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ニートを夢見る脇役達の異世界解放奇譚  作者: モパ
【第2章】大戦前夜
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指名手配

『出るぞ。』


携帯から、ベアゾウさんの声が聞こえてくる。


時刻は12時。

僕達はベアゾウさんの合図で行軍を開始した。



先頭を行くのは、ベアゾウさんが運転する、キッチン トレーラーを牽いた、ピックアップ トラックだ。


アルコさんは、助手席で仮眠を取っているらしい。


そして、アルブスが入っている、ドライブ ボックスみたいな感じの物は、2列目の運転席の後ろに移動させたらしい。



アルコさんが運転するピックアップ トラックの後ろは、ヴェルさんの店を牽いた、ウ◯モグ風な感じのトラックだ。


運転手は、ヴェルさんに代わり、バンオさんは助手席で仮眠を取っているらしい。


そして、アーテルが入っている、ドライブ ボックスみたいな感じの物は、2列目の運転席の後ろに移動させたらしい。



最後尾は、植物油の入ったトレーラーを牽く、僕達のキャンピングカーだ。


運転席にはプグナコちゃんが座り、嫁は助手席に座っている。


僕。レイヒト君。メアちゃん。ルオ君。そして……

フェエスタオルを入れた、取っ手付きのプラスチック ケースの中に入ったコルとドマが、リアキャビンの乗車スペースに居る。



◇◇◇



『サルクルさん達は、馬喰らい街道について知らないだろうから説明させて貰うぞ。



馬喰らい街道は、夜行性の危険なモンスターが多い土地であり、大きな盗賊団も居た為、

行軍のスピードが遅れた等の理由で、日が暮れてから町や村を訪れた行商人や運び屋を安全上の理由から、町や村に入れる事は無かったらしい。



そのせいで、町や村に入り損ねた行商人や運び屋は、モンスターや盗賊団の襲撃を回避する為に、夜通し馬車を走らせる事になってしまい、馬を潰してしまう事が頻繁にあったらしい。



でっ。そうなれば……馬が牽いていた馬車は立ち往生してしまう。


だから、行商人や運び屋は、馬車を小瓶等に封印し、護衛の冒険者等と一緒に、徒歩で最寄りの町や村を目指す事になるのだが……


モンスターや盗賊団の襲撃を受けて、沢山の人が、志し半ばで亡くなった。



でっ。何時しか、そう言った人々の怨念が積み重なり……悪霊の多発地帯となった。


そして、力をつけた悪霊達は、夜な夜な、馬喰らい街道の沿線の町や村の中にまで入り込むようになった為、そこに住んでいた多くの人々が、他の町や村に移住してしまった。


それが決定打となり、3ヶ月前、遂に街道としての役割を果たせなくなってしまった為、廃道になったんだ。』


ベアゾウさんが、淡々とした口調で馬喰らい街道の説明をしてくれた。


『そんな危険な場所をルートに選んで大丈夫なんか?』


プグナコちゃんの声が携帯から聞こえてくる。


『猫又の妾や、魔狼のアルブスにとっては、人間の軍から同乗者を守る仕事よりも、悪霊から同乗者を守る仕事の方が楽にゃ。


それは……ドマやコルにも言える事にゃ。


レイヒトが、【空の目】で、追跡者の索敵をしてくれているとはいえ……それが、実戦を回避する事が出来る担保には、にゃらにゃいにゃ。


にゃら……敢えて、キツい ルートを選ぶ事で、妾達の元に辿りつける襲撃者の数を減らすのは、最良の一手にゃと思うにゃよ。』


アーテルの淡々と話す声が携帯から聞こえてくる。



■■■



『この先を右に曲がるぞ。』


『了解。』×2


ベアゾウさんの指示に、ヴェルさんとプグナコちゃんが、短い返事を返す。



「川が黄色くなった!

