山道の逃走②
「ホウ・ホウ・ホウ」・「ギャ・ギャ・ギャ」
「ホウ・ホウ・ホウ」・「ギャ・ギャ・ギャ」
「ホウ・ホウ・ホウ」・「ギャ・ギャ・ギャ」
「ホウ・ホウ・ホウ」・「ギャ・ギャ・ギャ」
「ホウ・ホウ・ホウ」・「ギャ・ギャ・ギャ」
「ホウ・ホウ・ホウ」・「ギャ・ギャ・ギャ」
「ホウ・ホウ・ホウ」・「ギャ・ギャ・ギャ」
「ホウ・ホウ・ホウ」・「ギャ・ギャ・ギャ」
「ホウ・ホウ・ホウ」・「ギャ・ギャ・ギャ」
外から、大量のモンスターらしき生き物の鳴き声が聞こえてくる。
『どうやら、霊耐猿の縄張りに入ってしまったらしいな。
だが、奴等は……解除魔法と祓い魔法以外は、大した事がない。
だから……ゆっくりでも、乗り物を動かしている間は、威嚇してくるだけで、攻撃はしてこない筈だ。
なので、焦らずに落ち着いて行動するぞ。』
『了解。』・『了解。』
嫁とバンオさんが、ベアゾウさんの指示に短い返答を返す。
時刻は0時。
アルコさんとヴェルさんは、明日の朝からの移動に備えて、各々の乗り物の中で仮眠中との事だ。
まぁ……揺れる車内に、並走してくる悪霊達に加えて……霊耐猿の出現に……激しさが増す雨と雷。
横になって、目を瞑っているだけで……しっかりと寝れていないかもしれないな。
「怖いよぉ……」
「落ち着け。
プグナコやドマとコル。サルクルさんが一緒なんだ。
だから……大人しく皆の言う事を聞いていれば、大丈夫。な……筈だ。」
怯えるメアちゃんをルオ君が諭してくれる。
どうやらルオ君は……他力本願ながらも、落ち着いてはくれているらしい。
◇◇◇
『サルクル殿。まだ、起きられているでございまするか?』
「うん。」
『良かったでございまする。
大森林地帯の旧街道の10キロ手前で夜営をしていた1個小隊が、闇夜に紛れて動き出したでございまする。
まだ、分かりませぬが、多分……追っ手は【空の目】のナビで、拙者達の動きを把握した上で、カリーナ帝国の帝都から出た増援部隊と、挟み撃ちにしようとしている気がするでございまするぞ。』
『その仮定も捨てきれねぇが……
俺達を追っている部隊を指揮している、カリーナ帝国軍の警備隊の副総隊長のラヤカスとやらは、
俺達が、馬喰らい街道の西回りルートから、林道を経由して、ガバパ連邦に繋がる街道に入るルートで、ガバパ連邦を目指している。と踏んでいるんだろ?
それに……カリーナ帝国の帝都からの増援部隊は、キルシポが、ウルチヨの進言を元に派遣された部隊なんだろ?
