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ちょっとお休み、外出日3

「午後は友達と予定があるのだろう?」


「はい」


「外出日は貴重だ。

 楽しんでくるといい」


「分かりました」


 ゴラックと食事を取った後は部屋で少しのんびりとする。


「お嬢様、お元気そうですね」


「あなたも私がいなくてのびのびとやっているのではなくて?」


「のびのびしてることがバレたら怒られますからちゃんとしております」


 こちらの別邸にはシェカルテもいる。

 エルダン家ではレンドンやヒュージャーと共にアリア組なんて言われる完全にアリアの支配下にあるメイドなのでアリアに近い別邸で今は働いている。


 アリア組のシェカルテは周りからも一目置かれている。

 けれど偉ぶったところもなくてさらにシェカルテは慕われたりもしている。


 偉ぶった態度取っていたことがアリアにバレるとどうなるのか分からないからそうしないで真面目にしているだけなのだが周りから見たら謙虚にしているように思えるのだ。


「何か問題は?」


「特には。

 新しいものが数名本邸の方に入ってきたそうですがご当主様がしっかり身辺調査なされましたので」


 すっかりシェカルテも出来る感じにはなった。

 メリンダのメイドであるクインほどではないけれど他の間抜けなメイドよりは数倍良い。


「メリンダ様からのお手紙もありましたが内容は特別問題はありませんでした」


「そう……カインはどうしているのかしら?」


「カインも頑張っているみたいです。

 カールソン様がアカデミーに行っておられるのでお師匠様と一対一でご指導いただいているようです」


「やはりカンバーレンドに行かせて正解だったわね」


「お嬢様にも会いたがっておりましたよ」


「あの子も少しは大きくなったかしら……」


 アリアはカインの顔を思い出す。

 少しタレ目の可愛らしい顔。


 あの感じを保ったまま成長したのなら美少年になる。

 そして大人になっても甘い顔立ちをしていることだろう。


「また機会があれば会えるでしょう」


 運命があるかは知らないがいくら会いたいと思っても会えない人はいる。

 逆に会おうと思っていなくても会ってしまう人もいる。


 カインとの巡り合わせが良ければまたそのうち会えることだろうと思う。

 かくいうシェカルテもアリアがいなくて少し寂しいなんて思うことがある。


 普段厳しく、時に優しいアリア。

 最初溺死させられかけた時はいつか復讐してやるなんて考えていたけれどカインも治療してくれて人としての正しい道に引き戻してもらったことに感謝している。


 あのままアリアをいじめて、物を盗んで売る生活を続けていたら仕事を失うばかりかカインも失っていた。

 生活の刺激としてもこれまでと比較にならない。


 ケルフィリア教との戦いに巻き込まれはしているが普通に暮らしていたら関わることがない出来事は大きな刺激となっている。

 ある意味ではシェカルテもアリアに惚れてしまっているのかもしれない。


「そろそろ準備なさった方がいいのでないですか?」


「そうね。

 今日は動きやすい格好でお願いするわ」


「分かりました」


 日も高くなってきた。

 約束の時間も迫っている。


 何があるか分からないので早めに出発するつもりなので準備を始める。


「あっ、そういえばヘカトケイ様なのですが……」


「ええ、すでにおじ様から聞いているわ」


 そうして準備を整えてまたレンドンたちが操る馬車に乗ってお店に向かった。


「なかなか美味しいですわ……」


 早めにお店に着いたアリア。

 当然パメラとトゥージュはまだ来ていない。


 先に食事するわけにはいかないのでアイスティーなる物を注文して待っていた。

 お店はアカデミーを卒業した生徒がやっているもので料理の授業と魔法の授業で優秀な成績を修めた人だった。


 魔塔などにも進めるほどの実力があったのに料理の道に進んだ。

 そのためにこのお店には少し特殊なものも置いてある。


 温かいはずの紅茶に魔法で作った氷を入れて冷やしたアイスティーはその代表である。

 アリアも真似してみようと思った。


 氷なら自分で作れるからアイスティーのマネはできる。

 将来全てが終わって自由になることがあるならばこれをどこかで売ってもいいかもしれないとすら考え始めていた。


「アーリア!」


 もう一杯頼もうか悩んでいるとパメラとトゥージュがお店に入ってきた。


「あら、お二人ともご一緒に?」


「ううん、お店の前で会ったんだ」


「そうなんですか」


「んじゃ早速頼もうか!

 んふふ、お腹すいた!」


 パメラとトゥージュも席についてメニューを眺める。

 事前にアイスティーを飲みながら眺めていたのだけどメニューも色々とある。


「……みんなでシェアしよう!」


 決められない。

 となってパメラがアイデアを出した。


 みんなでそれぞれ頼んで少しずつ分け合って色々食べようとなったのだ。


「じゃあ……私は……」


「こっちもいいな……」


「私はこれにしますわ」


 みんなでそれぞれ料理を決めてそれを分け合って食べる。

 そしてその後は街のお店を巡って買い物をする。


 トゥージュの本を買ったりパメラがダンスの練習相手となる子に贈る先端に鉄板を仕込んだ靴を買ったりと楽しんだ。


「楽しかったね」


「そうね」


 最後にはアカデミーに戻ってくる。

 思っていたよりもお買い物は楽しめた。


 回帰前だとこんな感じで気楽に買い物することもなかったので新鮮な経験だった。


「またあのお店行こうよ!

 今度は食べられなかった物食べよう」


「私もまだ食べてみたいのあったから行きたい」


「じゃあ次もまたいきましょうか」

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