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みんなの弟

 散々ドレスを着させられてゲンナリしたアリアだったがメリンダは満足そうにしていた。

 メリンダには色々助けられたのでこれぐらいで喜んでくれるならと着てみたけれどドレスを着替えていくのも意外と大変である。


 部屋で休んでいたらシェカルテがお願いがあるとアリアに言った。

 もったいぶるような態度をとるのでなんだと聞くと少し申し訳わけなさそうにお願いを口にした。


「お姉さん!」


「あら」


 カインがアリアに抱きついて、アリアはそれを優しく受け止める。


「カイン!」


 シェカルテのお願いとはカインに会ってほしいというものであった。

 カールソンが休みで戻ってきているからか、カインにも短いながら休みが与えられた。


 そのために家に帰ってきていたのである。

 久々の再会にシェカルテも喜んだのだがカインはアリアにも会って挨拶をしたいと言ったのだ。


 ただシェカルテはアリアに仕える身である。

 その家族であるカインにわざわざ会うような理由なんてまずないのである。


 普通使用人が自分の弟に会ってくれませんかと言ったところで聞き受けてくれない人の方が多いのである。

 だがアリアはカインのことは特別に思っている。


 なぜなら可愛い可愛いオーラユーザーであるからだ。

 たった1人でもオーラユーザーの力は凄まじい。


 回帰前ケルフィリア教が魔物なども使ったことを考えると1人でも戦力となってくれる者は多い方がいい。


「良いのよ。それに……少し大きくなった?」


 それにカインは顔も良いしアリアに可愛らしく懐いてくれている。

 兄はいても弟はいたことがないのでこのように慕われると嬉しくもあるのだ。


 久々に会ったカインは少し背が伸びていた。

 まだ小柄ではあるのだが身体的にも成長できる環境が整って大きくなり始めていたのである。


 カインも結構大きな男性になりそうである。


「お姉さんを守るために僕は大きくなるんだ」


 頬を赤らめてやや垂れた目でアリアのことを見上げる。

 回帰前の経験があってもドキリとしてしまいそうな顔をしている。


 それこそ一歩間違うと危ない男にもなりそうだ。


「修行は頑張ってる?」


「はい! 今は剣だけじゃなくみんなが勉強も教えてくれます!」


「そうなの」


「……実は僕もアカデミーに通おうと思っているんです」


「アカデミーに?」


「はい。奥様がオーラユーザーならばより見識を広げるべきだっておっしゃってくださったんです」


「エオソート様が?」


「僕も……お姉さんが通っているアカデミーに行きたいと思ってたから……」


 オーラが扱えるということにのみ寄っていると人としてダメになりかねない。

 対人関係も勉強もできてこそオーラユーザーとしての成長もある。


 そこでエオソートはカインをアカデミーに入れるつもりだった。

 そのための勉強であり、カインもアリアがいるならアカデミーに通うつもり満々だった。


 もしかしたらエオソートはアリアとカインの関係について気付いたのかもしれないと思った。

 隠しているものではないし調べればシェカルテとカインが姉弟で、シェカルテがアリアに仕えていることなど容易く分かる。


 アリアとカインに関係があるかもしれないことは想像がつくだろう。

 カールソンがどこかでアリアのことを話した可能性だってある。


「僕はカールソン様にも負けないほど強くなります。そして僕だけがお姉さんの騎士になります」


「ふふ、嬉しいこと言ってくれるわね」


 ちょっと重たい気もするけれど真摯に思ってくれるのは嬉しい。

 アリアが頭を撫でてあげるとカインは目を細めてそれを嬉しそうに受け入れる。


「だけどお嬢様にはもう専任騎士もいるわよ」


「えっ!?」


 シェカルテはカインの自分の時とは違う態度に冷たい目をしながら水を差す。


「だ、誰ですか? お、男の人ですか?」


 動揺したようにアリアを見上げるカイン。


「まだ専任でもないし、ジェーンは女性ですわ」


「でもカインはお嬢様のただ1人の騎士ではありませーん」


 何拗ねているのか。

 意地悪なことを言うシェカルテであるが確かにジェーンの方が先にアリアに仕える騎士となるだろうことはほぼ間違いない。


「ん……くぅ」


「そう焦らなくても大丈夫ですわ」


 アリアもお嬢様であるのでいつまでもちゃんとした騎士がいないのはあり得ない。

 逆にそれまで守ってくれる人がいないということにもなるので騎士なんか付けないでほしいとも言えない。


 女性ならば仕方ないかとカインは自分を納得させる。


「シェカルテ、今日は早く上がりなさい」


「お嬢様……」


「カインとゆっくりしてきなさいな」


 アリアには激甘な態度であるカインだがシェカルテが嫌いなわけじゃない。

 むしろ自分のまでに頑張ってくれていたシェカルテのことは大好きである。


 思春期っぽくちょっと甘えられないだけなのだ。

 カインが久々に帰ってきたのなら姉弟で水入らずで過ごしたらいい。


 アリアはシェカルテとカインを早めに帰らせたのであった。


「カイン君可愛いですよねぇ〜」


 シェカルテがいなくてもアリアにはスーシャウもいる。

 スーシャウはカインの頭を撫で回してみたいなんて言いながら弟が欲しいなぁ〜と間伸びした喋り方で言っていたのであった。

おしらせ


悪役皇女の巡礼活動 ~断罪されたので世直しの旅に出ます~


という新作を公開しました。

五日間で第一章部分を全部公開していきたいと思います!


ジャンルは異世界恋愛モノになります!


よければお読みくださり、評価やブクマ、面白かった等のコメントいただければ喜びます!

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