表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/323

強大な協力者1

 大混乱の狩猟祭だった。

 突如としてお茶会に現れた魔物はカンバーレンドの騎士たちに制圧された。


 逃げる時にケガをしてしまった人はいたもののカンバーレンドの騎士たちの素早い動きで魔物による直接の犠牲者は出なかった。

 しかし多くの人は魔物事件によって知らなかった。


 その裏で何が起きていたのか。

 暗殺計画はひっそりと実行に移されていた。


 狙いはギオイルではなくエオソートだったのではないかとアリアは予想したけれどそれは間違っていた。

 真の狙いはギオイルとエオソートどちらも狙っていたのである。


 エオソートが暗殺されかけているその間ギオイルも暗殺者に狙われていた。

 そちらの方はメリンダが連れてきた騎士が暗殺者の一部を処理し、残りはギオイルやその護衛が自身で倒して事なきを得た。


 問題となったのはエオソートの方だ。

 狩猟中で気を張っていたギオイルたちと違ってエオソートの方はやや警備は緩かった。


 それでもしっかりとした警備体制であったのだけど暗殺を防げはしなかった。

 アリアたちが来なかったらエオソートはそのまま暗殺されていたことだろう。


 今回はアリアの行動によってエオソートは無事助けられた。

 裏で起きたことは徹底的に隠された。


 魔物が現れたことを全面に押し出して早急に調査や安全確保の必要があること理由にして狩猟祭は解散した。


「よく分かったもんだね」


 アリアとメリンダ、それにクインはカンバーレンドのお屋敷の方に半ば軟禁される形で留め置かれていた。

 アリアたちが連れていかれる理由も分からなくてゴラックは抗議したけれどアリアたちが大人しく従ったのでそれ以上何も言うことはできなかった。


 そうは言っても待遇は厳しいものじゃない。

 部屋の前に監視の目はあるものの牢屋なんかではなくちゃんとした良い部屋に置かれているのでお客様みたいなものである。


 回帰前に繋がれた牢屋に比べれば天国と言っていい。

 現に今もお茶を楽しんでいる。


「ただの勘ですわ」


「でも確かに警戒して然るべきだった。


 人員も考える時間も足りなくて考えが回らなかったけれど当主であるギオイルを狙うよりエオソートを狙う方が簡単だものね」


 暗殺計画として話が漏れてきてエオソートよりもギオイルをまず優先して守る考えに至ることは当然である。

 まさか違う場所にいる2人を同時に狙うなんて考えない。


 どちらを殺しても家中の動揺を誘えるし2人とも暗殺に成功したらより大きな効果を狙える。

 かなり無茶な作戦にはなるが人を使い捨てにできれば達成できないものでもない。


「ともかく私たちをどうするかだね。


 命の恩人に手を出す馬鹿じゃなきゃいいけど、状況をちゃんと把握してるかは怪しいところだね」


 今頃ギオイルは事態の収拾と把握に努めているはずである。

 メイドは捕まえたから話を聞き出しているかもしれない。


「失礼します」


 控えにドアがノックされて開いた。


「お久しぶりでございます、ギオイル様、エオソート様」


 入ってきたのはギオイルとエオソートであった。

 1人だけ護衛なのか男性を連れている。


 他に護衛を連れていないのはそれで十分だからだろう。

 ギオイル自身がオーラユーザーであり剣術レベルもかなり高い。


 正面から挑んで勝てる相手は多くない。

 アリアたちのことを軽く見ているわけではなく、現実にそうなのである。


「このようなところに留め置いたこと申し訳ない」


 ギオイルが頭を下げた。


「そして妻を助けてくれたこと感謝しよう」


「ありがとうございます」


 今度はエオソートも頭を下げる。

 話も長くなりそうなのでギオイルとエオソートも席につく。


「今回の事件は様々なことが起きた……


 特に妻を狙った卑劣な行いは許すことができない」


 エオソートの顔色は良く見えた。

 指先も震えていない。


「あなたたちの立場が分からなくてこうしていてもらったが調査を進めて全貌が分かってきて、こうしたことが間違いだったと気づきました」


 ギオイルは自身に向けられた暗殺者も何人か捕らえていて、アリアが気絶させたメイドも含めて尋問を行った。

 容赦のない尋問にメイドたちも口を割った。


「ケルフィリア教が我が家の中にまで手を伸ばそうと……いや、伸ばしていたようです」


 今回の暗殺計画ではギオイルとエオソートを消すだけではなく、それに伴って騎士や使用人の責任を追及させて追い出し新たな者を内部に潜り込ませようとしていたらしい。

 逃げるのではなくさらに攻めるための一手なのであった。


 自分たちのことがバレそうという時に大胆にも逆の手を打ってこようとしていた。


「ケルフィリア教を炙り出そうとしていたことがバレてしまい、先に手を打とうとしたようです。


 ……まさかヤマソが裏切り者であったとは」


 ヤマソとはエオソートのメイドでエオソートを暗殺しようとしてアリアにナイフを投げられたあのメイドであった。

 エオソートのメイドは古くから家にいる人であったのだけどどうやったのかケルフィリア教に引き込んだ。


「しかもエオソートに毒まで盛っていたのだ」


「毒ですか?」


「そうだ」


 例え信頼しているメイドであろうともエオソートだって簡単に情報を漏らしたりはしない。

 けれど実際はエオソートからメイドに情報が漏れ、そしてケルフィリア教に漏れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