4基の塔のような謎の物体①
「サルクル殿は寝ないのでございまするか?」
「まだ、興奮してるのか……目が冴えてる。」
「そうでございまするか……では……これを見て欲しいのでございまする。」
レイヒト君は、そう言うとタブレットPCを見せてくる。
「ケンタウルスみたいな形をした物体が居た、5本目の幽霊隧道付近の映像なのでございまするが……
ギルドの情報では、あの辺りに人は住んで居おらず、遺跡等の情報も無いのでございまするが……作りかけの4基の塔のような感じの……明らかな人工物があるのでございまする。」
レイヒト君が、僕に見せた映像の補足情報をくれる。
「作りかけの塔と言うよりも……ミサイルとか、ロケットの発射台みたいに見えるね。」
「確かに。そうも見えまするな。
ですが、その……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)では、飛行機やミサイル。ロケット等と言った、空を飛ぶ人工物は【空の目】から撃ち落とされまする。
ですから……そう言う物は存在しない筈でございまする。」
レイヒト君が、そう言いながら苦笑いしている。
「だよね……って……【空の目】は……人工衛星的な物なんだよね……
人工衛星の寿命は……10年~15年。って言われている。
【空の目】には寿命が無いのかな……
てか、もし、【空の目】にも寿命があるのならば……宇宙空間に、どうやって打ち上げているのかなぁ……」
「今から、ディンエ殿への提供報告をしようと思っていたでございまする。
この映像と、サルクル殿の疑問。
ディンエ殿への報告書に記載しておくでございまする。」
レイヒト君は、そう言うと……タブレットPCを自分の前に戻すと、キーボードを慌ただしく打ち始めた。
■■■
「ディンエ殿から返信が来たでございまする。
【空の目】は、100年前後で寿命を迎えるらしいのでございまするが……
新しい【空の目】を打ち上げる時に、
既存の【空の目】から撃ち落とされないように特殊な術式を書き込むらしいのでございまする。
でっ。ディンエ殿が言うには……
【空の目】からの映像を見る限り、
拙者達が話していた、あの4基の塔のような物体にも
その術式が書き込まれているように見える。との事でございまする。
ただ、ディンエ殿も拙者と同様、あの4基の塔のような物体に掛かっている、【鑑定阻害魔法】を破る事が出来ないようなのでございまする。
ですから……
ベアゾウさん達が、ヤススミ族と合流したの見届け次第、あの4基の塔ような物体に赴いて、
サクモ殿に【鑑定阻害魔法】を解いて欲しい。と申されておりまするので、ございまする。」
レイヒト君が、タメ息をつきながら、ディンエさんから来た依頼について話してくれる。
「あまり気乗りのしない話だけど……
ディンエさんが、何故、あの4基の塔のような物体を気にしいてるのか聞いてみて貰える?」
「了解で、ございまする。
では……通話モードに切り替えて、直接、聞いてみるでございまするぞ。」
レイヒト君が、そう言うとタブレットPCを動かし始めた。
◇◇◇
【ガッ・ガッ・ガッ・ピィィィー】
【ガッ・ガッ・ガッ・ピィィィー】
【ガッ・ガッ・ガッ・ピィィィー】
「おかしいでございまするな……」
レイヒト君が、小首を傾げながら、タブレットPCを動かし続ける。
【ザッ・ザッ・ザッ・ザッ】
【ザッ・ザッ・ザッ・ザッ】
【ザッ・ザッ・ザッ・ザッ】
「おかしいでございまするな……って……繋がったでございまする。」
レイヒト君が、ホッとした顔をしている。
『お久しぶりです。
先程は、4基の塔のような物体の情報共有、有り難うございます。
あの映像を見させて頂き、かなりマズイ事になりそうな気がしましたので、
私とサスサイが、幽閉されている、他世界との次元の境界線上にある、次元転移装置を管理する施設のセキュリティのロックを、
貴方達が居る、アン ナブ キン シェア ラ側からだけでなく、こちら側から施したのです。
まぁ……早い話、幽閉をされていた身から……立て籠る身になった。って感じですかね。
そのせいで、通信障害が起きてしまったようですね。
お詫びします。』
ディンエさんは、申し訳なさそうな顔をしながら、僕達を見ている。
「ディンエさんは、あの4基の塔のような物体を……かなりマズイ物だと考えておられるのですか?」
『4基の塔のような物体に書き込まれている、【空の目】から撃ち落とされない為の特殊な術式なのですが……
実は、あの術式を知っているのは、私のような管理人と、サスケイのような管理者の側近だけなのです。
まぁ……サクモさんのような、特殊点のアサグの方であれば、
一度、術式を見たら、その効果を解析したり、再現する事が出来る為、絶対とは言えませんが……
そもそも、あの術式は、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)では、厳重に秘匿されていた物ですので、
管理人と、その側近以外の方が目にする事は無い筈の物なのです。
ですが……あの術式が書き込まれた4基の塔のような物体は、実際に存在しています。
ですから、その……
あの術式が書き込まれた4基の塔のような物体の正体を掴むとともに、
誰が、何の為に、4基の塔のような物体の作成に携わっているのかを把握する事が出来るまでは……
貴方達以外の誰とも関わりを持ちたくないのです。』
ディンエさんは、申し訳なさそうな顔をしながら、僕達を見ている。
「成る程ね……
でっ。ディンエさんは……あの4基の塔のような物体が、何であると思っているのですか?」
『上空100km以上の高高度で、核爆発を引き起こす、核兵器でなければ良いなぁ。って思っています。
マナの無い、貴方達の世界(ムシュ イム アン キ)では、電磁パルス攻撃は、人体に直接の影響が出ない攻撃だと言われておりますが……
マナの有る、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)では、
電磁パルス攻撃の影響下では、全ての魔法や魔術や呪術。通信機器や乗り物を含めた、全ての魔道具が使えなくなってしまう、恐ろしい攻撃になるのです。
因みに、貴方達、アサグや、幻獣等の特別な獣の異能については、
電磁パルス攻撃の影響下でも、使える頻度は落ちますが、使用可能ですので、ご安心して下さい。
それと……異能こそ得ていませんが、
不老有死の身体と半球睡眠の能力を得ていて、魔法や魔術の影響力がダブルの異能と同等と言われている妖人の魔法や魔術や呪術についても、
使える頻度は落ちますが、電磁パルス攻撃の影響下でも使用可能です。
ですから……電磁パルス攻撃の被害にあわれた場合……
魔法や魔術。呪術を使う人が、全く、居なくなる訳ではございませんので、ご注意下さい。
後、4発の核ミサイルでは、地球の大気の熱圏にある水蒸気層を落す事は出来ないとは思いますが……
もし、地球の大気の熱圏にある水蒸気層が落とされた場合……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)も、貴方達の世界(ムシュ イム アン キ)と同様、マナを産み出す、メーの殆どを失ってします。
既に、アザクや特別な獣になった貴方達は、電磁パルスの影響下に居る時と同様、使える頻度は落ちますが、異能の使用可能です。
ですが、その……この世界(ムシュ イム アン キ)も、貴方達の世界(アン ナブ キ シェア ラ)と同様、一般的には魔法や魔術や呪術が使えない世界になります。
まぁ……全ての世界を含めても、この事を知っている者など殆んど居ませんし……
この事を知っている方が、そんな物騒な物を、わざわざ作成する方など居ないと信じたいのですが……
念の為、覚えておいて下さいね。』
ディンエさんは、そう言いながら、苦笑いしていた。
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