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マルエラがさらわれた理由1

「どういうことか聞かせてもらってもいいか?」


 事件があったのでパーティーはお開きとなった。

 シェラオリアルは魔物が現れ、全て倒して問題がなくなったと正直に告げた。


 シェラオリアルの堂々とした態度に招待客も大丈夫なんだろうと納得して帰って行った。

 招待客が帰った後アリアはシェラオリアルの私室に呼ばれた。


 シェラオリアルの部屋は飾り気が少ないけれど趣味である武器が壁にいくつかかけてある。

 ただの飾りではなく実際に使える武器でシェラオリアルによってしっかりと手入れもされているようにアリアには見えた。


 私室に呼ばれたのは他でもない、マルエラが失踪したことについて詳細な話を聞くためであった。


「ケルフィリア教……古くからある危険な宗教団体だな。ケルフィリアを主神としてケルフィリアが支配する世界を目指そうとするかなり危険な思想の持ち主。他の国では禁止しているところもあるぐらいだ」


 カロンストナでケルフィリア教は禁止こそされていない。

 それはカロンストナ国内で目立って問題となったことがないからであり、警戒される対象であった。


「なぜケルフィリア教がマルエラと関わりがあると?」


 国の中で宗教的な動きがあればシェラオリアルに報告がある。

 今現在ケルフィリア教の動きについては把握しているところはない。


 なぜアリアがマルエラとケルフィリア教を結びつけて考えたのか理解ができないでいた。

 テーブルを挟んでアリアとシェラオリアルは向かい合って座っている。


 シェラオリアルはアリアの目を覗き込むように見つめていた。


「順に話していきます」


 何を話すべきか迷いはあるけれどシェラオリアルなら全てを話してもいいだろうと思った。

 その結果信頼を損なうことになってしまったのならしょうがないことであるとアリアも自身を納得させられる。


「まずは……私がやらねばならないことからお話しします」


「アリアがやらねばならないことか」


 早く本題に入れとは言わずシェラオリアルはただ目を細めただけだった。


「私はケルフィリア教を恨んでいて、ぶっ潰そうと思っています」


「ぶっ潰す……」


 予想もしていなかった言葉が飛び出してきたとシェラオリアルは思った。


「事の起こりは私が一人になったことから始まります。……私の両親はケルフィリア教に殺されました」


「……なんだと?」


 シェラオリアルの目が驚きに見開かれた。


「そのために父親の実家であるエルダン家に引き取られました。ですがエルダンでもケルフィリア教の魔の手は伸びてきていて色々と苦労させられました」


「だからケルフィリア教を敵対視しているのか。それがマルエラと何の関係がある?」


 アリアがケルフィリア教を敵対視していることは分かったし、理由も理解できるものだった。

 やらねばならないことというのもようやく納得ができた。


 ただそこがマルエラと関係するところはまだ見えてこない。


「ケルフィリア教と戦う組織として聖印騎士団というものがあることはご存知ですか?」


「知っている。かつては宗教組織の一部門であったがケルフィリア教が拡大、力を持つようになると独立した組織になった。今では秘密組織としてケルフィリア教と戦っているのだろう?」


「そうです。そして私は聖印騎士団の一員なのです」


「ほう……ここでそのことを口にするということはもしかして」


「その通りです。マルエラ卿も聖印騎士団の仲間なのです」


 ケルフィリア教を恨んでいて戦っているというのならアリアが聖印騎士団の一員であることも分かる。

 そして聖印騎士団のことを口にしたということはとシェラオリアルは察した。


「……うちは余暇に何をしようと犯罪行為でもない限り干渉はしない」


 マルエラが聖印騎士団であるということはシェラオリアルにとっても大きな驚きであった。

 シェラオリアルに忠誠を誓う騎士でありながら他で活動をする組織の一員であることに賛否はあるだろうが、普段は真面目に仕事をしていて休みに何か活動しようと国で拘束できることではない。


「マルエラが聖印騎士団なことはいいがなぜケルフィリア教が誘拐などする?」


 ケルフィリア教が聖印騎士団にとって敵なように、聖印騎士団はケルフィリア教にとって敵である。

 マルエラが聖印騎士団だとバレてしまえば攻撃される原因にはなる。


 ただその場合でもただ消されるだろう。

 ただマルエラの死体は見つからずいなくなった。


 ということは誘拐されたのだろうとアリアとシェラオリアルは思っている。

 誘拐なんて面倒なことをせず休みの日にでも城の外で消してしまえばいいのである。


 わざわざ仕事中の城内でマルエラを誘拐する意味なんてものはないはずなのだ。


「カロンストナ国内にケルフィリア教がいます」


「なに?」


「マルエラ卿はカロンストナにいるケルフィリア教の足取りを追っていたのです」


 足取り追っていたどころかかなり核心的なところまで迫っていたのだとアリアは思う。

 だからマルエラが誘拐されたのではないかと考えている。


 聖印騎士団であるとバレたかどうかは分からないがマルエラがケルフィリア教のことを調べていることがバレたのだ。

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