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授業もちゃんと受けてます1

 時が経ち、ホーンドが抜けて穴を埋めるためにも忙しかったアカデミーも落ち着きを取り戻した。

 フェクターによるとアカデミーの生徒によるケルフィリア教と見られる動きもほとんどなくなってしまったようだった。


 監察騎士団も入ってきて目を光らせていたし当然のことである。

 

「へぇぇ……」


「ほら、泣くんじゃなくて手を動かしなさい」


「アリアスパルタァ……」


「そうは言ったってアリアのいう通りですよ」


「うぅ、トゥージュまでぇ」


 授業の数々も受けて終わりなんてことはない。

 当然のことながらちゃんと授業を受けて知識を吸収したのかテストがある。


 普段の真面目な態度に加えてテストに合格してようやく授業の単位が取れる。

 テストも先生や授業によって様々。


 ペーパーテストのこともあれば実技テストのこともある。

 あるいは課題が出されて事前に何かを完成させるようなテストもある。


 泣きそうな顔をしたパメラがアリアとトゥージュの部屋に集まっているのも課題をこなすためだった。

 やっている課題は刺繍。


 基礎刺繍の授業で出された課題はいくつかの指定された図柄の中から好きなものを選んで刺繍を完成させるというものであった。

 家で刺繍をやっていたアリアやトゥージュにとっては寝ていてもやれそうなほど簡単な課題である。


 それどころか授業に出ていた大半の生徒にとってその課題は非常に簡単なもので優しい先生だとみんなが言っていた。

 それに対してパメラはぶきっちょなのだ。


 真面目に授業を受けていたのに刺繍のレベルは全然上がらず、ここまで来ると才能という言葉もアリアの頭の中には浮かんでいた。


「まあ……得意不得意は誰にでもありますから」


「見捨てないでぇ!」


 もちろんアリアとトゥージュはもう課題を作り終えている。

 あとはパメラだけであった。


「あとちょっとじゃないですか。作り終えたらお昼食べにいきましょう」


「お腹空いたよぅ……」


「完成するまでお預けです!」


「トゥージュの方も厳しい! くぅ〜!」


 取り巻きがいるような人の中には取り巻きにやらせるような令嬢もいる。

 それについてアリアは文句を言うつもりはない。


 どうせ刺繍の上手さなど女性同士のマウント合戦にしか使われなくて男はどんな図柄だろうと上手い下手をほとんど分かっていない。

 好きな人にもらえるのならば下手でもいい、思いさえこもっていればなんて言ってのける奴もいる。


 だから下手で刺繍が出来なくてもなんら問題などないのである。

 人にやらせて自分ができなくても受け取る男はそんなこと気にしないだろう。


 課題もほとんど同じである。

 先生が一々監視しているものでもないので出来ていればそれでいいのだ。


 ただしパメラの分をやってあげるつもりもない。

 人がどうであれアリアは課題は自分でやるべきだと考えている。


 こうして手助けはするが直接代わったりはしない。


「他の授業だってあるのにぃ!」


「じゃあ手を動かしなさい」


 刺繍の課題が出たということは他の授業もテストが迫っているということである。

 前期のスケジュールは比較的詰めて取っているので3人とも受けなきゃいけないテストも多い。


「あの授業はどうですか?」


「私は軽くノートを見返す程度でも大丈夫かな」


 アリアたち3人は被っている授業も多い。

 軽くテスト内容について確認したりしてテスト対策を取っていく。


 アリアもトゥージュも頭は良い。

 パメラだって刺繍に限って死にかけているが基本的に地頭はかなり良い方である。


 授業態度も真面目でノートもちゃんとある。

 キュミリアの事件で少し入院することになったアリアのために2人がノートを見せてくれたのでほとんど問題もなかった。


 あまりテストについては心配していない。


「錬金術の授業はどうですか?」


 被っている授業については大丈夫そうなので自然と被っていない授業に話が移る。


「楽しい授業ですわよ。テストもほとんど暗記みたいなものです」


 もちろんアリアは錬金術の授業もコツコツと受けていた。

 そのおかげで毒耐性のレベルは4まで上がっていた。


 これぐらいになると多少痛んだものを食べてもお腹を壊さないくらいにはなる。

 後期、あるいはこの先も錬金術の授業を取っていけば毒耐性はいい感じになりそうだった。


 テストも基本的には授業でやったことから出る。

 習った薬材や配合なんかを聞かれる。


 回帰前に習ったのはかなり前だったので記憶が曖昧なところも多かったが丁寧な授業にあっという間にそれらも思い出した。

 相変わらず声に抑揚が少なくて眠くなる授業だったけれどそれさえ乗り越えれば良い知識を身につけられる授業なのである。


「へぇ〜厳しいって聞いてたのにな」


「まあ一般の方におすすめする授業ではありませんわ」


「あ、やっぱり?」


 アリアにとっては最高の授業だがおそらく多くの人にとっては苦痛の多い授業であることは間違いない。

 受けるというのなら止めはしないがおすすめかと聞かれてもおすすめではない。


「トゥージュの方はどうなのかしら?」


「どうって……」


「歌唱の授業」


 トゥージュは歌唱の授業を取っていた。

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