表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/90

第9話 村の拡張・少数氏族への仕事割り振り・施設増築と娯楽の提供

 880日目~916日目。

 野盗らにも氏族があるらしい。彼らは野盗というより少数民族と表現したほうが適切だった。

 だがそんなのは土台どうでもよかった。俺にとってはこき使える連中、それ以上でもそれ以下でもない。

 とはいえ、これで村の半数が野盗の連中になってしまった。


 村の雰囲気は最悪であった。

 野盗の連中を招き入れたことで、もともと村に住んでいた連中からの反発がものすごかった。盗賊は殺せ、といった声がたくさん挙がった。盗賊のことを恐れているらしい。まあ当然のことだろう。


(食料も豊富で食うに困らない環境、水も潤沢で快適な住宅も保障されている。この環境できちんと更生するやつがどれだけいるか、だな)


 念のため、野盗の連中にはスライムを小さくちぎったものを飲み込ませた。

 村の掟に逆らったとき、体の中を食い荒らしてもらうためだ。

 住む場所も明確に分けた。柵を作って、乗り越えたものは鞭叩きの刑に処すとお触れを出した。


 ここまでしてようやく、野盗の連中は村に住むことが許された。

 村に、というよりも正確には、村を拡張して新たな集落を作ったという方が正しいのだが。





 917日目~944日目。

「野盗ではない、我々は誇り高きケルシュの一族だ。我々の住む森の近くを無断で横切った奴らから、食料を徴収していたまで」


「それを野盗というんだ。ここはリーングランドン王国で、チマブーエ西方辺境伯の監督下にある、バスキア領だ。そして俺はアシュレイ・ユグ・バスキア士爵。俺の領地にいる以上は、王国法に従ってもらう」


「ふざけるな! 我らを難民扱いして未開の地に投げ捨てた王国に、誰が帰順するものか!」


「知るか。どうしても嫌なら"俺"に従え」


 王国に見捨てられたから、その復讐だ。

 住んでいる場所を無断で横切ってきたのは行商人たちの方だ。

 生活するために仕方のない行動だ。

 そんな言い訳を腐るほど聞いた。だがそんなことは全部どうでもいい。


(そもそも俺、王国に忠誠誓ってないしな)


 ケルシュの一族、スタウトの一族、アルトの一族、とかそれぞれ氏族を主張していたが、彼らの主張はなあなあに聞き流しておいて、とりあえず衣食住と仕事だけは問答無用で与えておいた。

 働かざるもの食うべからず。それだけである。


 輪栽式農業の研究。家畜の飼育。行商人から売買した積み荷の運搬。その他雑用の諸々。

 思いついた仕事はなんでも任せて、俺の仕事をどんどん減らしていく。もちろん、最初はうまく行かなくて当然なので、人を育てるぐらいの認識だ。というか勝手に育ってほしい。


 兎にも角にも、村の規模はどんどん大きくなりつつあった。




 945日目〜971日目。

 徐々に街道を通る行商人の数が増えてきた。

 野生の魔物は張り巡らされた罠のおかげで近寄らない。

 このあたりを根城にしていた野盗たちは、俺がどんどんひっ捕らえてむりやり服従させている。

 その甲斐あってこの一帯は、昔よりも遥かに安全な場所に変わりつつあった。


 人通りが増えれば自然と賑わいも増すというもの。

 結果的に、うちの村はどんどん賑やかになっていた。


 人が増えたので施設もたくさん増やした。


 旅の汚れを落としてもらうため、公衆浴場を作った。

 旅の疲れを癒やしてもらうため、宿泊施設を作った。

 アルチンボルト領、ボッティチェッリ領、デューラー領、ブオナローティ領、それぞれの領地の特産品を卸してもらい取り扱う直販店を作った。


 娯楽も必要になるので、闘鶏やら的あて大会やら腕相撲大会などの催しごとを開いた。

 賭博の胴元にもなれるので簡単に儲かるし、的あて大会やら腕相撲大会は、弓の名手やら腕力自慢の人を探す名目にもなっている。


 とにかく、少し前までは何もなかったはずのこのバスキアの村は、昔と比べると遥かに栄えた街になりつつあった。


(まあ、用水路の整備とか道路の整備に関しては王都以上だもんな……)


 それもこれも、昼夜問わず熱心に働いてくれるスライムのおかげである。街の工事はもちろん、深夜に動く怪しい人影をとっ捕まえたり、重いものを運搬したり、不衛生なものを処分してくれたり、とにかくスライム様々だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読者の皆様の暖かいご支援が筆者のモチベーションとなっております。皆様に心より厚くお礼申し上げます。
勝手にランキング:気が向いたときにクリックお願いします

▼別作品▼
鑑定スキルで人の適性を見抜いて育てる、ヒューマンドラマ
数理科学の知識を活用(悪用?)して、魔術界にドタバタ革命を起こす、SF&迷宮探索&学園もの
金貨5000兆枚でぶん殴る、内政(脳筋)なゲーム世界のやり直し物語
誰も憧れない【器用の英雄】が、器用さで立ち回る冒険物語
付与術師がレベル下げの抜け道に気付いて、外れスキル大量獲得!? 王道なろう系冒険物語
房中術で女をとりこにする、ちょっとあれな冒険物語

作者のtwitterは、こちら
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