表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/323

和解1

「あとはうちに来るつもりはないのですか?」


「またそのお話ですか?


 私特に結婚などは考えて……」


「息子とくっついてくださるのならそれでも結構ですけどそうではありません」


「では何ですか?」


 てっきりまたカールソンとくっ付けようとしているのかと思った。


「オーラユーザー、なのですよね?」


「……はい」


 見られている以上隠しようもないので正直にうなずく。


「オーラを教えられる先生というのは本当に限られています。

 出来るなら早いうちからオーラは修練した方がいいとも聞きます。


 その点で今我が家にはオーラを教えられるオーラユーザーの先生がいます。


 息子はその先生に習っていまして、もう1人生徒もいるのですよ。

 ですのでアリアが良ければうちのオーラの先生に習ってみるつもりはないかというお誘いです」


 オーラユーザーの存在はどうしても目立つ。

 エルダン家でオーラユーザーを探して抱えればその情報は隠そうとしても漏れ聞こえてしまうはずだが今のところアリアにオーラユーザーの先生の影はない。


 今現在カンバーレンド家にはオーラを教えられる先生がいる。

 さらには同じくオーラを扱えるカールソンもいて切磋琢磨出来る相手までいるとなれば環境としてはかなり良い方である。


 ついでに合法的にアリアを引き込める。

 男女の仲を深めるのに必要なのは時間。


 一緒にいることが必要だとエオソートは思う。

 外部に発表する理由なんてどうとでも言えるのでアリアがカンバーレンドに滞在してくれないかと思った。


「良いお話ありがとうございます。


 ですがもう先生の目星はついているのです」


 未だに連絡も取れていないけれども目星をつけていることは本当だ。


「あら……そうなんですか?


 もう1人の子も顔が良いって話題なんですよ?


 その中にアリアが入ったら家中のメイドが嫉妬してしまうかもしれませんけど」


 もう1人の子とはカインのことである。

 エオソートはカインがアリアの連れてきた子であることは知らない。


 当然に関係があるだなんて思っていない。


「ふふふ、前にも言いました通りに顔だけを見ているのではありませんから」


「そう言ってましたね。


 ……じゃあ本当のところはどんな男性が好みなのですか?」


「私を愛してくれることはもちろんですが……やっぱり強いことですわ」


「……強い。


 意外と乙女な考えなのですね」


 強い男性に憧れる気持ちは分からなくもない。

 だから未だに狩猟祭や剣術大会なんて行事もあるのだし一家の当主として強さが求められるようなことも多い。


 それを条件に挙げるのはいささか少女っぽさがある。

 エオソートは意外なアリアの一面に笑顔になる。


 だけどアリアの発言は冗談でも何もない。

 ケルフィリア教全員をぶっ○して首を捧げてくれる男性がタイプなのである。


 アリアの言う強さとエオソートの考える強さにちょっとした隔たりはあるけれどその認識の違いに気づくことはない。

 エオソートはアリアの発言を受けてカールソンもまだ希望をありそう、むしろオーラユーザーならアリアの理想に近そうだぐらいに考えていた。


「すでに先生がいらっしゃると言うのなら無理にとは言いません。


 ですが少しばかりうちの息子とも仲良くしてくださると嬉しいですね」


「……努力いたします」


「あの子一体あなたに何をしたのかしら?」


「しつこく手紙を送ってきています」


 普通このような時は濁すものだけどついでだから告げ口しておく。

 あんまり頻繁に手紙送られてもめんどくさいだけであると。


「あの子ったら相手の迷惑も考えないで……


 ごめんなさいね。

 ただでもあなたと仲良くなりたいのよ」


 まあそこまで頑なに拒否することでもない。

 ただもう一度婚約者にならないかなんてチャラついたセリフを口にしたら今度はあの整った顔ボコボコにしてやる。


「そうですね……では連絡を取り合うために私とも文通いたしましょうか」


 聖印騎士団に対してエオソートが協力してくれることになったけれどカンバーレンドにエオソートに近づける人はおらず、だからといってこうやって頻繁に会いに来れるわけでもない。

 でも情報の共有は必要である。


 なのでアリアとエオソートで文通することになった。

 定期的に手紙を送り合えばその中でケルフィリア教に関する情報を共有していても他の人は気づかない。


「それでは失礼しますね」


 ある種カンバーレンドにスパイを潜り込ませることに成功したようなもの。

 協力し合うことを約束し、表向きのためにいくらかお礼をすることで話し合いをまとめてエオソートは部屋を出た。


「気に入られたようだね」


「……そのようですね」


「しかしオーラの先生の話、良かったのかい?」


 ヘカトケイがいつ捕まるのか分からない。

 今のところは捕まりそうな雰囲気はあるけれどまたどこかにふらっと行ってしまえば探すのは困難になる。


 見つかるまでの間だけでも先にオーラを習っていてもいいかもしれない。


「そんなことしたら今度は既成事実としてカンバーレンドに取り込まれてしまいそうですわ」


「……まあ、その可能性も否定できないね」


 理由は付けられようともアリアがカンバーレンドに長期滞在してしまったらそれをどう見るのか考えるまでもない。

 他の虫が寄り付かなくなる利点はありそうだけど外堀を埋められてしまえば後々面倒になるかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