手違い
皆様にとって、面白い小説になれば幸いです。
よろしくお願いします。
【グワン】・【グワン】・【グワン】
【グワン】・【グワン】・【グワン】
【グワン】・【グワン】・【グワン】
不意に、視界が歪んだ。
『貴方の体内のマナの量が規定値を越えましたので、異能を付与します。
欲しい異能をイメージして下さい。』
そんな声が聞こえた気がした。
もしかして、異世界物の漫画や小説の見すぎなのだろうか……
ふと、そんな事を考えながら意識を保とうと、意味もなく歯を食い縛ってみる。
『貴方の体内のマナの量が規定値を越えましたので、異能を付与します。
欲しい異能をイメージして下さい。』
また、そんな声が聞こえた気がした。
はぁ……買い物から帰ったら……早目に寝よう。
『貴方の体内のマナの量が規定値を越えましたので、異能を付与します。
欲しい異能をイメージして下さい。』
頭の中に響くような謎の声が止まる気配がしない。
「はぁ……」
僕は頭の中の妄想を止めるべく、
ゲームや小説。マンガの中の世界に取り込まれたとしても、生きていけそうな異能を妄想してみる事にした。
◇◇◇
『異能、【原状回復】の受け取りが可能です。
取り急ぎ、【原状回復】の内容を共有します。
不明点等がございましたら、10分以内に、ご質問して下さい。
尚、10分後には、自動的に、この内容で異能を付与させて頂く予定です。
また、一度、付与された異能は、
何人たりとも取り消せない代わりに、 何人たりとも変更や修正を行う事も出来ません。
もし、この異能に、ご不満が、ございましたら……
10分以内に、別の異能を想像して下さい。』
頭の中に響いている声が、そう言うと……
フワッとした妄想が、急にクリアーになった。
◇◇◇
僕が妄想した異能(【原状回復】)は、
自動設置・任意設定・持続設定と言う、3つの能力から成り立っているらしい。
自動設定(不壊タイム)
⇒ 寿命以外で壊れされた生き物や、物体の形状を、その直前~半日前の中で、一番良い現状に自動で戻す事が出来る。
また、生き物は、アンチサイ攻撃や、精神系の攻撃を自動的に無効化する能力を付与する事も出来る。
ただし、自動設定の効果は一回。
一度、寿命以外で、壊されされた(死んだ)場合、再設定が必要。
※自動設定の対象に制限数がない。
※二重に重ね掛けが出来る。
任意設定⇒
原状を任意の時に変えられる。
※但し、寿命には影響しない
※生死に関わらない内容で、生き物の原状を変えたい場合、相手の許可がいる。
※入れ物に入っている物体や物質に関しては、無限増殖が可能 。
※過去の状態を鑑定する事が出来る。
また、望ましい状態を思い浮かべれば、それに近い状態の頃の原状が瞬時にピックアップされる。
持続設定(無敵タイム)
⇒ 生き物の原状を、一回につき、5分間、固定する事ができる。
また、【原状回復】は、リアルタイムで目視した物にかけられるらしい。
※リアルタイムの映像であっても、通信機器等を介して見ている映像は、目視としてカウントされない。
◇◇◇
「問題無い。これで良い。」
僕は、心の中で、頭の中に響く声に返答を返す。
『畏まりました。 では、異能の付与します。
そうそう。
サルクルと言う、字も貴方に与えます。
ムシュ イム アン キ……今まで、あなた達が居た世界の名前を使用する事が出来ません。
ですから、今から行く世界。アン ナブ キ シェア ラでは、字を、お名前として、ご使用される事を推奨します。
それと、異能の付与の影響で、貴方は不老有死の存在となりました。
殺されない限り、死ぬ事も、老いる事もありません。
そうそう。
名前の使用不可に関しましては、ムシュ イム アン キに戻られましたら解除されますが……
異能の内容。及び、不老有死の肉体等に関しましては、ムシュ イム アン キに戻られたとしても変わらないです。
ご理解の程、宜しくお願いします。』
頭の中に響くような謎の声は、淡々とした口調で滅茶苦茶な内容を話す。
『それと、通常は、召還者の所にダイレクトに飛ぶのですが……
今回は、貴方も、貴方の番様も、
