各々の選択③
次話から、サイドストーリーを3話、挟んだ後、
物語が大きく動き始めていきます。
引き続き、楽しんで頂ければ幸いです。
宜しくお願いします。
『うっわ。この映像……エグすぎやろ。』
プグナコちゃんが、ボソッと呟く。
時刻は、もうすぐ8時になる。
レイヒト君が、出発時間を送らせてでも見せたい。って言った、【空の目】から得た情報が録画された映像には……
ゾンビのようなモンスターが、僕達の追っ手の車やバイクを破壊し、
更に、身動きの取れなくなった彼等を、片っ端から食べていく映像だった。
『因みに、ギャクコン団と、3名の拙者達の世界(ムシュ イム アン キ)から召還された方は、
ウルチヨから別途、依頼された依頼をこなす為、彼等とは別行動だったらしく……この惨劇の被害者にはなっていらしいのでございまする。』
『別の仕事とは?』
レイヒト君の補足情報を聞いた、ベアゾウさんが、興味津々な感じで質問をする。
『ギルド本部が管理されている施設の一部を、【虹を見たい者達】と言う謎の組織が占拠されたらしいのでございまする。
でっ。ギャクコン団と、3名の拙者達の世界(ムシュ イム アン キ)から召還された方は、ウルチヨから、その施設の奪還を依頼され、彼等は、その仕事を請け負ったらしいのでございまする。』
レイヒト君が、淡々とした口調で、ベアゾウさんの質問に答える。
ギルド本部が管理されている施設の一部と言うのは、多分……ディンエさんから聞いていた龍脈に異常を起させている施設の事なんだろうな。
『ギルド本部が管理してる施設ねぇ……キナ臭い話が出てきたもんだ。
てか……映像を通して、人肉を喰らっているモンスターらしい奴達を鑑定魔法を使って鑑定してみたら……【ゾンビ】。って出たよ。
あの場所に【ゾンビ】が出るなんて……始めて聞いたわ。』
『ノチロウから返信が来たのですが……
ここ最近、モンスターや動物の生息圏が変わったり、異常気象が発生するような事が、立て続けに起こっているらしいのです。
ですから……有能な仲間を求めているらしく……
私達に、ガパパ連邦には行かず、自分達の部族に入ってくれないか?って言ってきました。
この件については、私の一存で決められるような事ではありません。
ですから、皆様の、ご意見を聞かせて頂ければ有り難いです。』
アルコさんの話を聞いたバンオさんが、
ヴェルさん達の今後の生活に関わる重要な話題をブッ込んできた。
◇◇◇
『アタシとしては……店の皆と一緒に楽しく暮らせそうな場所ならば、どこでも良い。
それに……ノチロウ君やニナルちゃんは、信頼に足る人物だと思うし、ハーフ エルフのメアや、ハーフ ドワーフのルオへの偏見もない。
彼等の部族ならば、厄介にならせて貰っても良いと思うわ。』
穏やかに話すヴェルさんの声が、携帯から聞こえてくる。
『バンオ自身は、どう思ってるんだい?』
『ヴェルさんと同じ見解ですね。』
アルコさんの質問に、バンオさんが淡々とした口調で答える。
『なら、ベアゾウがOKを出してくれるのならば……
アタシも、ヤススミ族に加えて貰いたいかな。』
『そうか。
バンオ。ノチロウ君に、俺とアルコの事も歓迎して貰えるか聞いてくれないか。』
『念のために聞いてはみますが……
アルコさんとベアゾウさんが、一緒に居る事は、ノチロウには伝えています。
その上で、私達に仲間にならないか?って聞いて来られてますので、問題無いかと思いますよ。』
バンオさんが、ベアゾウさんの質問にハキハキと答える。
『でっ。ウチ達の事も話してはるんか?』
『最近、知り会った、魔ジリスを使役している、新進気鋭の行商人のご家族だと伝えております。
皆様の性別や、見た目の年齢も伝えてはおりますが……
それ以外の情報は、全て伏せておりますので、ご安心下さい。』
プグナコちゃんの質問に、バンオさんが得意気に答えてくれた。
