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第66話 閑話:????
いのちは生まれて、いのちは消える。
始まりは言葉。自分の意識。やがて夢へ、溶けて消える。
暗き淵。あらゆる意識。形のないもの。
わたしの始まりは、か細い呼び声。
暗き淵よりすくわれて、ここにいる。
形を奪われたわたし。形を理解することのないわたし。
わたしは形がないようにいきることを定められている。
指輪をたくさんつけているひと。
わたしの名前を心臓に刻んだ不思議なひと。
形のないわたし。形のあるひと。
暗き淵を通じて、想いの残滓だけが、交わされる。
言葉はそこにないけれど。
願いがひとつ叶うなら。
そのひとと一緒に、ほしのいのちをひとくち、かじってみたい。