召還者に不備がある形での召還になりますので、アン ナブ キ シェア ラの管理者の所に飛ぶ事になります。
私の説明は、以上となります。
今後の貴方の人生に幸があらん事を陰ながら、お祈ります。』
頭の中に響くような謎の声がそう言うと、再び、視界が歪み始めた。
■■■
「私の名前は、ディンエ。
今から、貴方達を送る、アン ナブ キ シェア ラの管理を任された者です。と言うよりも……
原状は、予定だった者。と言うべきかもしれませんね。
とりあえず、ここは、ムシュ イム アン キと呼ばれる、貴方達が居た世界を含めた、他世界との次元の境界線上にある、次元転移装置を管理する施設です。
そして、現在、私は……この施設に幽閉されている身でございます。」
目の前に現れた女の人が、そう言いながら、苦笑いしている。
気がつけば、僕の左隣に嫁が居て、
嫁の左隣には、見知らぬ若い男女が居る。
「こちらの都合で申し訳ないのですが……時間がありません。
手短に話をしますので、そこに、おかけ下さいませ。」
目の前に現れた女の人が、そう言いながら、僕達の前に置かれた、円卓を手で指し示した。
◇◇◇
「この世界(アン ナブ キ シェア ラ)は、今、内戦の真っ只中でございます。
そして……一部の国では、戦力の増強策の1つとして、非合法な、やり方で、貴方達の世界(ムシュ イム アン キ)から、人々を召還しております。
私は、それを止める立場を仰せ使ったのですが……
先程も申し上げた通り、この世界(ムシュ イム アン キ)の管理者を任されていたのですが……
色々、あって、ここに幽閉された為、それを止める権限を失っている状況なのです。」
ディンエと名乗る女の人が、そう言いながら、悔しそうな顔をしている。
「では、前置きはこれぐらいにして、本題に入っていきますね。
今回、貴方達の世界(ムシュ イム アン キ )から、アン ナブ キ シェア ラに召還された方は、アン ナブ キ シェア ラにあるカリーナ帝国と言う国になります。
因みに、カリーナ帝国が召還した方々は、専良学園と言う高校の2年5組の皆様と……
専良学園の2年5組の皆様が召還される際に、半径1キロ以内に居られた、同格の方となります。」
ディンエと名乗る女の人が、そう言いながら、僕達の反応を見る。
「ご質問等は無いようですので、話を進めていきますね。
まず、皆様は、アサグと呼ばれる不老有死の存在になられる最上級の格を持ったれています。
では、貴方達の世界(ムシュ イム アン キ )の名前は使えないので、貴方達に与えられた字を使って事の経緯を話ていきますね。
カリーナ帝国は、3日前に専良学園を退学され、本来、召還される対象から外れる筈だったレイヒトさんを、召還者のリストから外し忘れていたようです。
そのせいで、レイヒトさんが、アン ナブ キ シェア ラに召還されました。
また、その影響で、レイヒトさんの半径1キロメートル以内に居られた、同格のサクモさん。サルクルさん。プグナコさんも、アン ナブ キ シェア ラに召還される事になりました。」
ディンエと名乗る女の人が、そう言いながら、僕達の反応を見る。
「ごめん。
少なくとも、ウチは、召還される前は、不老有死なんていう、けったいな存在やなかった。
せやから、その話……整合性が取れてへんのちゃうか?」
女子高生が、怪訝そうな顔をしながら、ディンエと名乗る女の人を見ている。
「それは、5000年前に、貴方達の世界(ムシュ イム アン キ)が、マナを産み出す、メーの殆どを失ってしまったからです。
ただ、残念ながら、私達に残された時間から考えて、今、その辺りの説明から始めるのは難しそうです。
何故なら、私は……貴女達の命に関わる話や、アン ナブ キ シェア ラの未来に関わる問題から話さなければならないからです。
ですから、申し訳ないのですが、もう暫く、私の話に耳を傾けて頂きたいです。」
ディンエと名乗る女の人が、そう言いながら、深々と頭を下げて来た。
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