幽霊隧道(トンネル)の攻防②
『ラスト1本。
5本目の幽霊隧道に入るわよ。』
嫁の声が携帯から聞こえてくると……
これまでと同じように、幽霊隧道の壁には、無数の人だかりが見える。
「ウォォォォォォー。」・「ケケケケケケケ。」
「ケタケタケタケタ。」・「フフフフフフフ。」
「クスクスクスクス。」・「イヤァァァァー。」
「おーい。おーい。」・「止まれ。止まれ。」
「乗せて。乗せて。」・「遊んで。遊んで。」
「降りて。降りて。」・「仲間になってよ。」
相変わらず、 車外から、色んな声が聞こえてくる。
◇◇◇
『パパ!
この幽霊隧道に居る、霊の力が桁違いに強い!
しかも、まだ、出口が見えない!
乗り物に掛けてる結界が持ちそうにない!』
「分かってる!
無敵タイムの、重ね掛けが出来ないけど……破られたと同時に掛けなおす!
それに、失敗しても……自動設定を重ね掛けしてるから、2回は壊されても問題無い!
だから、焦らず、運転に集中して!」
『了解。』×3
僕と嫁のやり取りを聞いていた、ベアゾウさんとバンオさんも返答を返してくれる。
【ビキ・ビキ・ビキ】・【ビキ・ビキ・ビキ】
【ビキ・ビキ・ビキ】・【ビキ・ビキ・ビキ】
【ビキ・ビキ・ビキ】・【ビキ・ビキ・ビキ】
頭の中に、3台の車の無敵タイムが破られる音がし始めた。
【パリ(『持続設定』×3)~ン】
「乗り物の無敵タイムも続行だよ!」
『結界が壊れてないのを確認した!
焦らず行くよ!』
僕の言葉を嫁が補足してくれる。
『了解。』×2
ベアゾウさんとバンオさんの短い返答が返ってくる。
『外に出たわ! 』
『出口が見えた!』
アルコさんとヴェルさんの声が携帯から聞こえてくる。
◇◇◇
『わたし達も出たよ。』
嫁の大きな声が携帯から聞こえてくる。
『5本目の幽霊隧道の近くの森の中から、ケンタウルスみたいな形をした物体に取り憑いている幽霊達が、40騎ほど追って来たでございまする!』
レイヒト君の慌てた声が携帯から聞こえてくる。
「『持続設定』。『自動設定』×2』
プグナコちゃん!
ケンタウルスぽい物体に取り憑いている幽霊達に祓い魔法をかけて殺して!」
「ケンタウルスぽい物体に取り憑いてはる幽霊達を殺すんは時間がかかりすぎる!
幽霊達を、彼達の世界……冥界に送り返す!
そっちの方が、早い!」
「了解!
もうすぐ、無敵タイムが切れる!
3・2・1・0 !
『持続設定』×14
無敵タイムを掛けなおした!
ケンタウルスぽい物体に取り憑いている幽霊達を、冥界に送り返して!」
「うしゃ! 任しとき!
『冥界へ帰れ』×40・『冥界へ帰れ』×40
『冥界へ帰れ』×40・『冥界へ帰れ』×40
『冥界へ帰れ』×30・『冥界へ帰れ』×30
『冥界へ帰れ』×30・『冥界へ帰れ』×30
『冥界へ帰れ』×20・『冥界へ帰れ』×20
『冥界へ帰れ』×20・『冥界へ帰れ』×20
『冥界へ帰れ』×10・『冥界へ帰れ』×10
『冥界へ帰れ』×10・『冥界へ帰れ』×10
『冥界へ帰れ』×10・『冥界へ帰れ』×10
うし!
ケンタウルスぽい物体に取り憑いてはった幽霊達を……全部、冥界に送り返したで!」
プグナコちゃんが、得意気な顔で報告してくれる。
◇◇◇
『プグナコ殿。
ご苦労様でございまする。
【空の目】でも、ケンタウルスみたいな形をした物体の動きが止まった事を確認したでございまするぞ。』
レイヒト君の弾んだ声が携帯から聞こえてくる。
『あんなの……今の今まで、見た事がないよ。』
『確かに。』・『うにゃ。』・『じゃな。』
アルコさんの呟きに、ヴェルさん・アーテル・アルブスが頷く。
『運転に集中したから、追って来てた物体。って奴を見てなかったんだか……
どんな奴だったんだ?』
『馬の首の部分を、人間の胴体に、すげ替えた。って感じの奴だったよ。』
ベアゾウさんの質問にアルコさんが、苦笑いしながら答える。
『うわ……それ……気持ち悪いですね……
もし、そんなのが追って来てる。って事を確認してしまっていたら……
確実に事故を起こしてましたよ。
運転に集中してて良かったです。』
苦笑いしながら話す、バンオさんの声が携帯から聞こえてくる。
「サクモちゃんもプグナコちゃんもレイヒト君も、
冷静に対処してくれたね。
有り難う。」
『でしょ。でしょ。
てか、今も……心臓がバクバクしてる。
事故らなかったのが奇跡だわ。』
嫁の得意気に話す声が携帯から聞こえてくる。
『拙者も……まだ、震えが止まらないでございまする。』
「サルクルさんが仕事を与えてくれはらはんかったら……確実に、お漏らししてたわ。」
レイヒト君とプグナコちゃんが苦笑いしながら話す。
「怖かった……」
「だよな……」
メアちゃんの呟きにルオ君が頷く。
「5本目の幽霊隧道は……マジでヤバかったね。」
「だよな。
オイラ……ショック死しかけたわ。」
「アタイもだよ。」
コルとドマが、震える声で物騒な会話をしている。
■■■
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
車外から雷の音が聞こえてくる。
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
大雨が、僕達の車を打ちつけ始めた。
木々が生い茂り、高濃度の瘴気が充満している狭い林道を抜け出したと同時に雪は雨に変わった。
僕達が、今、居る場所は、木々が少ない尾根の上の道だ。
その為、大雨の影響をモロに受ける事になった。
だけど……木々が生い茂り、高濃度の瘴気が充満している狭い林道に戻ろうとは、誰も言わない。
皆、昨晩のような事になるくらいなら……
大雨の中を移動する方が、まだ、まっしだ。と思ってるのだろうな。
◇◇◇
『もうすぐ、5時になる。
次の広場で休息を取るぞ。』
『了解。』×7・「了解。」×6
ベアゾウさんの指示に皆が頷く。
『見張りは、拙者がするでございまする。
皆様は、休んでくれて構わないでございまする。』
「レイヒト。
アタイとドマも付き合うよ。」
「だよな。
オイラもコルも……昨晩は震えていただけで、何もしていないもんな。」
コルとドマが、
レイヒト君と一緒に見張りをする。と名乗り出てくれた。
『有り難うございまする。
宜しくお願いするでございまする。』
レイヒト君の嬉しそうな声が携帯から聞こえてくる。
『パパ。
疲れてるところ悪いんだけど……車が止まったら、運転席に移動して。
プグナコちゃんと、メアちゃんは、バンクベッドで、
わたしとルオ君は、リアキャビンをベッドモードにして寝ようか。
コル。ドマ。リア キャビンの見張りを宜しく。』
嫁が、テキパキと指示を出してくれる。
評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。
頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。
宜しくお願いします。




