衝撃の映像
「この映像……エグすぎやろ。」
【空の目】の映像を見ていた、プグナコちゃんが、ボソッと呟く。
時刻は、もうすぐ1時になる。
そろそろ寝ようかと考えていた矢先、
夜を徹して追っ手来る者達がモンスターの襲撃に合っている映像が映り始めたので急遽、観戦する事になったのだ。
「暗いから、よく見えないけど……
山火事にならないように消火活動的な事をしている人が居る気がするんだけど……気のせいかな?」
『それは、植物食系のモンスターや、植物系のモンスター達の仕業にゃ。
山火事は奴達にとっては死活問題にゃからにゃ。
人が起こした火事、云々に関わらず……
山火事を見つけ次第、種族の枠を越えて、協力しにゃがら消火活動をするのにゃよ。』
僕の疑問にアーテルが答えてくれる。
『それにしても……一瞬の出来事だったでございまするな。』
『運転中だから、映像を見れていない。
だから、絶対に正しいとは言えんが……
森や山でのモンスターとの戦闘は、大抵、一瞬で終わるもんだ。』
ベアゾウさんが、レイヒト君の呟きに反応する。
『ベアゾウの代わりに映像を見せて貰っていたが、
今回の戦闘は、特段、変わったところはなかったと思う。
森や山でのモンスターとの戦闘は、遮蔽物が少ない草原以上に、一瞬で終わるものじゃ。
じゃからこそ、仮眠を取ってる時以外は、一瞬たりとも気を抜いたらいけぬのじゃ。』
『妾もアルブスと同じ見解にゃね。
てか……追っ手を哀れんでる場合じゃにゃいにゃ。
そんにゃ、どうでも良い事に思いを馳せてたら……
追っ手と同じ末路ににゃるにゃよ。』
『怖。死にたくないから、気合いを入れ直すわ。』
アルブスとアーテルの話を聞いた嫁の真剣な声で話す声が携帯から聞こえてくる。
「子供達(メア & ルオ)を寝かしつけてて正解やったな。
こんなん見はったら……車窓を楽しむ事なんて出来ひんやろからな。」
『確かに、その通りでございまするな。
メア殿やルオ殿にとっては、ストレスだらけの旅路の筈でございまするからな。
だから、せめて……車窓を楽しんだり、お菓子に舌鼓を打つなどの息抜きの時間だけは奪いたくないでございまするな。』
プグナコちゃんの言葉に、レイヒト君が頷く。
「大人の人が一緒に居てくれれば……虫さん以外は怖くないよ。」
「トイレに1人で行くのは勘弁だけど……大人が近くに居れば、大丈夫だと信じてる。」
メアちゃんとルオ君が、そう言いながら、バンク ベッドから顔を出してきた。
「たく……それだけ大騒ぎしてりゃ、誰だって起きるぞ。」
「確かに。
お寝坊さんのドマでさえ起きてきたんだ。
ドマよりもビビりなメアとルオが……起きてこないわけがないさね。」
ドマとコルの苦笑いしながら話す声が、バンク ベッドから聞こえてきた。
■■■
「グゥゥゥー。グゥゥゥー。グゥゥゥー。」
「グゥゥゥー。グゥゥゥー。グゥゥゥー。」
「グゥゥゥー。グゥゥゥー。グゥゥゥー。」
時刻は9時。
リアキャビンに、嫁のイビキが響き渡る。
昨日の夕方から、トイレ休憩以外の時間は、不眠不休で、トレーラーを引いた、キャンピングカーを運転してくれた後、
異能は使えても、魔法や魔術が全く使えない僕でも、魔術が使えるよう。と、
僕が選んだ【温冷の術式】と言う魔術の術式を、僕が何時でも使えるようにする為に、付与魔法を使って、僕の左肩にタトゥーのような感じで彫ってくれた。
そのせいで、体力の限界を越えたのだろう。
嫁は、半球睡眠を覚えた、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)では、初めて電池がキレたように眠りに落ちた。
因みに【温冷の術式】とは、
気体分子や物体を構成する分子の運動・振動状態に干渉する事で、周囲の気温・温度に影響を与える魔術だ。
左肩に彫って貰った術式に込めるマナの量次第では……任意の対象を凍らせたり、熱で溶かす事も可能になるらしい。
