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悪役令嬢、悪になる〜真紅の薔薇よ、咲き誇れ〜  作者: 犬型大
第五章

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似てきた二人

 いろいろな経緯はあったもののカロンストナにおいてアリアはVIP扱いとなった。

 断ったにも関わらず話の経緯を見ていた騎士たちからはアリアは次期国王ぐらいの目で見られている。


 聞いたところによるとシェラオリアルは狙ったものを諦める人ではないらしい。

 娘にならないかという言葉は騎士たちの前で言ったことから本気であり、シェラオリアルがアリアを狙うことは確実なのだと騎士は言った。


「シェラオリアル様の娘……よかったのですか?」


 これまででアリアの顔が一番明るかったとジェーンは思う。

 アリアが王座などに興味がないことは分かっているけれどシェラオリアルに見初められたことは幸せそうだった。


「興味がないと言えばウソになりますね」


 別に王という立場に魅力は感じない。

 けれどもシェラオリアルに認められて娘になるのなら悪くはない。


 その先に王という立場があっても嫌なものではないのだ。

 自国の王になるのは死んでも嫌だけどカロンストナならいいかもしれない。


「ただ今はやるべきことがあるのよ」


 それでも復讐は忘れない。

 全てを捨ててカロンストナに行ってしまえば楽になるのかもしれないけれどきっと恨みの炎は消えないのだ。


 そしてカロンストナでケルフィリア教に支配されていく隣国を眺めているなど眠れぬ夜を過ごすことになってしまう。


「仮に全てが終わり……シェラオリアル様が受け入れてくれるのならあるかもしれないわね」


 全てが終わる時が来るのだろうかと思ってしまうことがある。

 でもいつか終わらせる。


 もしかしたらアリアの方が負けることがあるかもしれないけれどカールソンを始めとしてケルフィリア教と戦う人も増えてきた。

 残された人たちが戦ってくれればケルフィリア教も活動するのは簡単ではないだろう。


「ちなみに私は……」


「あなたはあなたがどうしたいかによりますよ。エルダンに残りたいならそれでもいいし、もし私についてきたいのなら私はカロンストナに来てもあなたは私の騎士ですよ」


「お嬢様……」


 ジェーンは感動した目をしている。

 見捨てることも強制することもない。


 ジェーンの意思をどこまでも尊重してくれる。


「ただ……来てくれると私は嬉しいわ」


「もちろんどこにでもついていきます」


 こうした一言もまたズルいとジェーンは思う。

 元よりこうして騎士になって仕えた以上はついていくつもりだった。


 アリアがついてくるなと言わない限りはアリアの騎士であるつもりだった。


「ですが最後にはシェラオリアル様のご養子になられるということは王太子妃適性試験はどうなさるつもりですか?」


 いまだにアリアは王太子妃適性試験について答えをぼかしている。

 王になるつもりはないのなら王妃にだってなるつもりもなさそう。


 だけど王太子妃適性試験を受けないとも言わないし受けないように動いている気配もない。

 だからといって受けたいようにも見えないのだ。


 アリアにしては珍しくフワフワとした態度だなと感じる。


「王太子妃になるつもりなんてもちろんないですよ」


 エランの妃になるぐらいならエランのことを殺すとアリアは思っている。

 エランのせいで死んでなどやらず、嫌なら捕まろうと潰してやる。


「ただ王太子妃適性試験は受けるつもり」


「なんでですか?」


 王太子妃になるつもりはないのに王太子妃適性試験を受けるなど意味がわからない。


「目的があるのよ」


 アリアはため息をつく。

 本当なら王太子妃適性試験なんか受けたくない。


 回帰前に受けた王太子妃適性試験のことを思い出すと今でも胸がムカムカとする。

 ただアリアには目的があった。


 そのためには王太子妃適性試験を利用するしかないのである。


「考えが……おありなんですね」


「もちろんよ。じゃなきゃエランのクズの王太子妃適性試験なんて受けるはずがないわ」


「ふふっ、そうですね」


 今はカロンストナである。

 たとえエランのことを悪く言っても気にする人はいない。


 ジェーンもエランのことはいけすかないと思っていた。


「何をするのかは教えていただけないのですか?」


「……そうね。じゃああなたには話そうかしら」


「いいんですか?」


「聞かれなかったから言わなかっただけですよ?」


「えっ?」


 ストレートにどうなのかと聞かれなかったので教えなかった。

 わざわざ計画の全てを話すつもりもないが聞かれればジェーンになら答えてもいい。


「大事な私の守護騎士ですから聞かれれば答えます」


 アリアは冗談っぽく笑う。

 ちょっとした茶目っ気もまたアリアの魅力かもしれない。


「王太子妃適性試験を受けて……」


 アリアはジェーンに今後の計画を伝えた。


「まさか……そんなことをしたら大きな騒ぎになりますよ」


「ふふ……色んな人がひっくり返ってくれたら私は嬉しいですね」


 アリアはまたしてもイタズラっぽく笑う。

 しかしアリアがしようとしていることは単なるイタズラでは済まない。


「国ごとひっくり返れば面白いのですけれどね」


 だがアリアは本気だ。


「ジェーンもらしくなってきましたね」


 大騒ぎになる。

 そんなことを言いながらジェーンもどうなるだろうと笑みを浮かべていたのであった。

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