表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
240/323

今回の強者は私ですわ

 どうやらエランは大人しくするように決めたみたいだった。

 会長選挙の大敗からどうするのかと思っていたが誰かの入れ知恵なのか何もせずにひっそりと卒業することを選んだようだ。


 単位取得もアリアが噂を流したので少し厳しくなっただろうから卒業に専念するのは賢明な判断である。

 もしアカデミーを卒業すらできなかったらそれこそ恥である。


 すっかり存在感のなくなったエランはどうでもいいとして代わりにエリシアが余計にアリアに突っかかってくるようになった。

 わざとぶつかってきてフラフラと倒れ込んでは泣いてみたり酷いことを言われたと少し声を大きくしてみたりとアリアを悪者にしようと躍起になった。


 回帰前はこんな手段にアリアはやられた。

 慌てたように小さく謝罪したアリア周りから見て悪いように見られて、段々とエリシアをいじめているなんて話まで出るようになったのだ。


 だがそれは回帰前のこと。

 ただ情けなくされるがままになっていたアリア・エルダンはもう処刑されて死んでしまった。


 さらに回帰前はエランがエリシアの肩を持ってアリアのことを非難した。

 だからこそかなり立場も悪くなったのだけど今回はエランお得意の王城でもなければエラン自身もエリシアの見方をして出張ってくることはない。


 援護もないエリシアにアリアがキッパリと物を言えばむしろ悪く見えるのはエリシアの方だった。


「あなたの方からぶつかってきたのではありませんか」


「そんな……私は……」


「アリア、大丈夫?」


「大丈夫ですわ、ノラ様」


 回帰前にアリアの味方は少なかった。

 どれもこれも消極的なアリアとエリシアの画策があったのだろうが今回はアリアにも味方がたくさんいる。


 ぶつかってきて、わざとらしくエリシアは倒れた。

 アリアもふらついたのだけど鍛えているアリアはそんなことぐらいでは倒れない。


 けれど倒れたエリシアよりもアリアを心配してくれる人が周りにはいる。

 今はノラがサッとアリアを支えてくれた。


 せめて時と場所を選べばいいものをエリシアもアリアに対する嫉妬で視野が狭くなっている。


「まだだよ……」


「勝利の女神に食ってかかってんな」


 倒れたエリシアを心配するのは取り巻きのみ。

 アリアを困らせようとするバリエーションも少なくてまたやってるよとエリシアは周りにヒソヒソと笑われている。


「……ッ!」


 エリシアは取り巻きの女子の手を払うと顔を真っ赤にして教室を去っていく。

 勝利の女神とはアリアのことでユレストがそんな風にアリアを呼ぶから一部でそんな風に呼ばれているのである。


 恥ずかしいからやめてほしいとアリアは思う。


「なにあれー! 態度悪〜!」


 パメラが去っていくエリシアを見て顔をしかめる。


「まあ彼女も色々大変なのでしょう」


 しかしアリアは余裕の態度を崩さない。

 今はみんなもいてくれるのでエリシアによるダメージは一切ない。


 やろうと思えばエリシアのことを完膚なきまでに叩き潰すことはできる。

 だがアリアはあえてエリシアのことを泳がせていた。


 エリシアは間違いなくどこかでケルフィリア教と関わりを持つ。

 そして黒いオーラのゲルダもケルフィリア教としてエリシアの周りに現れるはずなのだ。


 ここでエリシアを潰してしまうとゲルダが現れない可能性が出てきてしまうのでほどほどに反撃しておく。

 困れば困るほどエリシアはケルフィリア教に依存するはず。


 エリシアはケルフィリア教を釣り上げて一網打尽にするためのエサなのである。

 しかしケルフィリア教は未だに鳴りを潜めたままだった。


「しばらくアカデミーは平和そうですわね」


 エランは沈黙し、エリシアももはや脅威ではない。

 回帰前は苦痛で仕方がなかったアカデミーであるが、今回は悠々と過ごすことができそうであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