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違和感が鳴らす警鐘2

 発生源となっているところの特定は遅れて情報が出てきたのが遅かったのであまり注目されるものでもなかった。

 だからアリアの記憶の中にも薄かった。


「どうして……」


「アリア?」


 アドゥスケスという名前は思い出した。

 けれどそうなると引っかかることがある。


 事件の結末はケルフィリア教の仕業ということに最終的になったのだがなぜアドゥスケスがそんなことをしたのかは不明だった。

 なぜなら家にいたアドゥスケス家の人は全員死んだからである。


 そんなアドゥスケスの人間が近くにいる。


「まさか……そんなことが……」


 ふらつきかけたアリアをカールソンがサッと支える。

 アリアの頭の中で繋げたくない点が繋がる。

 

 なんとなく会う機会が多いからと候補に入れていた。


「キュミリア……」


 キュミリア・アドゥスケス。

 アドゥスケスの養子であるキュミリアが急激に犯人としての候補の1番上に上がってくる。


 そう考えると未だに全容は見えないが両親の駆け落ちやモーダメルのことも繋がっているような気がしてきた。


「キュミリアさんですか? 今日は学園長と学園対抗戦について話に行くと……」


「いけませんわ!」


「ア、アリア?」


 アリアが大きな声を出してユーケーン中の視線が集まる。


「師匠……ヘカトケイ先生はいつ頃出ていかれたか分かりますか?」


「ヘカトケイ先生ですか? ……ええと」


「ヘカトケイ先生なら少し前です。私が来た時にはまだいらっしゃったので」


「……くっ!」


 出てそんなに時間が経っていないのならばまだまだ戻ってこないということになる。


「何か困りごとか?」


 明らかにアリアの様子がおかしくなった。

 カールソンが心配そうにアリアの顔を覗き込む。


「カールソン、あなたのお力を貸してください」


 こうなったら自分でなんとかするしかない。

 けれど1人ではあまりにも危険だ。


 アリアはカールソンの胸ぐらを掴むと顔を寄せた。

 一瞬カールソンの胸が高鳴ったがアリアの目はあまりにも真剣で息を飲んだ。


「僕に出来るなら何でもしよう」


 カールソンはエオソートからアリアは戦っているのだと聞いた。

 きっと困る時が来てカールソンの剣の実力はそれを助けられるはずだと言われていた。


 アリアの求めにカールソンはすぐにうなずいた。

 必要としてくれるならいくらでも力を貸す。


「ありがとうございます」


「アリア嬢、何をしようとしているのですか?」


「ジェーン先輩……」


 アリアは悩んだようにジェーンを見た。

 ジェーンもオーラユーザーである。


 この先に戦いが待ち受けているのだとしたらジェーンの力は大きな助けになるだろう。

 しかしアリアは悩んでいるのだ。


 もしアリアの予想が正しいとしたらジェーンにとっては酷な相手が敵になる。


「私も何かお手伝い出来ませんか?」


 ジェーンはそんなアリアの思いも知らずに手助けを申し出た。

 アリアは何かをしようとしている。


 先日の提案についてまだ答えを出していないジェーン。

 それはアリアのことがよく分かっていないという側面もあったからである。


 アリアが仕える相手としてふさわしいのかどうか判断出来ていない。

 今アリアは何か追い詰められて焦っているように感じる。


 これからアリアがすることが何かは知らないけれどアリアという人間の真価が見られるのではないかと思った。


「……ジェーン先輩もお手伝いお願いしてもよろしいですか?」


 アリアの危惧することが本当に起きているかもわからない。

 ただ起きていたとしたら相手の戦力も分からないので味方は多ければ多い方がいい。


 逆にアリアもジェーンの人間としての行動を見る機会かもしれないと思った。


「武器を持って、行きますわ」


 アカデミー内に真剣など持ち込めない。

 仕方なく本番に近い練習をするために刃引きされた剣を掴んでアリアたちは走り出した。

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