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パジャマパーティー2

「と、とりあえずどこかいってみようか!」


 このままでは本当に惚れてしまいそうになる。

 パメラはごまかすように咳をした。


 まだ日も高いので軽くお買い物に行ってみることにした。

 パメラが用意してくれた馬車に乗り込んでパメラの母親オススメのお店の一つに向かう。


 アリアにはジェーンが、トゥージュにも一人護衛の騎士が付いていて、それ以外をスキャナーズの騎士たちが護衛としてついてきてくれている。


「私も護衛なんですけど?」


「こんなに身近で護衛できるのだからいいでしょう?」


 馬車にはアリアとパメラとトゥージュの三人が乗っているのだが、そこにさらにジェーンも乗っていた。

 他の護衛は歩きでついてきているのにとジェーンは思う。


 だがアリアは笑ってジェーンを馬車に引き込んだ。

 護衛といえど男の人しかいない。


 ジェーンはあまり気にしないだろうがそんな中にジェーンを置いておくのは忍びないし、そばにいてくれる方が安心できる。

 護衛騎士というガチガチの主従関係に縛られるつもりもない。


 公的な場のみしっかりしてくれればあとは友人的な緩い付き合い方でいいのだとアリアは考えている。

 とりあえず今回は一番近くで護衛できるのだからと言い訳をつけておく。


 こうして少しずつアリアとジェーンなりの主従関係を築いていく。


「お嬢様着きました」


 馬車が止まって目的としていたお店に着いた。


「こちらはなんのお店ですか?」


 夕食には帰れるようにと慌ただしく出てきた。

 馬車の中でもダラダラと会話していたので行き先を聞きそびれてしまった。


「お洋服のお店です!」


 看板にはファイン商会と書いてある。

 そういえばパメラの母親がそんなことを言っていたなとアリアは思い出した。


「今日はここでパジャマを買います!」


「パジャマ?」


「就寝用の服のことですわね」


「あれ、アリア知ってるんだ」


「……淑女の嗜みですから」


 現在寝る時には薄手のゆったりとしたドレスのようなものを着て寝ている。

 だがドレスはドレスであり、寝るためのものというより部屋着ぐらいのものであんまりアリアは好んでいなかった。


 だからといって裸で寝るのも嫌なのでそうしたものを着ているがもう少し時代が進むと変化が訪れる。

 回帰前アリアが大人になる頃にはパジャマという寝るための服装の文化が花開く。


 ただ今の時代ではまだメジャーではない。

 アリアがパジャマを知っていることにパメラは驚いていた。


「いらっしゃいませ……あら、パメラさん」


「お久しぶりてす、クォールさん」


 ファイン商会の中に入ると身長の高い女性店員が笑顔を浮かべて迎えてくれた。


「お知り合いなのですか?」


「ここお店は私もよく利用させてもらうからね。この人はクォールさんで服のデザインなんかもやってるんだ」


「パメラさんにはよく来ていただいています。今日はお友達を連れてきてくれたんですね」


 クォールは手足もすらっとしていて非常にスタイルがいい。

 ちょっと羨ましいなとトゥージュは思った


「パジャマ、買おうと思って」


「あら、それは嬉しいですね。今流行らせようとしているので是非買っていただけるとありがたいです」


 もしかしたらここからパジャマという文化が広まったのかもしれないなとクォールの言葉を聞いてアリアは思った。


「パジャマはこちらです」


「これがパジャマ……」


 並べられたさまざまな服を見てトゥージュは驚いていた。

 パジャマと一口にいっても種類は多い。


 室内着であるドレスよりもさらに薄くて寝る時にも邪魔にならないようなワンピースタイプのものからパンツタイプのものまである。

 パンツタイプのものもサラリとした素材でできたものやモコモコとして温かそうなものまである。


「色々あるでしょ?」


「こ、これは……何の時に着るのですか?」


「それはもうちょっと大人の方が着るものですわ」


 ワンピースタイプのものには透けるほどに薄いものがあった。

 かなり扇情的なデザインでカラーもトゥージュが見ているものは黒と艶やかだった。

 

 こんなもの着ていては服を着ていないのと同じじゃないかとトゥージュは思った。

 けれども多少触れ合う目的も含まれているためか手触りがいいので寝る時にも意外と悪くはない。


「クロードの前で着てみればイチコロだよぅ?」


「なななな! は、破廉恥です!」


 パメラが言うのが割と正しい使い方なのであるけれどトゥージュにはまだ刺激が強いのか顔を赤くしている。


「そんなことしなくてもクロードはトゥージュしか見えていませんわ」


「アリアァ!」


 きっとクロードはトゥージュが何を着ても不器用に褒めるのだろうなとアリアは思う。

 流石に裸で目の前に立っていたら理性は壊れそうであるがスケスケぐらいならクロードは紳士的に振る舞いそうだ。


 ただトゥージュがスケスケを着た時はきっと覚悟を決めた時なのでしあわせな時間を過ごすことも間違いない。


「まああちらのものは大人用でサイズも大きいので私たちは大人しくこちらを選びましょう」


 スケスケのやつは大人を想定しているのでアリアたちにとってはややサイズが大きい。

 着るつもりはないけれど買っていったところで着れるものでもなかった。

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