最終決戦②
【パリーン・パリーン・パリーン・パリーン】
【パリーン・パリーン・パリーン・パリーン】
【パリーン・パリーン・パリーン・パリーン】
龍脈を制御する施設の中に居たヒトのような物体達が、
龍脈を制御する施設の中の転移装置がある部屋の壁と、龍脈を制御する施設の中の転移装置がある部屋の中に張られた結界を破って、入って来ようとしている。
まるで……ゾンビ映画に出てくる、ゾンビの大群に迫られているような感じだ。
「『結界』×10」・「『結界』×10」
嫁とプグナコちゃんが、龍脈を制御する施設の中の転移装置がある部屋の中に結界を張り続けるが……追いつかなくなってきてる。
「『持続設定』。『自動設定』×2。
サクモちゃんとプグナコちゃんが張ってくれている結界に無敵タイムと不壊タイムを二重にかけた。
これで……5分+2回、サクモちゃんとプグナコちゃんが張ってくれている結界が絶対に破られない。」
「ナイスやサルクルさん。」
「パパ。援護が遅い!
心臓がバクバクしてるぞ!」
プグナコちゃんと、嫁が、僕の言葉に、全く違う反応を示す。
【カタカタカタカタ】・【カタカタカタカタ】
【カタカタカタカタ】・【カタカタカタカタ】
【カタカタカタカタ】・【カタカタカタカタ】
その間も、レイヒト君が、転移装置の前にある机の上に置かれたキーボードを、管理者の指示に従って、一心不乱に入力をし続けてくれている。
◇◇◇
「お待たせしたでございまする。
転移装置が起動させたでございまするぞ。
これから、メイン制御室に飛ぶ為のワーム ホールが開くでございまする。」
「了解。
『結界』。『持続設定』。『自動設定』×2。」
レイヒト君の報告を聞いた僕は、
右肩に【結界魔法の術式】を刻んだタトゥーにマナを込めて、結界を張った。
そして、その結界に無敵タイムと不壊タイムを二重にかけた。
嫁とプグナコちゃんが、何重にも張ってくれた結界と合わせると……暫くは、誰も、この部屋に入って来れない筈だ。
【パァァァァァーン】
柔らかな光に包まれたトンネルが僕達の目の前に現れる。
「ワームホールが出たでございまする。」
レイヒト君が、そう言いながら、柔らかな光に包まれたトンネルの中に飛び込む。
「わたし達も行くぞ!」
「おう。」・「うん。」
プグナコちゃんと、僕が、嫁の言葉に頷くと、
僕達は、レイヒト君を追いかけるように、ワームホールの中に飛び込んだ。
◇◇◇
「拙者は今から、管理者殿の指示に従って、
このワームホールを閉じ、転移装置のパスワードを変え、転移装置をシステムダウンさせるでございまする。
この作業が終われば……転移装置を使って、メイン制御室に来る事が出来なくなるでございまする。
また、前にディンエ殿から頂いた情報通り、
メイン制御室の中は、次元の狭間になる為、外から異能を使って、ワームホールを繋いで侵入する事も出来ない。との事でございまする。
ただ……ディンエ殿から前に頂いた情報通り、
北極海の真ん中にある北極点にある大穴と、
南極点がある、氷に閉ざされた大陸(シェグの大陸)にある大穴からメイン制御室への侵入は可能らしいでございまする。
ですから……サクモ殿とプグナコ殿には、メイン制御室の中を包み込むような結界を張って欲しいでございまする。」
【カタカタカタカタ】・【カタカタカタカタ】
【カタカタカタカタ】・【カタカタカタカタ】
【カタカタカタカタ】・【カタカタカタカタ】
レイヒト君が、転移装置の前にある机の上に置かれたキーボードを、管理者の指示に従って、一心不乱に入力をし続けながら、僕達に指示を出してくれる。
「了解。『結界』×10」・「了解。『結界』×10」
嫁とプグナコちゃんが、メイン制御室の中に結界を張ってくれる。
「『自動設定』×20。」
僕は、嫁おプグナコちゃんが張ってくれている結界に不壊タイムを二重にかけた。
そして、重ね掛けが出来ず、時間制限がある、無敵タイムは……実際に敵が来た時まで温存する事にした。
「ワームホールの繋がりを消し、転移装置のパスワードを変更したでございまする。
今から……転移装置のシステムを落とすでございまする。」
【ブウゥゥゥゥーン】
レイヒト君が、そう言うと、転移装置の前に置かれたデスクトップのPCのような物の画面が真っ黒になった。
◇◇◇
「では、拙者は、これから、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を開く作業に入りまする。」
