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第77話:付与魔法使いは目的を達成する

「ああ、勇者ではない」


 まだ一般大衆には知られていないようだが、旧勇者は解散することとなったし、俺はメイル王国が新設する新勇者パーティへの加入も断るつもりなので、嘘ではない。


「な、なんと! とんでもない凄腕の冒険者だったようだ‼ さて、驚きの展開となりましたが、次はB組の試合を――え?」


 試合を終えた俺たちが舞台を去り、次はB組の試合が始まろうとしていたその時。


「お、俺……やっぱ事態するっす……」


 俺とシモンの決闘を見ていた冒険者が、辞退を申し出てしまった。


「そ、それでは不戦勝ということで――」


「あ、俺も辞退させてください。アルスとかいう少年に勝てる気しないです」


 なんと、B組の両者ともに辞退となってしまった。


 ということは、次のラウンド16は俺が不戦勝になるのか?


 などと考えていたところ。


「僕も辞退で……」


「私も……」


「え? じゃあ俺も」


「勝てるわけないわな」


「優勝できなきゃ意味ねーし」


「解散解散」


 なんと、俺と敗退が決定したシモンを除く三十名が辞退を申し出たのだった。


 どうやら、俺とシモンとの一戦は戦意を喪失させるに十分だったらしい。


「え、ええ……。そ、それでは、優勝はアルスさんになります……!」


 主催者としてはたった一戦で結果が決まってしまったことにショックを受けているようだ。


 まあ、珍しいエルフ奴隷を景品にしたのにこれでは採算が取れないのかもしれない。


 俺が気にする必要はないのだが、ちょっと気の毒ではある。


 とはいえ、たった一戦でも観客にとっては十分だったようで――


「すっげえええええええええっ!」


「シモンさんがこんな一瞬でやられるの初めて見たぜ……!」


「ま、まさかこの王国にまだこんなとんでもない冒険者がいたとは……!」


「てか、あれでDランクとか絶対嘘だろ!」


「やってくれるぜまったく!」


 ……と、会場は大盛り上がり。


 優勝者である俺には、盛大な拍手が送られたのだった。


 ◇


 観客が帰った後の舞台にて。


「……景品のエルフです。どうぞお納めください」


「確かに」


 引きつった笑顔を浮かべる店主から檻の鍵を受け取る。


 これにて、約束通りエルフの奴隷、ニーナを引き取ることとなった。

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