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第40話:付与魔法師は脅しに屈しない

「誰でしょうか?」


「アルスの知り合い?」


 二人はこの三人の男たちを初めて見たような様子。

 シルフィは聞くまでもないだろう。


 ちなみにだが、俺も初対面なので知り合いなどではない。


「俺がアルスだが……お前ら何者だ?」


 そう返事をすると、黒ずくめの三人衆はニヤッと口角を上げた。


「我々のビジネスを脅かす不届き者は何人たりとも許さん! かかれ!」


「「うおおおおお——!!」」


 ……!?


 議論の余地もなく、三人は一斉に攻撃姿勢に入った。

 俺はアイテムスロットから剣を取り出し、構えたのだが——


「あ、アルス……! 捕まってしまいました!」


「こんなことして何が狙いなの!?」


 なぜか俺を攻撃するのではなく、二人の男がそれぞれセリアとユキナに剣の刃を突きつけていた。


 とはいうものの、この三人衆から感じられる魔力の大きさはかなり小さい。


 セリアとユキナが遅れをとるとは思えないし、滑稽というほかなかったのだが……。


「大人しくしろ!! おい、アルス・フォルレーゼ。お前の仲間に痛い思いをさせたくなかったら、両手を挙げてこっちに来い」


「わ、わかった。これでいいか?」


 何が狙いなのかわからないが、ひとまず要求に応じて様子を見るとしよう。


 俺は両手を挙げ、近づいていく。


「そうそう、それでいい」


 何が狙いなのかいまいち掴めない。


「お前らは何者なんだ? なんで俺たちを襲うんだ?」


 気になっていたことを質問した。

 男はナイフを俺に向けつつ、口を開いた。


「本気でわかっていないとは……ただのバカだったか。良いだろう、教えてやる」


 初対面の人間に向かってバカなどと言うやつの知能こそ推して測るべきだが、ここで突っかかっても仕方がない。


 俺は黙って次の言葉を待った。


「昨日お前たちは我々のビジネスの邪魔をした。つまりその報復というわけだ」


「昨日? ビジネス? 何のことだ?」


「ギルドカードを売らせていたガキを連れてギルドに垂れ込みやがっただろうが!」


「ああ、あれのことか」


 確かに昨日、誰と勘違いをしたのか知らないが闇商人に路地裏に連れ込まれた。

 その少年をギルドに連れて行き、大量のギルドカードを届けたっけ。


「それがどうかしたのか?」


「貴様は知らんかもしれんが、あのガキは我々の駒として働かせていた。この際あのガキはどうでもいいが、貴様に届けられたことで我々は巨額の損害を出したのだ」


 なるほど。

 確かに、この男の言う通りなら納得がいく点は多い。


 あの少年一人でどうやって最初の資金を集めたのか。違法な闇商売をそこそこの規模でしていたにもかかわらず、なぜ儲かっていなかったのか。


 この辺りが疑問ではあった。


「巨額の損害を出したのは気の毒だが、後ろ暗い仕事をしているなら覚悟しておくべきなんじゃないのか? 逆恨み以外の何物でもない気がするんだが……?」


「こ、この期に及んで貴様……いい度胸だな」


 男の青筋がピクピクと痙攣する。


「大人しくしていれば貴様だけちょっと痛い思いをするだけで済ませてやるつもりだったが……もう容赦しねえ! お前ら、やれ!」


「「ういっす!」」


 指示を出された二人の男が元気よく返事をし、セリアとユキナにそれぞれ殴りかかった。


 しかし——


「ぐはっ!」


「ぐへっ!」


 当然の如くセリアとユキナは男たちの拳を避け、逆に反撃に転じたのだった。


 まさか反撃されることはないとでも思っていたのだろうか。

 殴られた男たち二人は状況を飲み込めていないようである。


「アルス、なんで助けてくれなかったのですか!?」


「ん、自力でなんとかできるだろうと思ったから手を出さなかったんだが、問題あったか?」


「問題はありませんけど……」


「そういうことではないと思うのよね……」


 なぜかセリアとユキナの二人は不満がありそうだった。


 俺の目論見通りなんの問題もなかったので特に何か言われる筋合いはないと思うのだが、助けた方が良かったのだろうか?


 と、それはともかく。


「それで、何を容赦しないんだ?」


「……くっ、こんなはずじゃなかった……」


 形勢逆転。


 俺の目の前にいる三人衆のリーダー格は、かなり狼狽しているようだった。


 さっきまでの勢いはどこへやら。

 後退り、周りをキョロキョロと見ている。


「それにしても、闇商人に元締めがいたとはな。昨日の今日でまた面倒ごとに巻き込まれるとはな……」


 そう言いながら、俺は三人の男たちの腕を縄で縛った。

 足を縛ってしまうと移動させるのが面倒なのでそのままにしてある。


「た、頼む……ここは見逃してくれ!」


 涙目でそんなことを言ってきた。

 自分たちが置かれた状況をようやく理解したようである。


「どの面下げていう気だ? お前たちは人気のない場所で俺たちを待ち伏せ、いきなり襲った。しかも無意味ではあったが、セリアとユキナを人質に取った。危険因子以外の何者でもないんだが?」


 こいつらにもう少しマシな実力があれば危なかったかもしれない。

 ギルドカードの件を無視したとしてもこのまま放っておけないだろう。


「セリア、ユキナ。今日はもうギルドが閉まってるから、その辺を見回ってる衛兵を呼んできてくれるか?」


「わかりました〜!」


「わかったわ」


 俺の指示を聞いた二人が、衛兵を探しにいく。


「二度と襲わない! か、金だって言い値で払う! だから……!」


「お前たちはそう言われたら信じるのか?」


「……っ! そ、それはだな……」


 この手の人間の言葉はまったく信用できない。


 まあ、信用できたとしても子供を使って汚い金を稼いでいた連中をこのまま放っておくのは気分が悪いということもある。


 何を言われても俺の気が変わることはなかっただろう。


 それから程なくして衛兵が来たので、後の処理は任せて俺たちは宿に帰ったのだった。

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[気になる点] ちょっと内容が薄い! テンプレ中のテンプレなのはいいんだけど、 例えるなら味のしない素麺! [一言] 魔術とかの説明や、考え方の時は濃いのに、ストーリ部分になると薄いとは前から思ってた…
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