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第83話:付与魔法使いは嘘をつく

 言い終えた瞬間、どよめきが起こた。


 ナルドたちも、かなり驚いた表情を浮かべてこちらを見ている。


「ア、アルスよ……な、何を言っておるのじゃ……?」


 フロイス国王はまさか辞退するとは微塵にも思わなかったのだろう。


 頭を押さえ、悩ましそうな表情を浮かべていた。


「アルス、どういうことだ⁉ さすがにどうかしてるぞ⁉ さすがに冗談だろ? な?」


「そうだよ! どういうことなの?」


「こんなの前代未聞だし、なにより勿体ないよ!」


 俺のかつての仲間である、旧勇者パーティの面々が揃って説得してくる。


 だが、もう俺は決めていたのだ。


「申し訳ありませんが、ご了承ください。陛下」


 俺は、深々と頭を下げた。


 しかし――


「何を言っておる。これはもう決定事項なのじゃ!」


「え?」


「力ある者が戦うのは義務じゃ! アルス、お主がメイル王国の民である以上は責任を果たしてもらわねばならぬ。やりたいとかやりたくないとかの話ではないのじゃ!」


 爆発寸前の態度を隠す気もなく俺を睨むフロイス国王。


 なんとしてでも、俺を新勇者に加えたいという強い意志を感じる。


 ……これは、困ったな。


 真正面から断ってもダメそうだ。


 仕方ない、あまり嘘は使いたくなかったが……。


「陛下は誤解しています」


「何をじゃ⁉」


「ゲリラダンジョンは、俺一人の力で攻略したわけではありません」


「なに⁉ ギルドからの報告ではアルスが一人で倒したと聞いているが……?」


「お言葉ですが、俺が戦っている様子を一目でも見たことがありますか?」


「それは……ないが、では嘘の報告をしたというのか?」


「いえ……」


 俺は、頼む……とメッセージを込めてナルドたち旧勇者を見た。


 ここからは、俺一人の説得では限界がある。


「少しばかり手違いがあったんです」


「手違いじゃと?」


「ええ。何せ、ゲリラダンジョン攻略後は村が混乱していたので。とはいえ緊急を要する報告だったので、事実関係が間違ったまま送られてしまったんです」


「そ、そんなことがあり得るのか……?」


 ねーよ……と正直に言うわけにはいかない。


「実は、ゲリラダンジョンは報告に上がっている俺たち三人だけじゃなく、そこのナルドたちと協力して攻略したんです」


「むむ⁉ ……そ、それは本当なのか?」


「ええ。報告書には独力で俺が攻略したように書かれているかもしれませんが、普通に考えてあり得ますか? それまで勇者パーティの中でも普通だった支援職の付与魔術師ですよ?」


「た、確かに……」


 よし、もう一押した――と思ったその時。


「ナルドよ、アルスの話は本当なのか?」


 国王は俺ではなく、旧勇者パーティの方へ尋ねた。


 頼む……合わせてくれ。

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