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オークション

 昨日はルリアとデタリの決闘においてルリアが惨敗し、大泣きする事件があった。

泣き止んだ後のルリアは、いつもの通り元気な姿を見せた。


 王都三日目はサラダ会長とオークションに参加する為、サラダ会長と共にオークション会場に向かっている。

オークションの会場に入るには参加料が掛かる為、女性陣は王都観光に行ってもらった。


「ラムザール様に納品して頂いたラビダルポーションの鑑定が済みました。

鑑定士によるとラビダルポーションの中でも品質が優れていて、この品質のラビダルポーションが市場に出回るのは十年振りとの事で、相当な高値が付く事になるでしょう」


 オークション会場に向かう馬車の中でサラダ会長に言われた。

オークションを主催する王都商業ギルド本部には鑑定のスキルを持つ人物がいる。

鑑定のスキルは大変珍しいスキルで王国内でも三名しかいない。

 

 やってきたオークション会場は領主の屋敷と遜色無い豪華な建物だ。

入り口にいる案内の人なんかもきちんとした身なりで敷居が高い。

今日は昨日買った上等な生地の服を着て来て良かった。


 ここオークション会場では、殆ど毎日の様にオークションが開催されていて、午前、午後と違うカテゴリーの開催となっている。

俺のラビダルポーションは午後の部に出品される。

午前中は素材の出品がメインのオークションだ。

俺も錬金術ギルドのギルドマスターなので、ポーションの素材を狙ってサラダ会長と一緒にオークションに参加する。


 今回の軍資金はラビダルポーションの納品代金35万G。

俺の一番の目当てはドラゴンの心。

ドラゴンの心はルリアの腕の再生に必要な、ジェネレイツポーションの核になる素材だ。

相場では10万G〜15万Gなのでまず落札出来ると思う。

その他、高額な素材は資金が続く限り落札するつもりだ。


 まず入り口でボディーチェックを済ませて会場に入ると、広いロビーの床は全て青色の絨毯が敷き詰めてある。

右手にはバーカウンターがあって、飲み物を注文出来る。

ロビーには他の多くの参加者達が談笑していた。


「何かお飲みになりますか?」


 ロビーでキョロキョロしていた俺に、接待係の女性が話しかけて来た。


「じゃあ、果実水を」

「畏まりました」


 ロビーでサラダ会長と雑談しながら、果実水で喉を潤していると、正面にあった両開きの扉三箇所が一斉に開かれる。


 「時間になりましたのでお入り下さい」


 ロビーから会場に続く三つの扉が開かれて、会場に入って行く。

会場内は明るく、正面に一段高い壇が備え付けれていた。

椅子の数を数えると150席あったが、その殆どが埋まっている。

俺の番号は124番。

124番の席に置いてある124番の札を手に着席する。

125番の席にはサラダ会長が座る。


 今日の出品は午前中だけで百以上の素材が出品されている。

その殆どがリースの村のダンジョンからとれた物だ。

もちろん素材なので錬金術のポーションの素材以外にも、素材なら何でも出品される。

 

「本日最初の出品です。出品番号1、トロールの心。10個。30,000Gからスタートです」


 いきなり凄いのが来たな・・・欲しい。


「30,000」

「31,000」

「32,000」

「33,000」

  |

  |

「40,000」

「他にいませんか?124番40,000G落札」


 落札してしまった。

相場なんて分からないが、これでエクストラポーションが10個作れる。

エクストラポーションは自分達用にも何本かストックして置きたかったのだ。

この異世界いつ必要になるか分からない。


「出品番号2。カラカールの心。10個。15,000Gからスタートです」

 

「15,000」

「16,000」

  |

  |

「20,000」

「他にいませんか?124番20,000G落札」


 また落札してしまった。

これも相場なんて知らないが、確かエクストラスピードポーションの材料だったはずだ。

サラダ会長が俺に顔を近づけてそっと耳打ちする。


「次は落札にお休み頂いた方がよろしいと思います。あまり目立つのもよくないかと」


 俺は頷いてしばらく落札を控える。

次もその次もベルクドの町の素材ギルドでは見たことない物ばかりだ。


「出品番号98。ドラゴンもどきの心。1個。100,000Gからスタートです」


 欲しい・・・がドラゴンの血を落札するには最低15万Gは残して置きたい。

悔しいが無理か・・・。


「100,000」

「110,000」

「120,000」

  

 俺が出せるのはこれが限界だが無情にも値段はどんどん上がっていく。


「180,000」

「190,000」

「他にいませんか?125番190,000Gで落札」


 サラダ会長が最後に落札して俺に微笑む。


「私が落としたドラゴンもどきの心で、もうひと稼ぎしましょう」

 

 自分で落とした方が儲かるが、サラダ商会を挟んでも信じられない大金が入ってくる。

俺もサラダ会長に笑みを浮かべて頷く。


「出品番号104番。ドラゴンの血。100,000Gスタートです」


 ついに目当ての出品が出る。

有り金全部使っても落札したい。


「100,000」

「110,000」

「120,000」

「130,000」

「140,000」

「150,000」

「他にいませんか?124番150,000Gで落札」


 ある程度相場通りの値段で落札出来た。

これでルリアの腕を元に戻す事が出来る。

ポーション作製が成功すればの話だが、俺はポーション作りに失敗した事が無いので、その心配は無いと思っている。

が万が一の事を考えて成功するまでは秘密にしておく。

腕が治るって言われて、ポーションが失敗してやっぱり治りませんじゃ、ぬか喜びさせてしまう。


「それでは本日最後の出品、妖精の羽でございます。この逸品は非常に希少価値が高く、皆様ご存知の様にエリクサーポーションの材料でございます。今回、特別に我がオークションに出品となりました。皆様奮ってご参加ください」

 

 ファンタジーで最高のポーションであるエリクサー。

全ての怪我と病を完治させる究極のポーションだ。


「それでは出品番号112番。妖精の羽。500,000Gからスタート」

「500,000」

「510,000」

「520,000」

  |

  |

「650,000」

「660,000」

  |

  |

「910,000」

「他に居ませんか?妖精の羽。5番。910,000Gで落札」


 正直もっとばんばん値段が上がるのかと思ったが、地味に値段を刻んで、結局2人だけが競っていた。

成功すれば一体いくらで売れるのか?

エリクサーを作れる錬金術師なんてこの国に一人か二人だろう。

作れたとしても成功する確率は低いと思う。


 これで午前の部が終わり、二時間後に午後の部が始まる。

今回のオークションでの戦利品


ドラゴンの心 一個:130,000G ジェネレイツポーションの素材

トロールの心 十個:40,000G エクストラポーションの素材

カラカールの心 十個:20,000G エクストラスピードポーションの素材

マルミミの心 十個:23,000G エクストラパワーポーションの素材


 ちなみにカラカールは中型犬くらいの猫系の魔物で、頭に二本角を生やし、めちゃめちゃ早いスピードで動く魔物だ。

マルミミは名前の通り丸耳の大型の魔物でカバ、ぞう、サイを足して割った姿の魔物で、やたらと重い。



 午後の部はオークションの参加は中止した。

金も無いが今日仕入れた素材を、素材ギルドに委託し、ベルクドの町まで運んでもらう手配をしなくてはいけない。

今日落札した素材は取扱や保管が難しく、素材のプロに保管、運搬を任せた方が安心だ。

後、サラダ会長が落札したドラゴンもどきの心を今日中に錬金して、ラビダルポーションを我々が王都にいる間に受け渡しを済ませれれば、そのままオークションに出品出来て手間が省ける。

昼飯の時にサラダ会長と相談して契約を交わした。



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