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第99話:付与魔法使いは訃報を知る

 ――と身構えていたのだが。


「ああ、それならいいわよ。一人くらい。別に」


 なんと、即決で話がまとまってしまった。


 確かに、フィーラの口ぶりでは、百人以上も買い漁っている割には、一人一人への興味は薄いように感じた。


 人数を確保することが重要で、誰でも良かったということなのだろうか。


 まあ、今は理由なんてなんでもいい。


「よし、じゃあ今日の夜か、明日にでも――」


「お金の用意があるなら、すぐでいいわ」


「え? でもこれから冒険じゃないのか?」


「いえ、ちょうど今戻ってきたところなの」


 どういうことだ?


 新勇者たちが初陣の場にしたのは、『カタリナ洞窟』だと聞いている。


 ここは、王都から近い場所だが、それでも行ってすぐに帰ってくるような動きでもしなければ、この時間に戻ってくることはないはず。


 どれだけ力があろうとあまり関係ない。


 洞窟の中でそれぞれの勇者の能力を把握し、調整しながら連携を深めるためには絶対的な時間が必要なはずだ。


「まあ……色々とあってね。ガリウスが死んじゃったから、すぐに戻ってきたの。これからギルドにその件を報告しにいくわ。それが終わってからなら、すぐでいいわよ」


「ガリウスが⁉」


 フィーラはサラっと言っているが、俺にはかなりの衝撃だった。


 『カタリナ洞窟』は、それほど強い狩場ではなない。


 気を抜けば確かに危険はあるが、Bランクの冒険者でもしっかり注意すれば問題ない程度の難易度だったはず。


 まだ連係面が不十分とはいえ、勇者に抜擢されるほどの冒険者がここで命を落とすなんてことは想像すらできない。


 俺は、ガリウスと共に戦ったことはない。


 だが、謁見の間で一度剣を交えたことがある。


 まともに戦えば当然俺が勝っただろうことは間違いない。


 だが、俺が感じた感触としては決してガリウスは弱くなかった。


 しかし、仲間たちが死んだというなら、本当に死んだのだろう。


「何があったんだ……?」


「活躍しようと張り切っちゃったのかしらねえ。一人で突っ走っていったと思ったら、途中で動けなくなって、追いついた時には既に……だったの。私たちとしても残念だわ」

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