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疑いの狩猟祭1

 例によってアリアの護衛はレンドンとヒュージャー。

 真面目だし別に悪い騎士じゃないから文句はないんだけどやたらと良く顔を見るなと思う。


 それに加えてメリンダが連れてきた騎士が3名、さらにメリンダのメイドのクインも来ていた。

 彼女も実は戦える人だった。


 普段はなんでことはないメイドを装っているが意外と強いらしい。

 オーラは扱えないが剣術レベルはアリアよりも上で下手するとレンドンとヒュージャーよりも強いかもしれないらしい。


 あんまりレンドンとヒュージャーを比較対象にされても分からないなと思うアリアだった。

 一応シェカルテも来ている。


 もしかしたらカインに会えるチャンスもあるかもしれない。

 表立って2人の再会を喜ぶことはできないだろうが元気な姿を見れれば少しは気分も違うだろう。


「そういえばヘカトケイ様の足取りが掴めそうだよ」


「あら、そうなのですか?」


 アリアとメリンダは一緒の馬車に乗って移動していた。

 もう一つ馬車もあってそちらにはゴラックとディージャンとユーラが乗っている。


 こちらも狩猟祭に招待されたので向かっていて、アリアも一緒に乗らないかと誘われたけど何が悲しくて男の中に1人ポツンとアリアが乗らねばならないのだ。

 メリンダが助け舟を出してくれて男馬車に乗ることは避けられた。


「またどこか潰したようでね。


 そこから追っていけば追いつけるはずだよ」


「活動的でらっしゃるのですね」


「あまり目立ちすぎて反撃に出られても困るから少し控えてほしいんだけどね。

 言って止まる人じゃないから……逆に聖印騎士団もあなたに期待しているようだよ」


「私に何をしろと?」


「別に何もしなくていいさ。


 ヘカトケイ様に話を伝えて先生役を引き受けてくれたら今の暴走とも言える行為は止まるだろう?


 どうにかアリアに興味を持ってくれやしないかと期待しているのさ」


 どうだろうか。

 回帰前は一時弟子であったが今回ヘカトケイの気を引くことができるかどうかは自信がない。


 なんせ気まぐれな人だった。

 指導も意図を汲み取れればやれるけど一から十まで全部教えてくれる人じゃなかった。


 正直先生として来てくれるのかも怪しい。

 聖印騎士団としては暴走気味のヘカトケイがアリアの指導に興味を持って目の届くところにいてくれたならと考えている。


 そのためにヘカトケイ探しにも積極的なのであった。

 ちなみにアリアは正式に聖印騎士団ではない。


 入団に関して審査だったり基準だったりあって煩わしく、テストも必要で気軽に長期間外に出られないアリアはメリンダが責任者である聖印騎士団の協力者という立場だった。


「そう心配した顔しなくても大丈夫。


 ヘカトケイ様は絶対に興味を持つよ」


「本当ですか?」


「リャーダの娘でオーラユーザー。


 その上ケルフィリア教と関わりがあるとなったら居ても立っても居られないはずだよ」


 むしろ話を少し聞いただけで飛んできそうでそちらの方が怖い。


「剣術もだいぶ上達したんだって?


 他の武器も上手く扱えるってオフンが褒めてたよ」


「まだまだですわ……」


「レベル10で一人前なんだ。


 まだ子供なんだから焦ることはないさ。


 焦れば焦るほどレベルが上がるのは遅くなる」


「オバ様……


 そうですね。

 少しずつでも前に進みたいと思いますわ」


「その調子だ」


 聖印騎士団であることやオーラユーザーであることを互いに知ってアリアとメリンダの仲はより良くなった。

 時として母、時として姉、時として友達のようなメリンダはアリアにとっても信頼に足り、一緒にいても心地の良い相手であった。


「着いたようだね」


 馬車の速度が緩んだのでメリンダは窓の外を確認した。

 森の入り口で、他の家の馬車も見えた。


 狩猟祭が執り行われる森に到着した。

 カールソンなのだがカンバーレンドの領地がある家には帰らないでローンディの町にある別邸に滞在したままだった。


 なので今回の狩猟祭もカンバーレンド領ではなく、国が保有する狩猟の許されている森を貸し切って行われる。

 アリアたちの家からもさほど遠くないので行くのも楽で助かった。


「あ、お兄様ずるい!」


「お手を」


 先に到着した馬車から慌ただしく降りてきたディージャンがアリアたちの乗る馬車の方に走ってきた。

 そして降りようとするアリアにそっと手を差し出した。


「ありがとうございます、ディージャンお兄様」


 アリアは穏やかに笑ってディージャンの手を取って降りる。

 ユーラはそんな大人のマナーのこと頭から抜け落ちていたようでディージャンの行動を見て悔しがっていた。


「では姉さん、アリアのこと頼みましたよ」


「任せときな。


 あんたこそ1匹も狩れずにアリアに情けないところ見せるんじゃないよ?」


「今回の主役は私ではなく子供たちですからね」


「ふん、今から言い訳かい?」


「私もおじ様のカッコいいところ見たいですわ」


「そうか……なら少し頑張らないとな」


「親バカだねぇ」


「お兄様方も頑張ってください」


「ああ、見ていてくれよ!」


「狩猟はまだ経験少ないけどアリアに恥かかせないように頑張るから!」


 アリアの期待するような目に照れたように咳払いするゴラック。

 交流が目的なのでそんなに狩猟にやる気を出さなくてもいいが全く狩りが成功しないのも噂されてしまう。


 自分たちのためというよりアリアがヒソヒソと言われないようにとディージャンとユーラもやる気を出す。

 男性は狩猟に、そして女性はお茶会へと向かう。

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