◇◇◇
僕が嫁に【温冷の術式】と言う魔術の術式を、僕が何時でも使えるようにする為に、付与魔法を使って、僕の左肩にタトゥーのような感じで彫って貰った理由は、
レイヒト君経由で、僕の異能を使って戦闘を行う場合のシミュレーションをディンエさんや、サスサイさんにして貰った結果、
僕の攻撃力は、予想通り、戦闘が不得手なジョブ補正を受けている人以下。との報告を貰ったからだ。
だだ、嬉しい誤算もあった。
それは、僕の防御力は予想以上に強く、
ディンエさんや、サスサイさんが把握している限りでは、
他の変異点や、特別な獣と呼ばれる幻獣などを含めても最強かもしれない。との事らしいのだ。
そして、今回、嫁に【温冷の術式】と言う魔術の術式を左肩にタトゥーのような感じで彫って貰ったので、それなりかもしれないが……攻撃も出来るようになった。
だから、単独行動も取れるようになった筈だ。
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)は、想像以上に弱肉強食の世界のらしいのだが……
嫁のお陰で、いざって時に、嫁や仲間達を守る武力を得る事が出来た。
◇◇◇
「雨が止んで暑くなったな。
この冷感ジェルマット。最初は冷たくて気持ち良いんだけど……直ぐに温くなるのが難点だな。」
ルオ君の不機嫌そうな声がバンクベッドの上から聞こえてくるり
「そんな事よりも……窓に虫が張り付いてる。
怖くて外を見れないよ……何とかしてよ。」
【バン・バン・バン】
「飛んでったぞ。」
バンクベッドの小窓を叩く音がした後、ルオ君の笑い声がバンクベッドから聞こえてくる。
「もう。なんて事をするのよ!
窓ガラスが割れたらどうするのよ!」
「この程度じゃ割れねぇよ。
てか……これで外が見れるだろ。」
「うん。有り難う。」
「最初から、そう言えよ。」
ルオ君とメアちゃんの、微笑ましいやり取りがバンクベッドから聞こえてくる。
メアちゃんも、ルオ君も、昨晩、殆んど寝れていないようなので、
そのままバンク ベッドに居て貰い、好きな時に寝て貰う事にしたのだ。
『拙者達の通った道を追って来られておられる部隊は、スピードよりも安全第一で進んでおられるように見えまするな。』
『大方、指示を出しておる者から、昨日の事件を聞いたんだろ。
追っ手のスピードが落ちてるのであれば……
その先の廃村で、2~3時間。仮眠を取らせて欲しい。』
レイヒト君の報告を聞いた、アルコさんが休息を要求する。
『確かに。結局……昨日は殆んど寝てないもんね。』
『せやな。』
ヴェルさんと、プグナコちゃんが、アルコさんの提案に賛成する。
『了解でございまする。
無理して事故を起こすよりかは……遥かにまっしでございまするからな。』
『了解。先導する。』
レイヒト君の返答を聞いたアルコさんの嬉しそうな声が携帯から聞こえてきた。
■■■
『皆、満身創痍になってきているでございまするな。』
レイヒト君の声が携帯から聞こえてくる。
『まぁ……交代しにゃがらとはいえ……ここ数日、ゆっくりと睡眠を取れてにゃかったんにゃ。仕方にゃい事にゃよ。』
『じゃな。
ここは、移動中に寝させて貰ってる儂とアーテルが頑張る時間じゃな。』
レイヒト君の言葉に、アーテルとアルブスが返答を返す。
「城門が開きぱなしだったり、城壁が所々、壊れているとはいえ……村の中に居るみたいで安心する事が出来るな。」
「だね。なんか……眠くなってきた。」
「俺も。少し寝る。」
ルオ君とメアちゃんも、外に出たい。と駄々を捏ねず、仮眠を取ってくれるらしい。
評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。
頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。
宜しくお願いします。




