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ニートを夢見る脇役達の異世界解放奇譚  作者: モパ
【第2章】大戦前夜
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旅の準備と一抹の不安②

「わたしとしては、問題無い。

だけど……全力は尽くすけど、メアちゃんとルオ君、絶対に守ります!って、断言は出来ない。」


僕の説明を聞いた嫁が、申し訳なさそうな顔をしながら、ヴェルさんを見ている。


「誠実な答えだね。

ここで、絶対に大丈夫。って、言われた方が、信頼する事が出来なかったわ。」


作業を中断して、僕の話を聞いてくれたヴェルさんが、にこやかな笑みを浮かべている。


「それは、ウチ達と一緒に、ガバパ連邦に行く。ちゅう答えか?」


「あぁ。

ここに残るよりも、家族を含めて、より良い未来を掴めそうだからね。」


プグナコちゃんの質問に、ヴェルさんが、笑顔で答える。


「じゃあ……僕達の異能についても、話しておいた方が良さそうだね。」


「確かに。」×2 ・「だな。」×2・「せやな。」


僕の提案に、嫁達が頷いてくれる。



■■■



「サクモさんが特殊点。プグナコちゃんが特異点。レイヒト君が超越点だと言う事は、何となく分かってはいたけれど……

サルクルさんの異能……想像以上にチートだったわ。」


僕達の異能を聞いた、アルコさんが、大笑いしている。


「取り敢えず、水と食糧は、アルコさん達の分も、こちらが提供する。


そんでもって、アルコさん達の乗り物を含めた、燃料も、僕の異能で何とかする。



とは言え……世の中に絶対はない。


だから、僕とはぐれたり、僕に何かあった場合に備えて、各々の鞄の中に、カロ◯ー◯イトや、i◯ゼ◯ー。スポーツ飲料の粉末に、チョコレート。それと……ペットボトルに入ったミネラル ウォーター等を入れておくべきだと思う。」


「カロ◯ー◯イト? i◯ゼ◯ー? スポーツ飲料の粉末? チョコレート?


それは、なんだい?」


ベアゾウさんが、興味津々な顔で質問をしてくる。


「僕達の世界(ムシュ イム アン キ)軽量で高カロリー。しかも、調理が不要で、日持ちもする食べ物や飲み物だよ。」


「それは最高だね。

たとえ、味が合わなかったとしても……是非とも欲しい物だね。」


アルコさんが、目を丸くしながら話す。


「そろそろ、お昼だし……

試食会を兼ねて、色々、出してみますか。」


「それは、楽しみだね。」


「だね。」


アルコさんの言葉に、ヴェルさんが、頷いていた。



■■■



「ふう。お腹が、はち切れそう。


てか……こんな旨い物を短時間で出しまくれるとか……


異世界(ムシュ イム アン キ)の技術。恐れいったわ。」


「この飯ならば……カリーナ帝国の帝都でも、行列を作る店になるでしょうね。


惜しまれるのは……この国(カリーナ帝国)で、この飯を再現するには、材料も技術も足りていない。言う事ですね。」


ヴェルさんとバンオさんが、タメ息をつきながら呟いた。


「明日から、暫く、こんな、ご飯が続くのよね?

