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望まぬ再会1

 時折エリシアが突っかかってくることもあるけれどエリシアも卒業に必要な単位は少なくアリアと被っている授業も多くはない。

 エリシアの取り巻きもいなければアリアの周りには常に人がいるのでエリシアの方が分が悪いのである。


 そのために基本的には問題もなく過ごしていた。


「今年はうちが会場ですから負けるわけにはいきませんね」


 そうこうしている間に恒例の学園対抗戦の時期がやってきた。

 毎年それぞれのアカデミーで行われる学園対抗戦であるが、今年の開催はアリアが通うロワルダインアカデミーで行われることになっていた。


 開催校としては負けるわけにはいかない。

 そんな思いもあってユーケーンでの練習も力が入っている。


「アリアに恥をかかすわけにはいかないもんね」


「お兄様にも期待していますよ?」


 ユーケーンのクラブ長にはユーラが選ばれていた。

 アリアによってビスソラダが倒された後ユーラは目を覚ました。

 

 兄弟仲は改善し、ディージャンと醜く競い合うことをやめて真っ当に剣の腕を鍛えた。

 オーラを発現することはなかったけれど真面目に鍛錬したユーラの剣の腕前はユーケーンの中でもトップクラスとなった。


 それどころか単純な剣の腕前、剣術のレベルだけでいえばユーラはディージャンを上回っていた。

 そのためにユーラはクラブ長として選ばれたのだった。


「任せておけ。アリアに優勝の栄光を捧げるよ」


 ヤンチャな雰囲気がなかなか抜けなかったユーラであるが成長してヤンチャさは男性的な魅力に変わっていった。

 カールソンやノラほどでなくともユーラも意外とモテる男性となっている。


 ただ浮いた話は一つもない。

 ユーラも普段からアリアを超える相手がいるのならといって女性を寄せ付けない。


 それで大丈夫なのかと思うのだけど女性と遊びなさいなんて言えないのでユーラが見初める人が出てくるのを願うしかない。


「まあ……今年も期待はできそうですね」


 アリアが一年の時はジェーンが奮闘して名誉を保った。

 二年の時はカールソンがユーケーンを率いて、ディージャンの活躍もあって個人、団体共に優勝をかっさらった。


 そしてアリア三年目はホーム開催であるのだが、メンバーを見ても期待はできそうだと思っていた。

 まずはユーケーンのクラブ長でもあるユーラがいる。


 個人戦にも出場する予定のユーラには優勝の期待がかかっている。

 さらにはノラもいる。


 ノラも剣術に優れていて流石に個人戦での活躍は難しいかもしれないが、団体戦ではメンバーの一人としての活躍を期待している。


「今年はダチュラもいる」


 アリアが一年の時からユーケーンにはカールソン以外のオーラユーザーがいた。

 ここまで目立つこともなく、あまりアリアも会うことはなかったのだけどそれは家の事情によるものだった。


 今は家の方が落ち着いてユーケーンにも顔を出すようになったダチュラという生徒は剣ではなく槍の使い手である。

 アリアよりも一つ年上のダチュラも大きな戦力として見られている。


「それに……アリアもいるもんね」


 ユーラはニヤリと笑った。

 二年の時にアリアは学園対抗戦に出なかった。


 人材が豊富なこともあったし会長選挙で目立ってしまったので出ないことにした。

 実力的には二年でありながらも良いところまでいける自信はあったけれど、良いところまでいってしまった時にどんな影響があるか分からなかった。


 ただ今回はアリアも出る。

 王太子妃適性試験のこともあるし周りへの牽制も兼ねて腕前を披露しておくのも悪くはない。


「……たとえお兄様相手でも負けるつもりはありませんよ?」


「ふふ、それは怖い。でも俺も負けられないな。アリアよりも強いカッコいいお兄様でいなきゃ」


 アリアがお願いするのなら負けてもいいかなとは思うけれどアリアがそんなことを望まないのはユーラも分かっている。

 ならば負けるわけにはいかない。


 アリアが剣を努力していることを知っている。

 だけどユーラだってここまで自分のため、アリアのために努力を重ねてきた。


 たとえアリアが相手でも負けられないのだ。


「……今年は見込みがある新入生も入ってきたしね」


 ユーラは練習で剣を合わせているユーケーンのクラブ生に目を向けた。


「ぶっ殺してやる!」


「はんっ! やってみろ!」


 今手合わせしているのはサラとカインだった。

 カインは普通にユーケーンの入会テストに通る力を見せた。


 そしてサラも意外と強くてユーケーンに入会することになったのだ。

 何かとソリの合わなそうな二人だがアリアを慕っていることだけは同じである。


 カインはオーラユーザーであるしサラもまだまだ剣術が伸びそうな気配がある。

 これからのユーケーンも明るいなとクラブ長的な目でもユーラは見ていた。


「これから騒がしくなりますね」


 アカデミーは他校の生徒を迎える準備で忙しく動いていた。


 ーーーーー


 アカデミーも前期の授業が終わって休みの期間に入った。

 アリアは問題なく全ての授業の単位を取って、後期分も取ることができればほとんど卒業は確定したも同然のところまできていた。


 休みに入ったのだけどアリアは家に帰らずまだアカデミーに留まっていた。

 その理由は学園対抗戦が始まるからであった。

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