向こうの山が雲に食べられてる!」


「本当だ! 良く気がついたな!」


「でしょ。でしょ。」


メアちゃんと、ルオ君は、窓の外の景色を見ながら、はしゃいでいる。


「あ~。アタシのチョコ、取らないでよ。」


「うっさい。」


今の今まで、仲良くしてたのに……

メアちゃんと、ルオ君から不穏な空気が流れ出す。


「ハイハイ。追加を出すね。」


「やった!」×2


僕は、いけない事とは理解しつつも、追加のチョコを出す。



メアちゃんと、ルオ君も、自由奔放に振る舞っているように見せているだけで……時折、不安そうな顔で車外を見ている。


きっと、2人は……僕達が思っている以上に、状況を把握しているのだろう。


だからこそ……

少しでも穏やかな旅路にする為に、お菓子ぐらいは奮発してあげよう。



■■■



【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】

【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】

【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】



【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】

【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】

【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】



【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】

【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】

【ボト・ボト・ボト】・【ボト・ボト・ボト】



「何? 何? 何?」


時刻は18時。


15時頃から、リアキャビンで仮眠を取っていた嫁が飛び起きてきた。


「サクモお姉ちゃん。雨が降ってきただけだよ。」


メアちゃんが、そう言いながら、笑っている。



「そう。教えてくれて有り難う。

てか……マジでビビったわ……」


嫁がメアちゃんに、お礼を言った後、眠そうな顔で目を擦りながら、窓の外を見ている。



◇◇◇



『サルクル殿の指示で、定期的に、ギルドのカリーナ帝国支部の支部長のウルチヨ殿のメールを覗き見していたのでございまするが……


ウルチヨ殿が、拙者達を追って来られると申しされていた、カリーナ帝国軍の2個小隊(1個小隊の人数は30〜80名)の情報をゲットしましたぞ。



どうやら、追っ手は、2手に別れて行軍しているようでございまする。



詳細は、


1個小隊は、拙者達が通って来た林道の10キロ手前で夜営中でございまする。



そんでもって、もう1つの部隊は…大森林地帯の旧街道の10キロ手前で夜営中でございまする。


彼達は、多分……先刻の分かれ道で旧街道に続く道を通って来られるつもりだと思われます。



どちらの部隊も、バイクとピックアップ トラックだけのスピード重視の編成でございまする。


もし、彼達が馬喰らい街道に入り、昼夜問わず移動をし始めたら……直ぐに、追いつかれると思いまするぞ。』


レイヒト君の焦った声が携帯から聞こえてくる。



◇◇◇



「目視する事が出来る距離まで来たら……追っ手の乗り物の先頭を走る、バイクやピックアップ トラックの原状を魔法燃料液を入れる前の状態に回復させる。


そうすれば……魔法燃料液がなくなったバイクやピックアップ トラックは急ブレーキを踏んだように止まりるだろうから……

後続が追突する多重事故が起こり、追っ手を間引く事が出来る筈だ。



勿論、目視が可能な距離まで近づかれる。と言う事は、それなりに攻撃を受ける可能性はある。


けど、そこは、僕の不壊タイムと無敵タイムでサポートする。


だから、皆には、結界魔法を軸にした防御と、追っ手を振り切る為に乗り物を走らせる事に専念欲しい。



そんでもって、状況次第では、

ドマとコルに、全員の乗り物ごと、虚体化させて貰って、山の中に作られたトンネルを移動するような感覚で逃げる。


普通ならば、マナの量の関係上、無理な方法だとは思うけど……僕の無敵タイムでサポートすれば、5分間は虚体化する事が出来る。


この作戦を発動させれば、5分間といえども、追っ手に捕捉されずに、山の中を直線上に進む事になるだろうから……追っ手との距離を、それなりに離す事が出来る筈だ。」


「サルクルさんの無敵タイムのサポートがあれば、

3台の乗り物ごと、皆を虚体化させる事は可能だよ。」


「だな。」


僕の作戦を聞いた、コルとドマが、皆を乗り物ごと虚体化させる事は問題無いと言ってくれた。



これならば……僕の作戦は、絵に描いた餅で終わる事は無さそうだ。



『成る程。


それならば……拙者が追っ手の襲撃を事前に察知する事が出来るか否かが、勝敗の分かれ目。と言う事になるでございまするな。』


「何れ、そう言う時が来るかもしれないけど……


アルコさん達を含めた、このメンバー全員と、乗り物に……不壊タイムを二重にかけてる。


なので……取り敢えず、二回は死んだり、壊されたりしてもノーカウント。


だから……今回は、その時の為の練習のつもりで頑張ってくれたら良いよ。」


『了解でございまする。

それを聞けて、胃の痛みが取れたでございまする。』


レイヒト君のホッとした声が、携帯から聞こえてきた。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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