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P・G

(にい)さんいる?」


 インターフォンがなったので出ていくとそこには弟の姿があった。大学に入学して一人暮らしを始めた俺の初の来客ともいえるだろう。


「ああいるが。……なんか用か?とりあえず中に入れ。」


 そう聞くと弟は嬉しそうな顔をしながら入って来て言った。


「兄さんVRMMOって知ってる?」


 突然何のことだ?VRMMOか。


「……知ってる」


「ならよかった。兄さん一緒にやってみない?VRMMO。」


「……どういうことだ?」


 俺が困惑していると弟が教えてくれた。


「この前何気なく第一陣が決まる投票に参加してみたんだ。そしたら当たったの。」


「でも何で俺なんだ?


「兄さんって大学祝いに父さんと母さんから何かもらったんでしょ。だけど自分は上げられなかったからさ。兄さんに恩返しをしたくて。」


「そういうことならもらう。お前も一緒にやるんだろ。」


 俺がそういうと弟はソワソワし出した。


「い、いや~。それが一個しか当たらなくて僕はできないんだよね~。」


 俺はすぐさま弟が持って来たもの、VRのための装置を弟にかえす。


「お前がやらなきゃ俺はやることが出来ない。」


 俺がそう言って帰すと珍しく弟が反抗してきた。


「恩返しなんだから素直に受け取って。受け取るまで僕は帰らないからね。」


 一時間、二時間、三時間と(にら)み合いが続いていく中、先に折れたのは。



 俺だった。


「わかった、わかったやるよ。」


 弟がここまで粘ったのもすごい。それに免じてやってやるか。

 俺の言葉を聞いて弟がうれしそうな顔をし始める。


「兄さん。やるんだったら長く続けてよ。」


 何を言われると思ったらそんなことか。


「ああ、サービス終了までやるよ。どうせ暇だし。」


 俺が言うと弟は驚いた顔をした。


「サービス終了?いつ終わるかもわからないゲームなのに?そもそもなんのゲームか確認してないでしょ。あと大学は?」


「大体ゲームの予想はできてる。俺もそのゲームには興味を持っていたしな。それとサービス終了は言い過ぎた。しかし大学期間中の四年間は廃人となる。大学は初日に先生に言って単位を取れる特別テストをしてもらった。その結果は合格、卒論は大学に入る前に終わったから大学は卒論を出す日と最終日だけでればいいんだ。」


「……」

 弟はしばらく絶句していたが何とか戻って来たようだ。


「さすがは兄さん、でも兄さんが言ってる大学って世界でもTOPレベルだよね。そんなことが許されていいの?」


「うちの大学は実力主義だし、自由だからいいんじゃないのか。一応先生にも最初に確認して大丈夫だったし。」


「ならいいけど。ってそろそろ始まるよ。準備しないと。」


 弟の指示で装置を組み立てて中に入る。


「兄さんこのゲームを知っているって言ってたからわかるよね。」


「ああ。」


 ゲームオンのボタンを押す。すると真っ黒い空間が現れた。目の前には数字。

 それはカウントダウンのように進んでいく。情報とあっていたことに安堵しながらしっかり待つ。


 3

 2

 1


 そして0


 突如現れた画面とペンを取り俺は書き込んだ。


『花火師』


 と。


 書き終えた瞬間俺はまた別の場所にいた。


 頭上には待機場とでかでかく書かれた紙が。ということは。


「成功だー-。」


 さあこのゲームについて説明していこう


 VRMMORPG ファントム・ガイア 通称P・G


 なぜか開発当初からVRMMORPGの最高傑作と言えると評判になったゲームだ。

 始まりは一人の人物から始まったゲームなのだが資金回収が不可能なレベルでお金がかけられている。開始当初で150億円以上の費用をかけているとのことだ。

 その一人の人物の子供のころの夢はゲームを作ることだった。その人物は今では世界的に有名な会社をいくつも手掛けていた。そして今、子どものころの夢をかなえるために計画を始めたのだ。

 その人物が言うには一兆までは自費でだすとのことだった。意味が分からん。

 それにより様々なコネが動いたのも含めゲーム開発の有名人たちが集まったのだ。


 それが始まってもないのに最高傑作と呼ばれた理由だ。


 そして、このP・Gには通常の物とは違うある特徴がある。


 通常のVRMMOなどのRPG系のものの職業は段々進化していくのだが、このゲームはそれと違う場合がある。それは最初に現れるボードになりたい職業を書くのだ。それは運営(神)に届けられてその職業のスキルなどを決める。

 同じものを書いた人が複数いた場合、早い人が勝ちその人がその職業になる。逆に落ちた人は下級職という弱い職業になってしまう。しかし下級職は段々レベルを上げていくことで職を昇格させることができ、そのまま続けていれば同じような職に就くことが出来る。

 下級職からの人はレベルが上がるのが早いのであえて何もせずに下級職になる人もいる。大器晩成型だな。


 お、そろそろ始まるみたいだ。第一陣の人数は一万人見る限り千人近くの人が同じ大陸にスポーンするのか。

 床がだんだんと光を帯びてきた。そろそろ始まるぞ。。






 ・・・・・



 運営


「部長、最初に想定されていたどおりの職業が大半です。一から作る職業は33人しかいませんでした。」


「33人もいたのか。……ちょっとその資料を見せてくれないか?」


「は、はい」


「ふむふむ、『花火師』それに『疫病神』なんてものもあるのか、爆弾魔は想定してたが、これとは違う方向性にもっていくとしよう。これは面白くなりそうだな。すぐさまかかれ。私も全力を尽くす。」


 開始直後の忙しさに職員は目を回したが何とか耐えきった。

 疲労困憊といった体だが目にはやり切ったという力強い思いが感じられた。そんな中、部長は激励の言葉を投げかける。はずだった。


「よくやり切った、今夜は宴会だ。と言いたいところだが明日もあるぞ絶対に酒は禁止だ。」


「そんな~~。」


 まさかの禁止令だった。


 残念そうにした社員が帰る中、部長だけはまだ何も片づけていな片づけて


「部長帰りませんか~。」


 見かねた社員が声をかけるが部長は首を横に振った。


「馬鹿野郎、俺はこの後会議があるんだよ。」


「部長~~」


 ここの社員はそんな部長の頑張りを見ているからこそ一致団結できるのだ。

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