表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

再び学園内

まさか、1日に2回も学園に行くことになるとはな。

俺の肩にはルナちゃん、右腕の中には妹、左手でマイちゃんを引っ張って走ってる。

こうしたほうが早いからこうしてるんだが、なんかこう、うーん。

なんて思いながら学園前に到着する。

まだ帰っていない学生がちらほらいる中、例の怪しい男たちがこっちを見つける。


「あいつだ!」

「捕らえろ!」


一斉に向かってくるなんて、なんて浅はか。

三流にも満たないくそみたいな集団だな。


「みんな一気に学園内に入るぞ。」

「あいなのさー。

「は、はい!」


回避を使って襲い掛かってくるやつらを躱した。

躱し続けて、躱し続ける。

男たちは驚いた顔をしながら、慌てふためいてた。

学生が気づき始めて、またざわざわし始めた。

あまり目立つことは好きではないんだがな。

虚偽を使って回避を上書きする。

逃げつつ目的の場所へたどり着くためには、そうだな...、【速度】にしとくか。

速度によって速さは格段と早くなる。

ただ、早くなるだけではなく遅くすることもできるので使い分けが大事になってくる。


「ほっほいっと。」


学園内にもうようよいやがる。

なんかめんどくさくなってきたな。

いっそのことやってしまうか。


「ルーさん...?顔がやけに怖いですけど.........。」

「ん?あぁ、ごめんごめん、やっちゃおうか迷ってたんだ。」

「ひっ!」


あれ、また怖がらせちゃったのかな。

表情管理は慣れないな。

結局誰も殺さず、噂になってる秘密の部屋とやらに到着した。

鍵はかかってないようだ。

静かに入ろうとしたがあえて、あえて思いっきり扉をあけてやった。


「あら、ルーくん、遅かったね。」


中には椅子に縛り付けられたクラスメイトの3人とほかのクラスのやつら、結構な人数がいた。

おそらくSランクの才を持ったやつらだろう。

みんな落ち込んでいた。


「遅かったとはどういうことでしょうか、先生?」

「あらぁ、ちゃんとその子たちもいるのね。連れてきてくれて、ありがとう。

もう手配しちゃったのよ、第3式特殊部隊教育所にね。」

「どこですか、それ。」


聞いたことないな。

妹もピンとこないのか、首をかしげてる。


「あれ、知らないはずはないと思うんだけどな。

あ、そっか。名前が変わったんだっけ。確か旧名は天災戦争跡地だったかな。」

「ほう。」「へぇ。」

「と、いうことは俺たちの事を知っているとでも?」

「お兄ちゃんやっちゃう?」


先生はどうやってそんなことを知ったのだろう。

あの時、あそこにいた生き物は死滅させたと思ってたんだが、生き残りでもいたのか。


「みんな聞いて頂戴。ここにいる兄妹は指名手配よ、捕まえればこれからの将来が約束されているわ。」

「ルー...。」

「あいつか。」

「...。」


見つめられるのは好きじゃないんだがなぁ。

獲物を狙うような目つきでみんな一斉にこっちを見てきた。


「こわ。」


俺たちじゃなくて、マイちゃんがなぜか怖がっていた。

妹は扉のレールに挟まってる埃をじっと見つめていた。

妹よ、お兄ちゃん心配だぞ。ここはせめて相手の話を聞いてあげようよ。


「そうだ、マイちゃん、お姉ちゃんはいいのか?」

「そうでした、お、お姉ちゃんを返してください!!」

「うーん?あぁ、トモエさんの妹さんね。お姉ちゃんはここにいるよ。」


先生は唯一振り向かなかった椅子に縛り付けられた女性を動かした。

そこには、トモエらしきものがいた。

ずっと、マイ、マイ、とうわごとのように繰り返しながら涙を流すトモエの姿があった。

顔色は最悪で、胸には2つ穴が開いていた。

血はなぜか流れていなかったが、おそらくもう持たないことがはっきりとわかった。

マイちゃんが、俺の手を振り切ってトモエのもとへ駆け寄っていった。


「お姉ちゃん!マイ、マイだよ!!しっかりして!」

「...マイ、マイ、マイ。」

「お姉ちゃん!私の目を見て!」

「あぁ、マイ、マイ。」


感動の再会とでも言っておこうか。

どうせこれから、お別れになるとは思うがな。


「マイちゃん。お姉ちゃんを助けたいよね。」

「あなたがお姉ちゃんをこうしたんでしょ!!」

「どなんないでよぉ、耳が痛いわ。」


なんだか、いつもの先生とは違う雰囲気を感じるな。

しっかりとしてなくて、どこかふわーっと焦点が合っていないような、そんな気がした。


「ルーくん。今からこの学園は閉鎖することになったの。もう美味しい学食も食べられない、楽しい日々を送ることもできない、友達も友情関係も残らない、そのかわりに生き残るために必要な勇気が貰えるわ。」


あー、なんとなく言いたいことが分かった。

妹も分かったようだ。

すんげえ良い笑顔で笑っている。


「まさかとは、思うけどまたあれを繰り返そうとでも思ってるのか?」

「いいえ、あれ以上の事をするのよ。組織の方向が変わり、この学園全体で選別を開始することにしたのよ。来るべき日に備えてね。」

「組織なんてつまらないものができたのか。個人より団体のほうが心強いってか。」

「あなたが思っているより強大よ。」

「そんで、いつその生き残りは始まるんだ?」

「いつ?もう始まってるわよ。」


先生がそう言うと遠くの方から物が壊れるような騒音が聞こえてきた。


「あらあら、もうやってるのね。友情が壊れる、いい音色が聞こえてきたね。」


先生の本性はこっちだったのか。良い性格してるね。

罵声や悲鳴、罵詈雑言などが次々と聞こえてくる。

殺し合いがおきているのだろう。学園内にいる学生の才を懸けて殺し合いか。

かわいそうに、親はかなしんでいることだろうな。


「言っておくけど、ここにいる子たちは、もうこっち側だからね。いくらあの戦争の生き残りだとしても、この人数や短い間だったとしても仲のいいクラスメイトを殺すことなんてできないだろうね。」

「お兄ちゃん、どうする?」

「妹ちゃんは、確か、メイちゃんだったっけ。」

「うん。」

「Dランクの兄をもってかわいそうね。そこのルナちゃんはどうするのかな?」


ルナちゃんは相変わらずまだ気絶している。


「おい、ルナちゃんはどうする?」

「捨てよう!」


まさかの捨てるという発言に先生は驚いていた。


「メ、メイちゃん、友達なんだよねその子。」

「だからなーに?私の役に立てるならいいじゃん。」

「せめて置いていこうと言いなさい。言葉をもっと勉強しような、妹よ。」

「意味同じだからいいじゃん。」


さて、そろそろ動きだす頃合いか。


「じゃあ、前みたいに行くか。どうする?加減は。」

「壊しちゃったらごめんね、でいいんじゃない?」


目を輝かせてそう言った。

まだ今日は体を動かしていないからか、元気いっぱいのようだ。


「ま、まぁこの人数、Sランクの才、いくらあなた達でも勝てるわけないでしょうね!!」


椅子に縛られていた人たちはまるで最初から縄に縛られていなかったかのように動き始めた。


「Sランクの才、あなた達には適わないでしょうね!!!」


さぁ、殺ろうか。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