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したい再会、したくない再会1

 短い休みをのんびり、ではなく相変わらずしっかり体も動かしながら過ごして再びアカデミーに戻った。

 後期にはアカデミー内でイベントもあったりもして授業もしっかり受けつつアカデミー生活を楽しんだ。


 アリアはもちろん後期授業も全て合格して1年目のアカデミーを終えたのだった。

 そして家に帰ってきた。


 ジェーンは無事アカデミーを卒業してエルダン家の騎士登用試験を受けた。

 アリアの誘いであるが全ての試験を免除でただ登用ともいかないのがエルダンである。


 そうはいっても推薦があるので一部の試験は免除された。

 ジェーンは免除されなかった試験でもトップの成績で合格して見事にエルダンの騎士となった。


 しかし騎士になったからすぐにアリアに仕えるわけではない。

 騎士としての礼儀作法や基礎的な訓練などやらねばならないことは多くあるのだ。


 ジェーンはオーラユーザーでもあるのでヘカトケイの指導も受けながら、アリアの練習相手としても抜擢されて忙しく日々を過ごしている。

 一方でケルフィリア教はといえば静かだった。


 そもそもそんなに毎回どこかで問題を起こしているのでもない。

 基本的には水面下でバレないように動いて問題だと分かった時には事後であるようなことの方が多いのだ。


 キュミリアの事件だってアリアがいなかったら発見はアルドルトが殺された後であったことだろう。

 けれどアリアに色々邪魔されたこともあってかケルフィリア教は深く潜り込んでしまった。


 聖印騎士団でも監視しているケルフィリア教以外の動向が確認できていないようである。

 何もないからいいじゃないとはアリアには思えない。


 静けさこそ嵐の前の危険な予兆であると感じられるから。


「アーリーアー!」


「久しぶりね、パメラ」


 警戒はしつつもケルフィリア教が動かないことにはアリアたちも動きようがない。

 時は流れて2年目のアカデミー生活が始まった。


「寂しかったよー!」


「文通はしていたでしょう?」


「やっぱり生アリアは違うって〜!」


「私もアリアに会えて嬉しいよ」


 アカデミーの校門前、久々に会ったアリアに抱きつくパメラ。

 頬にキスしようとしてくるので額を押さえて抵抗する。


 残念ながらアカデミーが終わった後にタイミングが合わなくて会うことは叶わなかったのであるがアリアはパメラとトゥージュと文通していた。

 元気にしていることは分かっていたけれどこうして顔を合わせて会えるとやっぱり嬉しくはある。


 寮も同じ部屋をそのまま使うのでアリアはトゥージュと同部屋でパメラはご近所さんである。


「学園対抗戦で準優勝した先輩、アリアの家に行ったんでしょ?」


 荷物を持って寮に向かう。


「あら、よく知ってるわね」


「こう見えてもうちは商家だからね」


 ジェーンを狙っていたものは当然にエルダン家に行ったことは知っているだろうが、それ以外に関してジェーンのことは公に言っていない。

 パメラも商人の娘として情報に聡く、ジェーンがエルダン家に行ったことも知っていた。


「アリア、仲が良かったもんね」


「そうですね。私としても来てくれて嬉しいですわ」


 純粋な友情のみでジェーンがアリアの騎士になったのではないが、ニコニコとしているトゥージュに水を差すことはない。


「……あれ?」


 歩いていると壁に寄りかかって立っている金髪の青年にパメラが気づいた。

 あまり見たくない顔にアリアは顔をしかめた。


「やあ、アリア嬢」


「この国の太陽の子、第二王子にご挨拶申し上げます」


 それは第二王子のエランであった。

 さっさと通り抜けてしまおうと思ったのだがエランはアリアに気づくと爽やかな笑顔を浮かべて声をかけてきた。


 仕方なく立ち止まってエランに挨拶をする。

 他にも歩いている生徒は多くて、そうした人たちの前で王族を無視するのは流石にできなかった。


「どのようなご用件でしょうか?」


 こうなったらさっさと会話を終わらせるに限る。

 アリアは単刀直入に用件を聞く。


「ふふ、相変わらずそっけないね。でも覚えていてくれたのは嬉しいよ」


 回帰前は好きになろうと努力してある程度好きになった相手であるが、今は小指の爪ほども興味がない。

 ケルフィリア教ならばぶった切ってしまいたいが、回帰前の感じを見るに純粋なケルフィリア教というよりもエリシアに利用されていた感じがある。


 それに王族を殺してしまえば罪は逃れられない。

 今この場で馬乗りになって殴り倒してしまいたい気持ちを抑えながらアリアは笑顔を浮かべる。


「今年で僕も最高学年になる」


「そうなんですか」


「そこで僕は生徒会の会長に立候補するつもりだ」


「それは非常に立派な志であると思います」


 だからなんなんだとは言わない。


「複数候補がいる時には会長は投票で決められる。そこでアリア・エルダン嬢、僕を支持してくれないか?」


 アカデミーには生徒会という組織がある。

 元々は高位貴族のご機嫌とりや社会的な勉強の一環として設立された組織であるが、今ではアカデミーの運営の一部を任されている。


 決して大きな権力ではないが生徒の中で見れば影響力のある立場となる。

 ユーケーン所属と同じように卒業後でも生徒会所属だったというだけでプラスな評価を得られることだってあるのだ。

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