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オオカミ君とオオカミさん3

 渋い顔をするアリアを見てエオソートは思わず笑ってしまう。


「こちらがアリアがいるでしょう? って詰めたのよ」


「……なぜですか?」


 なんでバーズジュニアにアリアがいるかどうか問い詰めたのか。

 今日は会話の主導権を握るエオソートは少し楽しそうにしている。


「おかしいと思わない? 二等級の魔物であるディアブロを三人で倒したって話」


 カンバーレンドは強い武力を持つ家門である。

 そのために魔物が現れた時には対応することもあるのだ。


 二等級の魔物がどれほどの脅威となるものなのかカンバーレンドならばよく知っている。

 たとえオーラユーザーだとしても一都市の警備隊長と水賊の頭領と謎の協力者の三人だけで倒せる相手だとは思えなかった。


 そして魔物に関することなのでカンバーレンドが事件の調査を任されていた。

 もし仮に三人だけで魔物を倒せたというのならそれでもいい。


 本当ならばどんな条件を出しても全員引き抜くぐらいのつもりだったから。

 有名家門の人が被害に遭っていないかなどを調べる中でアリアが町にいたことが判明した。


「オーラユーザーであなたが町にいた……」


 エオソートの全てを見透かすような目がアリアを見た。

 危険な状況にあるエオソートを助けに来てくれたアリアはアカデミーでも学長であるアルドルトを助けたとカールソンから聞いていた。


 アリアの思惑を知らないエオソートからしてみればアリアの行動は困っている人を助けようとする正義のものに見える。

 表面上大人びて冷徹そうにも見えるのに心の中では熱い正義を持つ少女だとエオソートはアリアを評価していたのだ。


 アリアが聞いたら呆れ顔でやめてくださいというだろうが腹の中の計画を話すわけにはいかないのでどの道誤解は解けないだろう。


「あなたも関わっているんじゃないかって思ったの」


 アリアもいたということでなんとなく予感がしたエオソートはバーズジュニアに聞き取りをする時にアリアのことをバーズジュニアにぶつけた。


「私も彼のこと知ってるけど……昔からウソが下手ねぇ」


 誰か他にオーラユーザーがいただろうと質問されればバーズジュニアも誤魔化した。

 しかしアリア・エルダンがいただろうなんてドンピシャで個人名を出されると動揺を隠し切ることができなかった。


 アリアが何をしたかまで詳細に言うことはなかったけれどアリアが共に戦ったことは白状してしまったのである。


「私は息子が気に入った相手ならそれでよかったのだけど……オーラユーザーでディアブロと戦えるほどの子がこの世に何人いると思うかしら?」


 カールソンは可愛らしい犬のような、オオカミのような、そんな感じがしていた。

 しかし今アリアを見るエオソートには後ろに獲物を逃すまいと視線を向けているオオカミの姿が見える。


「あなたのお付きの騎士もオーラを扱えるんですって?」


 これならダンスでもしていた方がマシだったかもしれない。

 エオソートの圧を感じる笑顔を見てアリアは珍しく困ったように愛想笑いを浮かべる。


「私のこと、お母様と呼んでみるつもりはないかしら?」


 この会話、他に聞いている人がいたら噂が噂でなくなるだろうな。

 そう思いながらアリアはどう断ろうか考える。


「ふふ、大丈夫よ。ちゃんと周りから固めていくから」


 何が大丈夫なのだと聞きたくなる。


「私は狙った獲物は逃さないのよ」


 エオソートは笑顔を浮かべる。

 これはなかなか手強そうな相手だとアリアは押されっぱなしなのであった。

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