先するサルクル殿が……自分の勘を優先して欲しい。と仰られるのは意外でございまするな。」
レイヒト君が、そう言いながら、驚いた顔をしている。
「論理的な思考ね……
僕の思考の根本的な部分は勘だよ。
その勘に論理的な思考と言う服を纏わせていく。て言う感覚かな。
そんでもって、基本、理論が勘に追い付いた物だけを皆に喋ってる。って感じだね。
だから……理論派な印象を持っちゃただけだと思うよ。」
「そうなのでございまするか。
短くとも濃い付き合い故、サルクル殿の思考回路を深く理解したつもりでいたのでございまするが……
全く、理解していなかったようでございまするな。」
レイヒト君は、そう言いながら苦笑いしている。
「家族や、古くからの友人やの事だって……
相手の事を分かっているようで、何も分かってなかったりするもんだと思うよ。
そんでもって、長く付き合う上で大事なのは、きっと……相手の思考回路を理解する事じゃなくて、
あるがままの相手を受け入れる覚悟や、
何があっても離れない。と言う強い信念。
相手を思いやる気持ち。
それと……相手に過剰な期待をしたり、好かれようと無理しすぎない事なんじゃないかな。」
「サルクル殿の言う、
あるがままの相手を受け入れる覚悟や、
何があっても離れない。と言う強い信念。
相手を思いやる気持ち。
と言う言葉の意味を理解する事は出来るのでございまするが……
相手に過剰な期待をしたり、好かれようと無理しすぎない。って言う言葉の意味が……いまいち、ピンと来ないのでございまする。」
レイヒト君が、困惑した顔をしながら、僕を見ている。
「簡単に言うと、気を遣わなくていいような、気楽な関係性を目指しましょう。って事だね。
気を遣ったり、見栄を張ったり、取り繕ったりしないといけない相手と、ずっと一緒に居るのは……疲れてしまうと思うんだよね。」
「成る程。
そう言われると……妙に納得する事が出来るのでございまするな。」
レイヒト君は、そう言いながら、深く頷いていた。
評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。
頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。
宜しくお願いします。




