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引っかかる違和感2

 そのために可能性は排除しきれない。


「キュミリア・アドゥスケス……」


 調査してもらった人の中にはキュミリアも含まれていた。

 なんだかよくアルドルト周りでも会うような気がしたからだ。


 アカデミーの学生にアルドルトを殺せるはずがない。

 こちらは犯人ではないだろうと思いつつ候補から外すためにも一応調査してもらった。


 学業における態度は真面目で成績優秀。

 剣術のレベルも高くアカデミーの中でも将来を期待されている。


「養子なのですか……」


 キュミリアは養子だった。

 長男であった父親が母親と駆け落ちして家を飛び出し、その後生まれたのがキュミリアだった。


 しかし両親に不幸があってキュミリアは1人残され、父方の実家であるアドゥスケスに引き取られて当主である叔父の養子となった。


「どこかの誰かさんみたいね……」


 キュミリアの生い立ちの話を見ると親近感を覚えてしまう。

 かなり近いものがある。


「父親はオーラユーザーだった……それなのに駆け落ちするような拒否される相手だったのかしら」


 長男でオーラユーザーなら間違いなく家を継ぐことになる。

 たとえ素行の悪い相手を連れてきたとしてもオーラユーザーを家に留めておくためなら大体の相手は受け入れるだろう。


 なのに駆け落ちしたということはどうしても受け入れられない相手であったということになる。

 何があったらそんなことになるのだとアリアも顔をしかめた。


 ただキュミリアがいくら頑張ったとて叔父には子供がいて当主になるのは難しい。

 キュミリアがオーラユーザーならともかく駆け落ちした長男の息子というレッテルはどうしてもついて回るからである。


 だから努力して良いところに行こうとでもしているのかもしれないと思った。

 ユーケーンに入り、学業でも剣でも優秀な成績を残せば家を出て生きていける。


 まだ若いのに必死になっているのかもしれないと思うと応援もしたくなるものである。


「……けれどどうしてでしょうか」


 アドゥスケスという家名をキュミリアから聞いた時もそうであったのだがアリアはどこかでアドゥスケスという名前を聞いたことがあるような気がしていた。

 しかしそれがいつどこで聞いたものであるのか思い出せないのだ。


 晴れないモヤモヤが頭の中に広がっているようで気持ち悪い。

 おそらく今回の生で聞いたのではないような気はしている。


 つまり回帰前のどこかでアドゥスケスという名前を聞いた。

 聞いたはずなのにキュミリアの名前もキュミリアの叔父の名前も、あるいはその周辺の人の名前もアリアにはピンとこない。


 人に会ったのではなく会話の中で家門の話が出たのだろうか。

 もしかしたら何かで見かけたのかもしれない。


「ヘンヴァートン……」


 キュミリア周りの情報を眺めていると別の名前が目に入った。

 これは覚えている。


 アカデミーの清掃員をしているモーダメルが働いていた家の名前だった。

 よくよく見てみるとヘンヴァートンはアドゥスケスに仕えている家でかなり遠くて薄いながらキュミリアとモーダメルには関係があった可能性も出てきた。


 だからなんだという話ではある。


「思い出せませんわ」


 ポンと手紙をテーブルに投げてアリアはため息をついた。

 授業もある以上怪しい人を監視するのも不可能。


 アルドルトに警告したいけれど根拠にも乏しく、回帰したので殺されるのを知っていますと言ったところで信じてはもらえない。

 このままヘカトケイに頑張ってもらいながらアリアもアルドルトのところに顔を出して地道に警戒するしかない。


 あとはアドゥスケスをどこで見聞きしたのかすごい気になってイライラしてしまうアリアなのであった。


「すごいモヤモヤいたしますわー!」

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