絶対……太るわ。」


「なら、量を控えろよ。」


「無理。無理。無理。」


「じゃあ……その分。働け。」


「そうする。」


アルコさんと、ベアゾウさんが、イチャイチャし始めた。



メアちゃんと、ルオ君は、デザートを夢中で食べている。



「我が家の猫と犬の為に買った、キャットフードと、ドッグフードが、こんな形で役に立つとは思わなかったでございまする。」


「せやな。

せやけど……ファインプレーや。過去の自分を褒め称えといたり。」


「そうするでございまする。」


一心不乱に、ドッグフードやキャットフードを食べている、アルブスとアーテルを見ながら、

レイヒト君とプグナコちゃんが、微笑んでいる。



「オイラ的には、こっちの世界(アン ナブ キ シェア ラ)の草の方が旨いと思うけどな。」


「アタイも、そう思う。」


ドマとコルは、そう言いながら、その辺に生えている牧草を貪るように食べている。



■■■



「取り急ぎ、トレーラーと、

トレーラーの容量の2/3程度の植物油を確保する事が出来ました。


明日の昼に、この店の後ろに届けてくれるそうです。


これが届き次第、出発が出来ますね。」


時刻は、16時。


バンオさんが、ホッとした顔をしながら、ヴェルさんの店に戻ってきた。



「助かりました。」


バンオさんに同時に頭を下げる。


「宿のキャンセルまで頼んで、ごめんなさいね。」


嫁が、そう言いながら、バンオさんに頭を下げる。


「つつがなく、キャンセルして来ましたよ。



それと……ギルドへは、我々の商会が、新たに植物油の販売に参入する旨と、

大森林地帯で、我々の商会を贔屓にしてくれている、隊商等に売り込みに行く旨を報告しときました。


これで、サクモさん達は、我々の商会の一員として、国境を越えられる筈です。



後は……ヴェルや……アルコさん・ベアゾウさんが、ギルドを通して、カリーナ帝国軍の召集令状が届く前に、国境を越えられなければ、問題が1つ増えますが……

今のところ、そういった問題も発生しなさそうです。」


バンオさんが、嬉しそうな顔をしながら、饒舌に話してくれた。



■■■



「おはよ。」


僕は、ヴェルさんの店の中に作られた、商談スペースに挨拶をしながら入る。



時刻は12時。


ここに入る前に、外で、ヴェルさんが、僕達のキャンピングカーと、届いたらしいトレーラーを接続させてくれているのが見えた。



「おはようございまする。


起きられて、そうそう、申し訳ないでございまするが……


先程、大森林地帯の北側を領土に持つ、ナヤクラース連邦が、北極点を中心に、北側の領土の一部を放棄する。と言う声明をギルドを通して出されたでございまする。


拙者は、上手く言えませぬが……このナヤクラース連邦の声明が、どうにも気になるのでございまする。


ですから、サルクル殿の、ご意見を聞かせて貰いたいでございまする。」


レイヒト君が、不安そうな顔で質問をしてくる。



そして、レイヒト君の右隣には、ベアゾウさんが座っている。


多分……僕の見解を加味した上で、移動ルートを決めたいのだろうな。



「最新の情報に変えた地図はある?」


僕は、レイヒト君に、質問をしながら、タブレットPCを立ち上げている、レイヒト君の左隣に座る。


「ギルドの情報は、まだ、更新されていないでございまするが……ここが、全て、誰の土地でも無い場所に変更される予定でございまする。」


レイヒト君が、そう言いながら、タブレットPCに映る画面を指でなぞる。



タブレットPCに映る地図には、

誰の土地でも無い部分が、黄色で塗りつぶされ、

国や部族等が、土地の所有権を主張している場所が、赤色と青色で塗りつぶされている。


因みに、赤色は……複数の国や部族が、土地の所有権を主張している場所らしく、紛争が絶えず起こっている、危険地帯になるらしい。



「ナヤクラース連邦が、土地の所有権を放棄したせいで、

世界征服を企んでいる、カリーナ帝国と神聖法王国が、軍を動かすにあたって、大森林地帯の国や部族との調整が必要な場所が、一気に減ったね。



しかも、ナヤクラース連邦が放棄した土地を除いた、カリーナ帝国と神聖法王国を隔てる土地は、全て、複数の国や部族が、土地の所有権を争っている場所だ。


つまり、誰の土地でも無い、所有者不明の土地だ。と言って、敵国に攻め込む為の軍を送り込む事も、理論上は可能だと思う。」


「ハハ。屁理屈も良いところだが……間違え。とも言えない考えだな。


もし、そんな事になれば……俺達、高ランクの冒険者にも、ギルドを通して、召集令状が出かねない。


一秒でも早く、カリーナ帝国の領土から出ねぇと……ヤバい事になりそうだな。」


僕の言葉を聞いたベアゾウさんが、苦笑いしている。



「召集令状に従わなかった場合、カリーナ帝国やギルドからペナルティとかは出るの?」


「カリーナ帝国に関わらず、何処の国や部族でも、自国の勢力圏に居るのにも関わらず、召集令状に従わなかった場合、ペナルティと言うか……敵前逃亡と言う犯罪を犯した犯罪者して扱うな。


まぁ……自国の勢力圏に居ても、自国の領土を出た者に対してまで、わざわざ、追っ手を差し向けるかは、ケース バイ ケースとして……


自国の領土から出さないように、国境線上にある全ての砦や、

他国に渡れる船が入出港する港を持つ、全ての町や村への警備隊に、指名手配をかけるだろうな。



因みに、ギルドは、召集令状が出された国や部族の領土から出た時点で、召集令状は無効になる。と言う考え方だ。



だから、ギルドとの関係性を考えれば、

俺もアルコもヴェルも、カリーナ帝国の領土を出てしまえば問題無い。筈だ。」


ベアゾウさんが、苦笑いしながら、自分達の状況を説明してくれる。


「てっ。事は……最悪、車やトラック。トレーラーは、小瓶か何かに封印してバイク。若しくは……徒歩で、山越えをする事も考えないといけないね。」


「おいおい。理論上は可能だが……

ヴェルの店まで封印するには、バカみたいな量のマナが……って……あんたの異能のサポートがあれば出来るか。」


僕の話を聞いた、ベアゾウさんが、ニヤリと笑った。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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