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学園対抗戦1

 今回参加するアカデミーの数は5つ。

 アリアたちが通うロワルダインアカデミー、そして今回会場となっているシェルドンアカデミーの他にも3つのアカデミーが参加している。


 見学者も多い。

 各アカデミーの関係者だけではなく国の騎士団やアカデミーがない国の人、果ては傭兵団なんてものもいる。


 最高学年の生徒にとってはこれまでの鍛錬の試金石ともなる学園対抗戦には多くの人が注目しているのである。

 メイン会場となる屋内競技場にそれぞれのアカデミーの出場者が整列し、アリアたち見学者は観客席からその様子を見守る。


 シェルドンアカデミーの学園長が前に出て挨拶をする。

 聞いたところによるとシェルドンアカデミーの学園長はシェルドンアカデミーがある国の騎士団長にまで上り詰めたことがある人でアルドルトとは旧知の中である。


 歳をとると話が長くなる人も多いがざっくりと要点をまとめて短く話を切り上げていてアリアも好感を持った。


「アリアはカールソンさんを応援してるのですか?」


 アリアの隣に座ったノラがカールソンに視線を向ける。

 実力も高く顔もいいカールソンであるが学園対抗戦においてはあまり注目株ではない。


 対戦する他のアカデミーとしては注目もしているのだろうけれど周りで見ている人たちはあまりカールソンには注目しないのである。

 なぜならカールソンはカンバーレンドだから。


 声をかけたところで自らの家を捨ててどこか別の国に移ったりすることはまず考えられない。

 学園対抗戦において注目されるのは家門を背負わない子や有名家門ではない子など引き抜きもできそうな子たちである。


「やはり私が応援しているのはジェーン先輩ですわ」


「……最近仲が良さそうですもんね」


 やはりそうした点で考えた時にジェーンは注目株である。

 ジェーンは貴族に仕える騎士の家の長女だった。


 けれど上に3人の兄がいて、家を継ぐことはない立場である。

 アカデミーに入ってからオーラにも目覚めたジェーンが本気で望めば家も継ぐ可能性はあるけれど、わざわざ自分をアカデミーに入れてくれた兄たちを蹴落とそうとは考えていなかった。


 そのためジェーンはほとんどフリーだと見られている。

 フリーのオーラユーザーなら自分の勢力に引き入れたいと思う人は多くいる。


 けれど、とアリアは笑う。

 もうジェーンには心に決めた先がある。


 周りには理解ができないだろうがお金や名誉だけではないところでジェーンの心をアリアは掴んでいるのである。

 あまり名声が高まりすぎても困るのだけれどジェーンにはぜひとも頑張っていただきたいという思いはあった。


「それで何から始まりますの?」


「ええと、確か力比べからだよ」


 回帰前には全く関わることなどなかった学園対抗戦なので何があるのかも実はあまりよく分かっていない。

 学園対抗戦の開催が宣言され、競技の準備が行われる。


 まず行われたのは力比べだった。

 体つきのいい学生たちが出てきてパワーを競い合う。


 力だけを見ても技量には直結するものではないがああした肉体派な学生を好んで誘いにかける人たちも一定数いる。

 やや暑苦しい戦いが繰り広げられている。


 怪訝な顔をしている女性も見られるがアリアは普通に競技を楽しんでいた。

 アリアは全体として筋肉がつきにくい体をしている。


 ムキムキになろうなどと思ったことはないのだけどムキムキになりにくい体であると思うとムキムキな人が少し羨ましく思えてしまう。

 何にしても努力を重ねた体ではある。


 自分の持てる能力を最大限発揮して競い合う姿に貴賎などなく尊いものだとアリアは考える。

 わざわざ女性の方を向いて肉体アピールするマヌケは滅びればいいと思うがそれ以外にまじめに競技に取り組むムキムキにはおおむね好意的に見ている。


 持久力や素早さなど身体能力そのもので競い合う競技も今では多い。

 持久力の根性や足の速さを買われて誘われた話も珍しくものではなくなってきている。


 ただ単に強い人だけではなく現状だったり将来的に必要な能力を持つ人をそれぞれが考えて人に声をかける時代になったのだ。

 ただこれらの競技にはユーケーン以外からも多く学生が参加している。


 当然のことながらアリアも知らない人がほとんどであるので正確に誰かを応援するというより同じアカデミーの生徒をとりあえず応援している感じであった。

 色々と競技も増えた影響で学園対抗戦も1日では終わらない。


 1日目は力比べなどを始めとした身体能力で競い合う競技だけで終わった。

 学園対抗戦の本番は2日目からである。


 2日目から本来の学園対抗戦で行ってきた剣での戦いが始まる。

 まず始まるのが団体戦。


 5人で1グループとなり5対5で一斉に勝負する。

 ここで互いの連携や視界の広さ、判断力などが見られる。


 各アカデミーから2グループずつ出て計10グループが戦う。

 ロワルダインアカデミーはユーケーンのメンバーで構成されたグループとユーケーン以外のメンバーで構成されたグループで出場している。


 ユーケーンで構成されたグループのリーダーはジェーンである。

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