だから……ラヤカス以外の者に指揮権を与えた別動隊の可能性が高いと思うぞ。
だからこそ、ラヤカスは、俺達の行軍がスムーズ過ぎるのに焦り、
自分の派遣した部隊よりも、増援部隊の方が、先に俺達に接触する事が恐れて、リスクを承知で部隊を動かした。っていう気がするな。』
ベアゾウさんは、レイヒト君とは、別の切り口からの推測を立ててくれた。
『成る程。
ベアゾウ殿の言う可能性も捨てきれませぬな。
でっ。サルクル殿。どう言う作戦でいくべきかと思いまするか?』
レイヒト君は、ベアゾウさんの見解に頷きながら、僕に意見を求めてくる。
「取り敢えず……今のルートを維持だね。
そんでもって、追っ手に追いつかれるタイミングは、可能な限り、日が高い時間帯で……山頂や丘の上など、追っ手を見下ろせるような場所が良いな。」
『了解しましたでございまする。
ベアゾウ殿やアルコ殿とも協力しながら、追いつかれるにしても、サルクル殿の思い描くタイミングで追いつかれるように調整するでございまする。』
「有り難う。頼りにしてるよ。」
僕は、レイヒト君に、短いお礼を言いながら、深呼吸をして、心を落ち着かせた。
何故なら、追っ手に追いつかれた場合……
間接的なやり方とはいえ、僕は、異能を使って人殺しをする事になるからだ。
とはいえ、その時が来れば、僕にとって一番大事なのは嫁や、その次に大事な仲間達を守る為に躊躇するつもりはない。
何故ならば、僕が躊躇する事で、追っ手に捕まれば、無事には済まないからだ。
つまり、躊躇する。と言う事も……間接的な意味での人殺しになる。と言う事になるのだ。
だから、その時が来れば僕は……僕の中で、後悔が少ない方を殺す。と決めている。
そんでもって、追っ手には、
返り討ちに合う覚悟も持って、追撃して来てくれている事を願うばかりだ。
◇◇◇
『猿達(霊耐猿)は、追ってくる気配はない。
相変わらず、幽霊は纏わりついて来てるけど……襲って来る気配はない。
メアちゃん。ルオ君。とりあえず、寝ちゃいな。
少なくとも、朝になれば、幽霊だけは居なくなってる筈だから……』
嫁の穏やかな声が携帯から聞こえてくる。
「頑張ってみる。」
「俺も頑張る。」
嫁の言葉にメアちゃんとルオ君が頷く。
「ウチも、それなりに寝かして貰うたことやし、
子供達の見張りは、ウチがしとくさかい、落ち着きはったら寝はり。」
「有り難う。
じゃあ……お言葉に甘えて、そうさせて貰うよ。」
僕は、そう言いながら、プグナコちゃんに頭を下げる。
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
【ゴロ・ゴロ・ゴロ】・【ピカ・ピカ・ピカ】
【ドォォォーン】
外では相変わらず、雷がなっている。
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】
雨は更に激しさを増している気さえする。
最悪のコンディションの中、
それでも、スピードを落とさずに、乗り物を走らせ続けてくれる、嫁・ベアゾウさん・バンオさんには、本当に頭が下がる思いだ。
◇◇◇
『この先の二股に分かれた道が出てきたら、右側の道の方にハンドルをきってくれ。』
『了解。』×2
ベアゾウさんの指示に、嫁とバンオさんが頷く。
時刻は1時。
そろそろ寝ないと明日がキツくなりそうだ。
「寒。なんやしらんけど……気温が一気に下がりはった気がする。」
『今、馬喰らい街道の南ルートに入ったでございまするが……
知識の泉から溢れた塊になる前の悪意の気体。 悪い空気とも呼ばれている、瘴気の濃度が大幅に上がったでございまする。
でっ。この急激な寒さの原因は……瘴気の濃度が大幅に上がった事が原因だと思われるでございまする。
何故なら、瘴気の濃度が大幅に高い場所は、周囲の気温とは関係なく、極寒の地になるらしいからでございまする。
そんでもって、瘴気の濃度が大幅に高い場所の周辺は、逆に……灼熱の地になるらしいでございまする。
因みに、馬喰らい街道の南ルートは、瘴気の濃度が大幅に高い場所と、その周辺を縫うように走ってる道らしいでございまする。
なので、今度の移動も、草原に居た時と同様、寒暖差が激しいと思って頂く事を、お勧めするでございまする。』
「了解。
豪雨に、滅茶苦茶な気温ときたか。
こりゃ……バイクでの移動が必要にはりはらへん事を祈るばかりやな。」
レイヒト君の説明を聞いたプグナコちゃんが、苦笑いしながら窓の外を見ていた。
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