『バンオ殿。
ご配慮、感謝するでございまする。』
レイヒト君のホッとしながら、お礼を言う声が携帯から聞こえてくる。
レイヒト君は、僕達に……バンオさんが嘘をついていない事を遠回しに伝えてくれたようだ。
「わたし達は、その……今後も、バンオさん達とは友人で居たいし、ヤススミ族の人達に悪い感情を持ってはいない。
だけど……ヤススミ族には加われない。
これは……ヴェルさん達や、ヤススミ族の人達への不満ではない。
わたし達の問題なの。」
嫁が、僕達を代表して、バンオさんに頭を下げてくれた。
『サクモさん達には、サクモさんの人生がございます。
ですから……気になさらなくても良いですよ。』
『バンオの言う通りだ。
サクモさんも、アタシ達を友人だと思ってくれている。
それが、分かっただけで、アタシは大満足だよ。』
穏やかな口調で話すバンオさんの言葉を聞いた、ヴェルさんが、更に、言葉を繋ぐ。
『常に一緒に居るから友人だ。って訳じゃねぇよ。』
『ベアゾウの言う通りだよ。
友人に、変に気を回す必要なんてないさね。』
ベアゾウさんと、アルコさんの笑いながら話す声が携帯から聞こえてくる。
「有り難う。」
嫁が、僕達を代表して、ヴェルさん達に、お礼を言ってくれた。
■■■
「先刻は聞きそびれたんだけど……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)での【ゾンビ】の定義を教えてくれない?」
僕は、行軍がスタートしたのを見計らって、通信のグループを僕達だけに変わったのを確認し、レイヒト君に質問をする。
『死体に悪霊が取り憑き、一時的にモンスター化した存在のようでございまする。
肉体を得ようとして人肉を食べる習性があるらしいのでございまする。
それと……高濃度の瘴気が発生している場所でしか存在する事が出来ないと言われているようでございまする。』
レイヒト君が淡々とした口調で答えてくれる。
「へ~。
先刻、ギルド本部が管理されている施設の一部と言うのは……ディンエさんから聞いていた龍脈に異常を起させている施設の事なんでしょ?
これも……【虹を見たい者】が、龍脈の異常値を上げたのが原因なのかしらねぇ……」
『サクモさん。それ……皆の前で言わはったらマズいネタやろ。』
プグナコちゃんの慌てた声が携帯から聞こえてくる。
「大丈夫。パパが通信のグループを、わたし達だけに切り替えてる。
それに……メアちゃんとルオ君は、魔術で眠らせてる。」
『さよか。
ビックリして……事故りかけたわ。』
嫁の返答を聞いたプグナコちゃんのタメ息をつきながら話す声が携帯から聞こえてくる。
『調べてみないと正解な事はわからないでございまするが……十中八九、サクモ殿のご見解で相違ないかと思いまする。』
レイヒト君が淡々とした口調で嫁の疑問について、私見を話す。
「【虹を見たい者達】には、十中八九、レイヒト君と同じタイプのアサグが居る。そして……ギルド本部にも居る可能性が高い。
だから、モンスターや動物の生息圏が変わったり、異常気象が発生するような事が、立て続けに起こっている情報がないかだけを調べてくれたら良い。
そんでもって、それ以上の情報は……相手の状況が分かり次第、徐々にで。で良いと思う。」
『了解でございまする。
安全第一で、抜ける情報だけを抜くでございまする。』
僕の指示に、レイヒト君が真剣な声で返答を返してくれる。
「うし。
方針も決まった事だし、通信のグループをヴェルさん達も含めたものに切り替えるぞ。
それと……メアちゃんとルオ君への睡眠魔法を解くぞ。」
「了解。」・『了解。』×2
嫁の指示に、僕だけでなく、プグナコちゃん・レイヒト君も短い返答を返した。
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