レイヒト君が、そう言うと、先刻とは別のキーボードを叩き始めた。
先刻とは別のデスクトップのPCのような物に、0と1の数字や……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の文字が、次々と表示されていく。
「レイヒトが、入力を終えたら……作業完了やな。
拍子抜けする程、簡単に終わったな。」
「こら、プグナコちゃん。
拍子抜けとか……へんなフラグが立ちそうな言葉を使わない。」
嫁が、プグナコちゃんをジト目で見る。
「ごめん。ごめん。不適切な発言やったわ。
最後まで、油断……大敵やったな。」
プグナコちゃんが、そう言いながら苦笑いしている。
「分かればよろしい。」
嫁が、そう言いながら、プグナコちゃんの頭を撫でる。
【カタカタカタカタ】・【カタカタカタカタ】
【カタカタカタカタ】・【カタカタカタカタ】
【カタカタカタカタ】・【カタカタカタカタ】
レイヒト君が、転移装置の前にある机の上に置かれたキーボードを、管理者の指示に従って、一心不乱に入力をし続てくれている。
僕達は、その様子を……静かに見守る。
■■■
「この世界(アン ナブ キ シェア ラ)が、開いた世界になりましたぞ。
これから、別の転移装置を起動させて……ディンエ殿と始めて会った、あの部屋に移動するでございまする。」
レイヒト君が、そう言うと、また、違うキーボードを叩き始めた。
このデスクトップのPCのような物に、0と1の数字や……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の文字が、次々と表示されていく。
「しゃあ! レイヒト! 良くやった!」
「プグナコちゃん! ストッ~プ! 邪魔しない! 」
レイヒト君にハグしようとするプグナコちゃんを、嫁が、後ろから羽交い締めて止める。
【パァァァァァーン】
柔らかな光に包まれたトンネルが、再び、僕達の目の前に現れる。
「あの部屋に通じる、ワームホールが出たでございまする。
あの部屋で、ディンエ殿が、拙者達を待たれておるようでございまする。
因みに、サスサイ殿は、ヤスズミ殿達の護衛の任務を優先されるとの事なので……あの部屋には居ないとの事でございまする。」
レイヒト君が、そう言うと、柔らかな光に包まれたトンネルの中に飛び込んだ。
「わたし達も行こうか。」
「せやな。」・「うん。」
プグナコちゃんと僕は、嫁の言葉に頷く。
この作戦を始める前、どんなトラブルに襲われそうか。って言うシミュレーションまでは、明確に出来てはいなかったが……
ここまで上手く事が運んでくれるとも思ってなかった。
ただ、ここまで上手く事を運べた理由として考えられるのは、僕達にとっても想定外だった、【ムシェンサン失踪事件】のお陰だと個人的には思っている。
何故なら、【ムシェンサン失踪事件】は、僕達にとっても想定外の出来事だった為……
【虹を見たい者達】が、たとえ、ディンエさんサイドにスパイを潜り込ませていたとしても……解決の糸口が見つからない事件だからだ。
そんでもって、ベシアセ連邦のカンガさんや、元カリーナ帝国の北部を仕切っている貴族のサイアン辺境伯達の巧みな挑発によって、【虹を見たい者達】は、失踪したムシェンサンを早急に捕まえないといけない流れに持ち込まれた事で、【虹を見たい者達】が、ムシェンサンを捜索する補充人員として、龍脈を制御する施設を守っていた、鳥のような物体を動かしてくれたからだ。
そんでもって、もし、龍脈を制御する施設を守っていた、鳥のような物体が、あのまま、龍脈を制御する施設を守っていた事を想像すれば……ゾッとする。
結果だけを見れば、ほぼノートラブルだと言えるような内容ではあったが……
龍脈を制御する施設から、転移装置を使って、メイン制御室に来るまでの間は……かなりギリギリの状態だったからだ。
「パパ。考え事は、後にして。」
嫁が、そう言いながら、僕の手を掴んで、ワームホールの方へ引っ張り始めた。
評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。
頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。
宜しくお願いします。