学食
その後、お昼が来て学食に向かった。
いつもの学食と違い、喜んでるものと明らかに機嫌の悪そうなもの、絶望してるものなどで溢れていた。
どうやら今日一斉に才についての水晶検査が実施されたのだろう。
遠くの方で仲良さそうに笑っている妹とその友達を見つけ俺は近寄る。
「おーい、遅刻しなかったか?」
「あ、お兄ちゃん!見事に遅刻したよ!」
「そんな堂々と言うことじゃないだろ。」
「そういえば、まだ紹介したことなかったわ。これ私のお兄ちゃん!」
笑顔がとても似合う女の子と無口そうな根のよさそうな女の子がいた。
「どうも、メイちゃんと仲良くさせていただいてます、ルナです。」
「やっほー、私、マイ。メイと名前似てるけど間違わないでねー。」
自分の妹の名前を呼び間違えるわけないだろ、と思いながら俺は例のあのことについて聞いてみた。
「そういや午前中にそっちでも才の検査みたいなことやったのか?」
「うん、やったよ。凄いのよこの二人。Aランクだってさ。」
「メイちゃんも凄いよ。」
「私たちよりもメイのほうがすごいよぉ。」
「そう、この私、メイはなんとAランク2つ出たのさ!」
「おお、流石俺の妹だ。」
「それで、お兄ちゃんは?」
「あー、俺はそのなんだ、Dランクだったわ。」
「あー、まぁお兄ちゃんらしくていいじゃん。」
「そうよ、そんな落ち込むことないって!」
「元気出して。」
「そんな落ち込んでないよ。ところで、お前のクラスにSランクはいたのか?」
「いなかったよ、だから私たちが先生に呼ばれたの。」
!?
衝撃な発言に思わず面食らってしまった。
「な、何を言われたんだ?」
「そんな大したことないよ、なんか学園内のとある場所でちょっと研究に協力してほしいってお願いされたよ。」
「そう。」
「たしかに言われたね。」
妹をまたあの場所へ連れて行くのはかわいそうだ。
もうちょっとマシな才にしとけばよかったか。くそ、読みが外れた。
まさかSランクが出ないなんてな。
「今日会ったばかりで悪いのは承知してるんだが、妹の友達ということでお兄ちゃんが力を貸してあげよう。」
「なになに!?教えてお兄ちゃん!」
「おまえはちょっと学食買ってきてくれ。」
「ほいさー!」
妹は素早い動きで学食を買いに行った。
「あぁメイちゃん。」
「それで、何かしら?」
「今日俺の家に来ないか?少し話したいことがある。」
「もしかして惚れた?」
「まさか変態!?」
「いや違う違う、それに俺は妹と一緒に暮らしてるんだ。妹と一緒だから安心してくれ。」
「へー意外。」
「あら、それなら安心ね。」
なんとか納得してもらうことに成功したので妹が学食を持ってきてくれるまで椅子に座って待ってることにした。
「あ、お兄さん。」
「ん?どうしたの?」
「噂なんですけど、この学園内に秘密の部屋があるらしいんですよ。」
「でたでた、その噂有名よね。」
秘密の部屋か、俺が考えている場所と一致しなければいいんだが。
「買ってきたぞー!」
「お、学食わくわく。」
「今日は何かしら?」
「今日はカレーなのだ。」
目の前にもうカレーが置いてあった。
4人分どうやって持ってきたのだ、と思うが妹はバランス感覚がすごい。
きっとどうにかして持ってこれたのだろう。
「そうだ、今日この後学食を食べ終えたらこの二人がうちに来るらしいぞ。というか、俺が呼んだ。」
「おぉ~、お兄ちゃん、やりますねぇ~。」
「なんか恋人みたいな仲だね二人は。」
「兄妹でそんな仲良しなとこ滅多に見たことない。」
「照れるな~。」
「照れてないでカレー食え。」
今日は午前中の授業だけだ。さっさと食べてこの学園から出ないとな。
「ちゃんと噛めよ。」
「うむ、うまい。」